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道化は硬直化した秩序のいたるところに軽快な身振りで登場し、脱臼作用(=イタズラ)を仕掛けてまわる──さまざまな現実のレヴェルをダイナミックに捉えてゆく感受性や方法論を鍛えるためにこそ、〈道化〉的知のモデルが求められている。縦横無尽の行動力と旺盛な知的好奇心で現代日本の知的文化状況に対し、常に挑発者として振るまいつづけてきた著者が、知のあらゆる領域へ向けて果敢な展開を示した最初の道化論集。
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Posted by ブクログ
分類の項目にしてしまうほど私に影響を与えた。 道化というものは、人々の周りを回ってきゃっきゃと笑わせているが、その道化がいつの間にか輪の中心にいることがあるというこの話は、本当に勇気づけられた。
著者の論文やエッセイなどをまとめた本です。なお『山口昌男著作集』全5巻(筑摩書房)に収録されている論文も、一部含まれています。 チャップリンとならぶ喜劇王バスター・キートンに対する著者の偏愛が語られているいくつかの論考は、興味深く読みました。著者は、自身の道化にかんする思想にもとづいてキートンの演...続きを読む技を解釈しており、彼の身振りが日常生活からの逸脱であるとともに、新たに形成されるコスモロジカルなリズムに観客を巻き込んでいくと論じられています。 著者は、こうしたキートンの喜劇を、チャップリンのそれと比較し、チャップリンのばあいには「作品のなかで事物の世界がアニメートされることはほとんどない」と辛い点をつけています。また、「チャップリンは「モダン・タイムス」などの作品における下層労働者や浮浪者への同情から始まり「独裁者」や「殺人狂時代」などの作品によって、二十世紀の大ヒューマニストと考えられて」いるけれども、じつは「二十年代以前のチャップリン作品は、常に、大衆文化と偏見の構造に乗っている作品が極めて多い」ことを指摘して、通俗化したヒューマニズムの前提をくつがえすようなコスモロジカルな作品世界をつくり出すキートンの喜劇に軍配をあげています。
「道化」について考える上で、豊富な具体例が非常に参考になる本でした。 名前も聞いたことのないような民族の昔話がいくつか紹介されていますが、それだけでも十分読む価値はあるくらい興味深かったです。
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