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何かがおかしい。「嫌な感じ」がどうにも消えない。カリスマが現れても新政府ができても高邁な理想を掲げられても、絶望的いらだちが治まらないのは、なぜなのか? 橋下現象、政権交代、国境騒乱等混沌の真因はどこにあるのか? 維新、大戦、高度成長期等の転機から自由、平等、民主、経済成長、ヒューマニズムの追求こそが幸福であるという、この国が負わされた近代主義を徹底的に懐疑する。稀代の思想家からの鋭い一撃。
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Posted by ブクログ
4章以降の、日本の歴史的考察の部分は、内容としては理解できるが、あまり興味を持てなかった。 ただ、3章までの政治に関する部分は、激しく同意できるし、「そうそう、それが言いたかった」というところばかり。 こういうふうに、自分の考えを文章なり言葉なりにして表現できるようになりたい、と思わされた。
本の紹介に書かれてある 何かがおかしい。「嫌な感じ」は現在の日本人なら普通そう思っている。 その「嫌な感じ」の根源は何なのか。 佐伯啓思氏が、明治の開国に遡り、日本社会が背負っている宿命を見事に解き明かしてくれている。 GHQに押し付けられた歴史観に騙され続けている日本社会、司馬史観とも異なる...続きを読む視点。 佐伯啓思氏は、所謂、学会にも属さない、わが道を行くという生きかただ。 そこらあたりが、私にとって、とっても共感できる部分である。 終始一貫する言説が、信頼の元なのである。
日本人として謙虚に歴史と向き合い、自分の立ち位置をしっかり自覚することの大切さを教えられた。アベノミクスなど浮かれているが、結局、今の日本という国は、戦争の疾しさを抱え、西洋・アメリカの従属の上に成り立っている。戦後はいつまでも終わらず、この歴史はぬぐうことはできない。攘夷のはずたっだ開国→文明開化...続きを読むと同時に、「義」を捨てて「利」や「便」を追及することになった我々日本人。その流れは今も続き、ふと「負い目」と「疾しさ」を忘れがちだが、これが消えた時に本当の「無機質で空っぽの国」ができあがる。あがけばあがくほど精神の空洞化が進む中で、この国はどこへ向かうのか。大衆の一人として考え、行動することの大切さを痛切に感じる。
80年代のアンソロジー的な懐古はあまりに秀逸。 滲み居るように胸に刻み込んで来ます。 自分たちはこの時代の人間なんだと思うのですが。 最近大学の大掛かりなOB会で名簿を作りたい旨述べて来たのです。 そこに平成の表記はありませんでした。 自分たちこそ「平成」を実際に名乗り、この御代の終焉の 総括という...続きを読むか、まあなんかあるんじゃないのかなって。 西暦要求されている時点で「こいつ等とはなんか違う」そう感じました。 東京或は関東で豊かな都市文明を浴びていたのでしょう。 実家に帰りUターン就職でまさしく田舎モノになりきり意識の面で決定的な違いがある(上下ではないですよ)だろうと 彼処(都心)に居ると見喪うものがあるのでしょう。おそらくは、見喪ったことすらも忘れてしまっているようなもの。
江戸幕府最後からの歴史を勉強しないといけないと思った。大東亜戦争への宿命、必然。 アメリカへの従属。それに、満足というか知らない内に、取り込まれている。それも気づかないまま。
現在の日本の抱える問題を「精神の無脊椎症」と批判し、日本は自らが立つ拠りどころ、揺るぎない考え方を得る必要があると主張する。 現象として批判されるものが「アメリカ化」や「政治のポピュリズム」。 なぜ、そのような状況に陥ったのか、黒船来航から遡り検証する。 ひとつの解として明治維新に植民地化を避け、「...続きを読む一国独立」を志した際の志士たちの精神構造を振り返る。福澤諭吉も登場。 政治家としてあるべき姿を論じる箇所では、現代の政治家であればトニーブレアを思い浮かべた。 以下引用~ ・ナオミ・クラインの「ショック・ドクトリン」、、、ショックによって社会を活性化しようというのです。 ・最初に政治学という学問を生み出したプラトンがもっとも警戒したのが民主政治だったということは改めて注意しておいてよいことでしょう。政治学は民主政治への警戒から始まったといっても過言ではありません。 ・政治とは、私見では、三つの重要な要素をもっています。 第一に、国や社会の長期的なあり方を国民に提示する。そして、そのための方策をある程度実現する。 第二に、緊急事態など何か大きな事態が生じた時に、決定的に重要な決断をする。 そして第三に、今日の民主政治は多様な利害のからみあいですから、多様な利害を調整する。 それぞれ『構想の政治』、『決断の政治』、『調整の政治』といってよいでしょうが、今日の政治家に求められるのはこの三つの能力です。そしてもうひとつ付け加えれば、以上のことを国民に訴え、説得する能力です。 ・少なくとも、戦後、われわれが「世界」といった時に「世界」とは何かというと、実は「アメリカ」なのです。「世界標準」とはアメリカの示したルールなのです。 ・すでに、「開国」への強力なバイアスがかかってしまうのです。ではそのバイアスを生み出したものは何か。それはいうまでもなく明治の「開国」でしょう。 ・「一身独立」しなければ「一国独立」もありえない。そのためには人は「報国心」をもって自分の「国」を引き受け、各人が「おのおのその国人たるの分」を果たすことが肝要だ、というのです。 ・福沢がもっともきらったものは安直な便宜主義であり、簡単に「利」につく性癖であり、義を失っても恥じない奴隷根性でした。 (痩我慢)
現代日本の混迷をとてもシニカルな視点から捉えている。日本の無脊椎化はどこからやってきたのか。敗戦は江戸時代の開国の時点で既に用意されており、その後のアメリカとの従属的な付き合い方も占領と言うプロセスを経たこと以外に説明ができる。福沢諭吉の心情の変化から三島由紀夫の予言した日本の現出まで、知識人と呼ば...続きを読むれる人たちの思想から無脊椎化の正体を炙り出している。 無機質でのっぺりした日本がこうあるべきなどと声高に叫ばず淡々とした筆調はとても読みやすく好感。
通勤時間に読むつもりで購入しましたが、読みやすかったので、休日1日で読み終えてしまいました。 ただ、東京裁判や開国の歴史など、ざっと読むにはもったいない内容も多かったので、時間のある時に再読しようかと思っております。 また、私は福沢諭吉を食わず嫌いにしてきましたが、この本を読んで見直しました。学問の...続きを読むすすめ等、著書に手を付けていきたいと感じました。そのほか、オルテガの思想も引用されていますが、学問の幅を広げていくのに適した本ではないかと思いました。
グローバル競争の中で日本経済は大停滞から抜け出すことができず、仕事も不安定で、将来への見通しも立たない。誰もが殺伐としたものを感じている。大衆の不満や不安は、毒には毒をもって制する指導者、橋下氏を求めた。橋下現象を支えているのは薄く広く引き延ばされたルサンティマン。敵対者を悪者にしたてあげ大衆の不満...続きを読むの矛先と仕向ける。橋下氏を強引で自己中心的でとんでもないという人もいるが、残念ながら筋違い。我々が問題とすべきは橋下現象を生み出してしまうこの日本社会の現状そのもの。ネットなるものをほとんど見ない、橋下氏を全く知らないという著者が橋下現象の核心を突く。2章以降、総理の品格、独立論など、興味をそそるコンテンツが第9章まで続く。資料やデータは一切ない。著者の見識のみをもって思想的な観点で論じられているが、どれも読みごたえがある。自分の思想の遠近を正し軸もしっかり据えてもらえた。
幅広い内容があり、ここから他の専門書へと広げることが出来そう。 直接民主主義と間接民主主義、無脊椎、サンフランシスコ講和条約、開国論、福沢諭吉などなど。より知りたいことがたくさん散りばめられている。
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