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神代恒彦(かみしろつねひこ)はメキシコ保安局の依頼で、ユカタン半島に潜む反体制派指導者4人を抹殺したが、任務終了後、相棒のベトナム人に報酬を持ち逃げされてしまう。その男グエンを追ってメキシコからカリフォルニアへ追跡の旅を続ける神代をロスで待っていたのは非情な組織の掟だった。船戸ハードボイルドの処女長篇。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
冒険小説の雄、船戸与一のデビュー作。 こういうのを読んでしまうと、うまい人はやっぱり最初から面白いもの書くんだなあとしみじみ痛感してしまう。 まあそれはともかく。 現代の国際政治の裏側を舞台とし、そこに生きる人々を描き続けている船戸与一。必然的に登場人物は一癖も二癖もある人物ばかり。また、他では...続きを読むなかなか描かれない、中南米や中央アジア、東南アジアなどの国の人を登場人物としてみることができるのが、船戸作品の特徴か。 それは、現代政治がそれら辺境地域を欧米諸国(時には日本も)しいたげ、搾取し、代理戦争を行うことで否応無しに進んできたからであろう。 だからなのか、作者の目は常に虐げられてきた人たちへ注がれている。 この作品でもそうだ。 主人公の神代恒彦は、日本人でありながらCIAの非合法員(イリーガル)として非合法な仕事を生業としている男だ。今回の仕事に選んだパートナーは、ナチの人体実験の落とし子であるドイツ人と、ベトナム戦争の英雄と呼ばれていたベトナム人。 いずれも、権力に翻弄されてきた男たちだ。 彼らの仕事は、メキシコの革命運動の指導者を暗殺すること。 三人はその仕事を無事に終えるが、ベトナム人に金を持ち逃げされてしまう。さらに、神代とドイツ人を誰かが狙撃してくる。 狙撃してきたのは、誰が、なんの目的でなのか。ベトナム人は何故金を持ち逃げしたのか。 ふたりはベトナム人・グエンを追ってカリフォルニアへ向かう――。 圧倒的なスピード感と、むせ返るような熱気が最初から最後まで、物語を支配している。 アメリカを舞台に、アメリカに支配されてきた男、女が繰り広げる戦いの物語となっている。 当時の国際情勢がわからなくても読める、ある種悲しい物語。 いかにも船戸与一のデビュー作といった感のある、船戸与一エッセンスが凝縮された作品だ。
【選んだ理由】 好きな作家なので 【感想】 一気に読んでしまった。お風呂での読書には最適だが、のぼせてしまうきらいがある。
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