吉野葛・盲目物語

吉野葛・盲目物語

605円 (税込)

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大和の吉野を旅する男の口を通して、失われた古きものへの愛惜と、谷崎生涯のテーマ、永遠の理想の女性たる母への思慕の情を謳った随筆的小説『吉野葛』。夫浅井長政を兄織田信長のために滅ぼされるお市の方の悲劇的生涯を中心に、戦国時代を生きた人間の喜怒哀楽を美しく描き出した『盲目物語』。ともに、日本的なものへの傾斜を深めた谷崎中期の代表作である。

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吉野葛・盲目物語 のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ 2022年03月18日

    随筆的小説と称される「吉野葛」。和歌か俳句を一篇の小説にしたような、わび・さびのある珠玉の短篇。大和の吉野の地に伝わる歴史伝説と、友人津村の「親の在所が恋しゅうて」という心もちが織り重なって綴られる。葛の葉、熟柿、蔦、櫨、山漆……秋の吉野は偲ばれる母の双眸。「春琴抄」を発表する前の作品。

    豊臣秀吉...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2018年10月08日

    吉野葛:伝承や伝説に満ちた大和国吉野を舞台に、母への思慕を美しく描く。
    盲目物語:お市の方に仕えた盲目の法師の回顧談という形で、物語が展開される。哀しくも美しい。哀切が心に沁みる。

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    Posted by ブクログ 2009年10月04日

    「吉野葛」は大好きな作品です。主人公の男が吉野に旅をする、というだけの話なんですけど。「盲目物語」は少し読みにくい文章になっています。これは語り手の教養の低さを表すためにわざと平仮名を多用しているせいなのですが、漢字と平仮名が両方あっての日本語なんだなあ、と思わせてくれます。日本語の表記をローマ字だ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年07月14日

    旅エッセイ風の小説「吉野葛」と、お市の方を描いた歴史小説「盲目物語」の中期二篇。
    「母」に「主」‥‥初期のマゾヒリズムとは少し趣が変わっていても、「従属する」という部分で変わらない作者の嗜好を感じてしまった。好きだ〜っ

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    Posted by ブクログ 2022年05月02日

    ある理由から谷崎潤一郎氏の吉野葛を読む必要ができた事から読んだのであるが、思いの外地元奈良を書き写すことに成功しており引き込まれた。
    国栖の紙漉きや義経千本桜の初音の鼓、津村の母が嫁いだ島之内と奈良を結び付けるのに暗がり峠が持ち出されたり、と奈良の歴史を理解する上でも重要な要素要素が上手に散りばめら...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年05月10日

    『吉野葛』は随筆形式の旅行記。秋の澄んだ空気と光が差すみずみずしい果物と紅葉、吉野は実際に訪れた場所なので、美しい古典文体で思い出の情景に深みが増したのが良かった。歴史探訪から亡き母の面影を巡る話へと繋がる話。『盲目物語』はお市の方につかえた盲目の按摩師を語り部にした歴史小説。盲目ゆえの五感でお市の...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2019年03月14日

    吉野葛 良質の紀行文かしらと思いつつ読んでいくと
    これから結婚を申し込みに行く娘を
    恋しい母親、見た記憶すらも淡い母親のように
    育てていこうと言うくだりがあって
    あら源氏物語みたいなのね、と気づかされる。

    盲目物語・大河ドラマに良く出てくる戦国時代
    お市、茶々のことを知り語るあんまの弥一。
    あんま...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2016年05月15日

    現代と戦国期を並べたのは、谷崎の意図だろうか?どちらも違った意味での郷愁を感じる。お市といえば、かつて光秀の娘・玉子が細川家に嫁ぐ際、戦国の世の女の定めを説いたと言われているが、その意味を深掘りしたくて、お市の生き様に興味を持っていた。それを盲目の尼僧が語るというのが斬新で、一層物悲しさを引き立てる...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2013年05月12日

    谷崎潤一郎の中期の名作"吉野葛"と"盲目物語"を収録。"吉野葛"は谷崎らしい作品だと感じました。幼くして亡くした母への息子の追慕を扱う点で後期の"少将滋幹の母"を思い出した。本人ではなく、第三者の友人を主人公にしている点...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年01月30日

    白州正子の『かくれ里』に谷崎の『吉野葛』の話が出てきたので吉野葛目当てに買ってみた。

    奈良には行ったことがあるが、吉野には行ったことがない。行ってみたい土地だ。谷崎の美しい文章で吉野の地が広がる。とはいえ行ったことのない土地は想像が付きづらいので、Googleマップやネットを駆使して実際の情景を見...続きを読む

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