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Posted by ブクログ
[命の査証、その繋ぎ手]リトアニアのカウナスにおいてユダヤ人難民たちに査証を発給し、その命を救った杉原千畝のエピソードに心惹かれた著者は、「では日本において彼等を迎えたのは誰だったのか」という疑問を抱く。残された情報が乏しい中、彼は小辻節三というユダヤ教学者に行き当たるのであるが、さらに調査を進めていくと、実は小辻は難民の生死をも左右する決定的な役割を果たしていたことが明らかになり......。歴史に埋もれていた日本史と世界史の隣接点を明らかにした作品です。著者は、俳優として活躍し、『水戸黄門』や『男たちの大和』などに出演されている山田純大。
小辻節三氏については本書を読むまで、恥ずかしながら聞いたこともなかったのですが、その功績と信念に「こんな人がいたのか...」と正直驚かされました。「杉原千畝が査証を発給してめでたしめでたし...」となってしまいがちなところをさらに一歩進めた著者の関心の置き所にも感心しましたし、なによりも困難な調査や取材を成し遂げたその思いに頭が下がります。歴史の貴重な一側面を明らかにした、これまた貴重な一冊ではないかと。
また、本書の序盤に松岡洋右が携わった「河豚計画」なるものが紹介されているのですが、それがまた実に興味深い。日独の連携を深め、結果として対米戦へと舵を切る原動力の一つになったと見なされている松岡ですが、本書で明らかにされる構想(それは結果として松岡が今日から振り返ったとしても成功したとは評し得ないのですが)から、その複雑な思いの丈や彼の人間性が浮かび上がってきます。
〜小辻は日本人に対して、ユダヤ人の習慣や精神などを説明し、見方を変える努力をした。そして、このことはもう一つの意味を持つ。それは日本人にユダヤ人の正しい姿を知らせただけではなく、ユダヤ難民たちにも日本という国をきちんと紹介したことである。〜
著者の情熱というか執念がすごい☆5つ
Posted by ブクログ
6,000人の「命のビザ」を手にして日本に逃げ延びてきたユダヤ人たちを助けてあげた人がいることを知りました。
小辻節三さんというヘブライ語学者です。
彼は1899年に京都の神主の家で生まれ、クリスチャンになって牧師になります。旭川の教会で牧師をしている時、結婚した奥さんが着物を売って作ったお金でアメリカに留学、ニューヨークの神学校を卒業した後車で大陸を横断してカリフォルニアへ行きヘブライ語を勉強します。
帰国後は満州鉄道の仕事で、退職後豊かな暮らしをしていたにもかかわらず、ユダヤ人を助けるために警察を買収したり、投稿警察に拷問を受けたりしながら命がけで奔走、無事にアメリカとの開戦までに神戸に滞在するそのユダヤ人たちを上海やアメリカなどに逃がしてあげることができたのです。
彼を始め、逃げてきたユダヤ人を助けた敦賀港の人々など、日本人は情け深く、勇気があるなあと感動しました。
また獄死した松岡洋右はアメリカで教育を受けたクリスチャンの政治家ですが、彼もまたアメリカとの戦争を避けることを願っていたことを知りました。
誇りに思うのは日独伊三国同盟だったにもかかわらず、日本政府がホロコーストを助けなかったことです。日本人は虐殺者では無い、人の命を助けようとする民族なのです。
最後に、読後感なのですが、素晴らしいテーマなのにかかわらずこの本は編集者によって書かれたのではないかと思いました。本人の本で書いて欲しかった。あまりにも上手な文だったからです。
Posted by ブクログ
日本のシンドラー・杉原千畝が発行したビザでナチスから日本へ逃げてきたユダヤ人たち。ビザで許された日本の滞在期間はわずか10日で、その間に行き先の国の手配ができなければ強制送還となってしまう。そこで彼らに手を差し伸べたのが、ヘブライ語学者・小辻節三だった‥
著者は小辻節三の生き様に惹かれて、彼の家族や知人にインタビューし、イスラエルにまで取材に行ってこの本を書き上げた。俳優である著者がこのような本を書いていたのも驚いたが、身の危険も顧みず真摯にユダヤ人と向き合った小辻節三という人物に感銘を受け、ちょっと泣けた。
著者が言うように、彼の功績はもっと知られるべきだと思う。
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