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世界各国の紛争地域を取材してきた著者が、最愛の妻をくも膜下出血で亡くすまでの看取りの十日間を記録したノンフィクション。世界中で多くの生と死を見続けてきた著者だったが、迫りくる妻の「死」には、ただひたすら戸惑い、動揺し、取り乱すばかりだった。回復の兆しはなく、意識も戻らぬまま、脳死に陥る妻。著者は、妻の「その瞬間」までを詳細に記録することで、過酷な現実と向き合うことを選ぶ。【目次】プロローグ/第一章 突然の知らせ/第二章 延命/第三章 家族旅行/第四章 日記/第五章 病床の聖餐式/第六章 目の前の事実/第七章 不安/第八章 鳴り始めたアラーム/第九章 二人だけの時間/第十章 桜舞う夜に/エピローグ
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Posted by ブクログ
くも膜下出血で倒れ、41歳で亡くなった妻の看取りの記録。
著者の桃井和馬氏はフォトジャーナリストで、たびたび戦地にも赴いたこともある人だ。死の色濃い現場の回想と交互に綴られる十日間。
会社で妻が倒れたと聞き、ショックで意識障害を起こしながらも病院に向かう著者。ほどなく脳死状態であるとわかると、妻のかねてからの意思に従い延命処置は断り、意識も戻らぬまま死にゆく妻を傍らで見守る。忘れ形見の娘と家族、友人、医師や看護師にも寄り添われながら。
著者は横たわる妻の体に触れ、彼女の日記帳を読み返しながら、元気だったころの妻を回想するが、これがまたカッコイイ素敵な人で、著者の愛情と喪失感はいかばかりのものかと思う。
混乱と繰り返し襲う悲しみの発作を経て、現実を少しずつ受け容れていく様子には涙せずにいられない。
途中で本を置くことができず、一晩で読み通してしまった。泣きながら夜更かししたので翌日は目が腫れて大変だったが。
私が死んだら夫はどうするかな、と思った。
夫が死んだら私はどうなるかな、と思った。
人はいつか死ぬ。その時がいつかは誰にもわからない。
それまで、どう生きるのか。
大切な人とどう向き合うのか。
どんな思い出を残していけるのか。
そんなことを思った。
Posted by ブクログ
くも膜下出血で妻を失ったジャーナリストの手記。
これほど、真摯に生と死を見つめた本に今まで出会ったことがあっただろうか。
妻への愛、娘への愛、家族、仕事、生きること、死とは。
世界で起きている様々な紛争や内乱、遠くの国で起きている生と死の闘い、そして自分の妻の生と死の闘い。
信仰を持たない私には、なんとなく別世界のような感覚のあった「神」という存在について、クリスチャンでもある桃井氏が「人間の意識を遥かに超えた存在、母なる大地とか宇宙の原理とか、そういったものに近いか、またはそれさえも超える存在」「神に祈ることで奇跡を望むのではない」と書いていた。
著者が、妻の現実に向き合い、やがて来る最期の時とそれを受け止めようとする覚悟の日々を読みながら、信仰心をもつ人の「神」というものの捉え方というか、宗教観のようなものが、初めて少し理解できたような気がした。
死生観というものを、強く考えさせられた。
生のすぐそばに死はある。
Posted by ブクログ
桃井和馬著「妻と最後の十日間」集英社新書(2010)
*妻はたくさんの思い出を残してくれた。それだけではなく、私に1つのチエをも授けてくれた。人は試練を受け続ける。しかし、乗り越えられない試練ではない。そして乗り越えた後は、乗り越えたくなんの大きさだけ、他人の痛みを理解できるようになる。頭で理解していたこの当たり前の事実が、身体で理解できるようになったのだと今は思う。1人の女性の生と死を巡る中、いつもパウロの言葉を思い出していた。「あなたがたを襲った試練で人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなた方を耐えられないような試練に会わせる事はなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。」
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