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ソクラテス・プラトン以前の「ギリシアの古層」とは? オイディプスの悲劇の本当の読み方とは? 社交を尊び、戦場で神を感得し、悲劇的世界観を物語に読み込む。そんな古代ギリシア人たちの精神を、ヘロドトスやトゥキュディデス、ギリシア悲劇や叙事詩などのテクストから喚び起こし、ギリシアの古層にある思考に光を当て、さらには現代の哲学的問題へと思考を深める。(講談社選書メチエ)
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Posted by ブクログ
プラトンの提示した視点があまりにも当然になりすぎたプラトン以後の世界の見方に対して、そうではない視点から古代ギリシアの哲学を見直す、という提案。 イオニアの系譜として、文献が比較的残っているアリストテレスを読み直すことで何が得られるかということだが、脱プラトンでラカンやカントが引き合いに出されている...続きを読む。 そこが激ムズの原因でもある。難しすぎてかなりしんどかった。 全体像が掴みにくいのだが、偶然と運の違いや、差異によって意味を何に固定するのか、その時隠蔽される別の可能性による悲劇性など、面白い箇所は随所にある。 ラカンやカントの部分がわかれば、もっと理解が進むだろうし面白さの裏付けにもなると思うのだが、内容が複雑で、いまはちょっと力不足だなという実感と共に読み終えた。 いつか再読するかもしれないが、かなり体力を使った割に読後の達成感は薄くて、その気持ちになるにはまだまだ勉強が足りない。
古代ギリシアの思想、とりわけアリストテレスの『霊魂論』を中心にとりあげ、その検討を通じて著者自身の哲学的考察が展開されている本です。 著者は、ギリシア悲劇において表現されている世界観を明らかにしています。アリストテレスが『詩学』のなかで、「悲劇が人の心を動かすに当たって最も大きな役割を果たす二つの...続きを読む要因、すなわち逆転と認知とは、いずれも筋の要素に他ならない」と述べていることを引いて、悲劇的な運命の「認知」の契機が作品のなかでどのような役割を果たしているのかということを、具体的に示しています。 しかし、悲劇の本質を明らかにすることが本書のねらいなのではありません。著者は、悲劇的な帰結が登場人物たちによってそのようなものとしては自覚されていないことに目を向け、ラカンの思想などを参照しながら、「知」が成立するための時間的な構造についての検討へと進んでいきます。 こうした著者の思索は、アリストテレスの共通感覚論へとつなげられます。著者は、共通感覚を統覚になぞらえて理解することはできないと主張し、時間のうちにおいて感覚を受容することに内在的な観点から、共通感覚的な「知」が成立するにいたる理路を解明しようとしています。 アリストテレスの解釈そのものが主題ではないので、アリストテレスの議論を手がかりとしながらも、著者の自由な思索が展開されています。ただ、前半部分は問題の核心にせまるよりもその周辺を逍遥しつつ議論がなされているという印象を受けます。
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