火城

火城

小説・文芸
660円 (税込)

3pt

3.0

嘉永三年、黒船来航を三年後に控えた幕末の時代――佐賀藩士・佐野栄寿の心にあったのはただひとつ、当時最先端の科学技術で蒸気船を造ることだった! 大胆な戦略と心を揺さぶる「涙」で藩主を説き伏せ、超一流技術者からくり儀右衛門を巻き込み、日本初の蒸気船を造り出すまでの波乱の半生! 江戸から明治、そして現代まで通ずる飛躍的な技術革新の裏側に暗躍し、命を賭した男たちの熱き物語。

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    Posted by ブクログ

    幕末の佐賀の医者で蘭学者であり、泣き上戸の佐野栄寿は、破門を気に京都に上り、佐賀藩に大砲と蒸気船を作るべく、人材を集める。

    狙ったわけではないが、ちょうどテレビでも話題になっている、日本初の反射炉を活用しようという話である。また、個人的に最近佐賀に縁があるので、まさかそちらの話と思わずに手にとった。

    また、高橋克彦の十八番である東北(主に岩手)出なかったも以外な展開である。いずれ東北に行くのであろうと読んでいたが、全く行かない。

    さて、佐野氏については詳しく知らなかったのだが、2章からはなかなかに行動力があり、ハッタリをかます大人物で、冒頭の泣き虫の何もできないキャラとは予想ができない展開を見せる。また、各登場人物で、絶妙としか言えないタイミングでイベントが起こるため、飽きさせない。

    ちょっと面白いのは、著者が資料を著者目線で解説し、「…といわれているが、史実とは異なるのではなかろうか」というツッコミを入れている部分が多々見られる。

    佐賀藩に戻ってからは、幕末の開国、安政の大獄などの解釈の難しい事件が立て続けに起こるため、蒸気船や反射炉そっちのけになってしまっているのは少々残念である。

    日本赤十字を起こした佐賀藩の先進性も読みどころだが、「大砲の構造は完成されてしまって、150年は進歩がない」など、当時の技術の問題点をザクザクと指摘しているところは、なかなか痛快である。

    0
    2019年09月05日

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