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Posted by ブクログ
大まかなあらすじを知った状態で読んだことも理由だろうが、近代文学の名作にしては読みやすく、純粋に面白かった。
佐助と春琴のつながりは、主従・師弟・相弟子・実質上の夫婦と、複雑かつ奇妙である。そして、春琴の嗜虐性は度を超えた恐ろしいものとして傍目には映る。しかし、佐助は春琴との関係に心底喜びを感じているようであり、例の事件後には自ら双眼から光を奪うことで、「此の世が極楽浄土にでもなったように思われお師匠様と唯二人生きながら蓮の台の上に住んでいるような心地」となるのだった。
このような、当人にしか分からない関係や感情というのは、谷崎の『痴人の愛』や凪良ゆうの『流浪の月』にも見られると思う。人間、他人のことに口出しするのはよすべきということか。
とはいえ、本作の面白さは、2人の不思議な関係や感情を、軽妙洒脱な文章に身を任せながら眺められる点にあると思う。所々の展開に驚かされつつも、読後にはきっと微笑ましい気持ちになれる、本作はそんなハートフルな物語である。
Posted by ブクログ
春琴のほうが佐助の存在にズブズブなんじゃないか
何にも見えない世界で、佐助、と名前を呼べば、いや、呼ばなくても、すぐに察して、手を取ってくれる存在が幼い頃からずっといるんだぞ。どこまでも甘えていい存在が、安心がそばにある。
春琴にとっての佐助、依存どころか世界そのものでしょ
春琴ってファムファタール的な存在として語られるんだろうけど、どっちかというと絶対離れられない麻薬みたいな男を得てしまった女の子のように思う
あまりの高貴ゆえ素直に愛を捧げられない乙女
世界の全てだった男が自分のために世界から目を閉ざしたことの重さ
ハッピーエンドなようなそうでも無いような
佐助は盲目になったことで春琴が見ている世界に辿り着けた、春琴と同じ世界に辿り着けた
ふたりとも盲目になったことでふたりにしか分かり合えない世界に到達した喜びを感じる
しかし、盲目になった佐助が見つめるのは美貌を損ない、歳をとり、内面も変わっていく今の春琴ではなく、かつての完璧な美貌を持つ傲慢な、過去の春琴の幻影である
ハッピーなのかそうで無いのか
佐助からしたらハッピーに溢れた生涯でしょうが春琴からしたらちょっと寂しい
Posted by ブクログ
琴、三弦の名手であり、盲目の美女→春琴
男女関係があるも表に知られないようにし、最後まで師弟関係を貫き通した→佐助
春琴と佐助、2人の生き様と谷崎潤一郎の文章の妙に、非常に興味を掻き立てられました。こんな愛もあるのかー、とゾクゾク感ハンパなし!とても短い小説でありながら、深みがあります。文章が何しろ素晴らしいです。この小説は、句読点が結構な割合で省略されています。現在も筆でフォーマルな手紙を書くときには、句読点を省くのが通例ですので、谷崎さんは小説の原稿を筆で書かれていたのかな?と想像しました。
芸の道の厳しさ、春琴のわがままな性格と盲目である故の苦悩、佐助の徹底した春琴への敬愛、奉仕の精神......。春琴が襲われて顔に外傷をおった後の佐助の行動に、言葉を失いました。やっぱり佐助はそうするのか- なんとなく予想してました。
Posted by ブクログ
被虐趣味という言葉で称されることが多い本ストーリーだが、今日の関係性でいえば、そこまで逸脱した関係性と思えない…というのが正直な感想だった。
どちらかというと…伝聞調で記される2人の間の出来事には、主観や心の機微が意識的に記載を避けられている。そのため、あまり直情的に訴えるものがないのではないか。一方で、伝聞調による行間があるからこそ、色々な経験を積んだ人には感ぜられるものが多い…甘酸っぱかったり、苦々しかったり、憧れたり…描写されていない2人の行間を人によりさまざまに味わうことができる。ここが本書の良書たる所以であり、今日に至るまで愛される作品となってる理由なのではないか。
Posted by ブクログ
佐助。男。家は貧しく、9歳のときから裕福な商家で奉公人(使用人)。奉公先の商家の娘・春琴(しゅんきん)。盲目の美少女。「端麗にして高雅」。佐助は春琴の世話係になる。春琴は気位が高く、神経質、他人に弱みを見せない。春琴は佐助が些細な失敗をすると激しく叱責、暴力を振るう。美貌・未婚・資産家の娘。盲目の美少女から”ムチ”うたれる不思議な快感。佐助は春琴を崇拝するように。しかし、ある日、春琴は寝込みを襲われ、顔に熱湯を浴びせられて重い火傷を負う。春琴の顔の皮膚は焼爛(ただ)れ、醜悪な姿に。春琴「見てはならぬ」。佐助は春琴の変わり果てた姿を見る前に、自分の両眼を縫い針で刺し、自ら盲目となる。これで春琴は美しいまま。いや、以前よりも美しい。佐助は「現実に眼を閉じ、永劫不変の観念の世界へ飛躍」する。谷崎潤一郎『春琴抄(しゅんきんしょう)』1933★
*句点が少ない。会話と地の文が滑らかにつながる。
*第三者が資料を調べて再構成した体。距離を置く。美しい虚構。近すぎる現実は美を壊す。
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谷崎潤一郎『痴人の愛』1924
日本人の美意識は光の当たらない暗い部分にある。扇風機や電気ストーブは座敷に似合わない。白い西洋式のトイレは不浄を排除する意識しか感じられず、風情がない。谷崎潤一郎『陰翳いんえい礼賛』1939
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