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芥川賞作家、藤野可織が描く、現実と非現実の交錯する恐怖の世界。
主婦の内田百合は隣人男性の高木の奇行に不安を覚える。どうして彼は、玄関ではなく家の裏の窓から、靴も履かずに、狭いブロック塀の間を縫うようにして外へ出るのだろう…?あの家の中で、一体何が起こっているというのか。
薄暗い部屋の中に、食われた鳥の残骸と鳥に変身した大男が立っている。鳥男が次に食べるものは決まっている。その家の主人だ。家の隅に追い詰められた高木は、食われる前に、鳥男を殺すことを決意する。
登場人物たちの恐怖と不安が入り混じり、読者は幻想世界へと誘われる。現実と非現実とがつなぎ目なく語られて、どこからどこまでが本当で夢なのか、誰にも分からない。
表題作の他、恐竜に母を食われた女性の内面を描いた「溶けない」、奇妙な愛の叙情作「胡蝶蘭」を収録。藤野の描く恐怖の幻想世界へ、ぜひ溺れてみては。
Posted by ブクログ 2015年09月05日
表題作は、どうも世界に入り込めなかったので、特に感想は書かず、併録されている「溶けない」について。
<溶けない>
子ども(小学校低学年)のころ、夜眠っているときに足を引っ張られるような感覚があり目が覚めてしまうことがたびたびあった。あの頃はオバケの仕業かとびくびくしていたのを覚えている。この小...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年10月22日
「いやしい鳥」「溶けない」とショートショートの「胡蝶蘭」の3篇は、いずれも不可解な怪物に出くわす話。不条理な状況に翻弄されつつも、それに抗い立ち向かうラジカルさが更に事態を悪化させるのは、初期筒井作品を彷彿とさせる。
「いやしい鳥」は、お隣に住む主婦を一方の視点に加えたことにより物語に客観性を与え...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年04月15日
「爪と目」「パトロネ」に続いて3冊目、相変わらず不思議ちゃん全開の藤野ワールド。
飲み会帰りにひょんなことから転がり込んで来た学生がペットのオカメインコを食ってしまったあげく自らがそのものになってしまい飼い主を攻撃するという荒唐無稽なストーリーなのだがやはり構成が冴えている。
読み手はオポチュニズム...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年03月17日
言ってしまえば世にも奇妙な物語。
現実世界なの起こり得ない方向へすすんていく。
飽きない程度の長さのお話になっているのて矛盾とか詳しい説明が必要がない。
「溶けない」は妄想なのか仮想世界なのか最後までわからなかったけどこちらの想像が膨らむ話だった。ちょっと説明不足だったけど。
ちょっと怖いお話...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年12月20日
「いやしい鳥」
「溶けない」
「胡蝶蘭」
文芸誌で短編一本読んだときから何となく気になっていた作家さん。
やはり好みな作風だった。
いずれの話も非日常・非現実な事柄が登場するのだけれど、それがもしかしたら語り手だけの体験なのではないかと不安を抱かせる。
この非日常との距離感がとても自分にしっくりく...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月04日
「いやしい鳥」
鳥を飼う男。その隣人たる主婦。この二人の視点が交錯しながら、鳥とそれを食した青年の惨劇が紡がれる。
「溶けない」
幼い頃、母を恐竜に食われてしまった女性、その記憶と、その後の人生、そして再びの遭遇を描く。
「胡蝶蘭」
物喰らう胡蝶蘭。それを引き取った女性。その、奇妙に...続きを読む
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