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Posted by ブクログ
石動シリーズ4作目にして最後の作品。
まずはシリーズの順に読むことをおすすめする。その方がより作品を楽しめる。
本作は750年前の騎士の亡霊が取り憑いて、自分の殺人事件の謎を解けというところからはじまる。しかしここまで石動シリーズを読んできた人ならば、途中で始まる逃走劇や大立ち回りにもついていけることだろう。
わりとはじめのあたりで密室殺人に対する一つの解を示したが、それでは成仏(クリスチャンの亡霊なので正しい表現ではないけど)できなかった。
後半で改めてその事件に対する解が示される。そして亡霊憑きは治る。しかしやっぱりこの霊は天に召されることも地獄に落ちることもない。
アントニオだけが捉えられるようになった最後、騎士は事件の真相を語り始める。最後に明かされるトリックは、果たしてそんな解決でいいのだろうかと思わなくもないのだが、それを悲哀というか悲愴が上塗りして、そんなことはどうでもいいと思わされる結末だった。
本作は多重解決ものと言ってもいいだろうし、ややバカミスと言われるのもむべなるかな、人によって評価が分かれる作品なのは間違いない。
しかし、ようやくここへきて石動、アントニオのキャラが立ち、そこへ水城という石動以上の名探偵まで現れて、いよいよこのシリーズもここから加速したのではと思うと、続きを読むことが一生できないのは、なんとも寂しいかぎりである。
Posted by ブクログ
石動戯作シリーズ最後の作品。
とはいえ前作の『鏡の中は日曜日』をとばしてこちらを先に読んでしまった…。
そっちに出てくる登場人物がでてくるのでやはり順番通りに読むべきだったかな…と。
750年前のエドガー卿の死の真相を探ってほしい、というとこから入って現代の事件も起こってしまい…という話でエンタメミステリというかバカミスというかアンチミステリというか…。
本格ミステリのようにカッチリした動機やトリックを重視する人は難色を示すかもしれませんが、どんなんであれ楽しめればという人にはいいと思います。
エドガー卿いいキャラしてました。
生真面目だったり大暴れしたり現代の物に戸惑ったりと事件の最中ですがなんだか微笑ましかったです。
オチには賛否ありそうですがあの切ないような爽やかなような感じは私は好きです。
石動とアントニオのコンビはかわいくて個人的に好きだったので、これでお別れだと思うと寂しい…アントニオが手ふってバイバイしてるとこがこっちに向かってサヨナラしてるように思えてきてなんだか…切なく…。
Posted by ブクログ
フランスの古城を移築したあと、
突如中世の騎士として振る舞い始めた
テーマパークを経営する会社の社長・江里。
「七百五十年前のわが死の謎を解いてくれ」
という社長の頼みに困り果てた常務が呼び寄せたのが
自称名探偵の石動戯作。
奇天烈な依頼にほとほと手を焼く石動。
苦肉の策で、重役連を巻き込んで
七百五十年前の事件の状況を再現することを提案するが、
その直後、実際に殺人事件が起こってしまう。
そしてその嫌疑をかけられたのは江里社長。
現在と大昔のふたつの事件の謎を、
石動は果たして解き明かすことができるのか――。
一作ごとに奇想天外な物語を見せつけてくれる殊能将之。
今回も非常に変わったミステリとなっていた。
「自分は中世の騎士だ」と主張する社長に
石動や重役連の人間が振り回されるわけだが、
その社長には実際に中世の騎士の亡霊がとりついている、
という設定がそもそも面白い。
物語の半分は、その騎士の亡霊の視点から描かれるのだが、
七百五十年の間に進歩した文明や、
フランスと日本の文化の違いに
いちいち驚いたり、独自の解釈をしていくところが
非常にユーモラスで、読んでいてそれだけでも楽しい。
一風変わったストーリーでありながら、
殊能将之の作品を読んでいつも思うのは、
非常に「端正」な作品であるということ。
文章にはいびつさが微塵も感じられないし、
構成も一分の隙もなく、まとまりがとても良い。
また、殊能将之の作品の裏には
膨大な書物や映画の世界が背景としてあり、
いつかそれらを理解することができたらいいな、
という憧れを今作を読んでいても感じた。
とにかくおかしな作家だとは思うが、
個人的にはこの人の作品にハズレはないと思うので、
新作を早く発表してもらいたいものである。
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