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もっとも平易でコンパクトな中国史の入門書。中国とはどんな意味か、そしていつ誕生したのか? 民族の変遷、王朝の栄枯盛衰や領土拡大を軸に、中国の歴史をわかりやすく教える。まったく新しい中国史の登場。(講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
古本で購入。 中国史復習企画第1弾。 結論から言うと、あとがきを読めばほぼ事足りる。 それプラス全8章の内の序章・第1章前半・第2章を読めば充分かと。 下に引用したテーマのせいか著者の専門のせいか、通史としては偏りまくってます。 元~清にかなりの紙幅が費やされてる割に、唐なんて5ページか...続きを読むそこらで滅亡しちゃうし。 ということで、中国史の入門書としてはオススメしない。 中身はと言うと、 「近代的な中華民族とか漢族とかいう観念の形成される以前の時代を中心に、現在の中国に相当する地域に生きたいろいろな種族と、彼らの生きた環境について論じる」 というのが大きなテーマ。 著者は秦の統一から日清戦争での清の敗北までの約2100年間を「中国文明」の時代と定義し、秦以前に「中国文明」はなく、日清戦争により「中国文明」は断絶、日本版西洋現代文明の時代となり現在に至るとする。 この本のおもしろいところは、実はこの「『中国文明』の定義」。 著者は「中国」を 「皇帝を頂点とする一大商業組織であり、その経営下の商業都市群の営業する範囲」 「北緯35度線上の黄河中流域の首都から四方にひろがった商業網の市場圏に組みこまれた範囲」 とし、「中国文明」を 「商業文明であり、都市文明」 としている。 その文明が秦の皇帝制から始まり、日清戦争後の西洋文明の導入で放棄されたから、この期間を「『中国文明』の時代」というわけ。 「商業圏=中国」っていう見方はおもしろいな。ただ不勉強だっただけかもしれないけど。 この他、最初の「中国人」夏人と四夷から始まる「漢族」「中国人」の枠の広がり、使われる言語の変遷、なんてあたりもなかなか面白い。 それにしても、清末からの近代化は「日本を中心とする東アジア文化圏の一部に組みこまれ」るもので、1970年代に始まった現代化とは「実質的にはアメリカ化、日本化」であり、1945年に中断されて以来の「日本文明圏への復帰」という論はちょっとすごい。 中国の近代化への日本の影響の大きさについては論を待たないけど、ここまで言う人は初めて見た。
そもそも中国とは何か?から、説き起こす。中国には漢民族という単一民族はいない。漢字を使う多民族の集合体。儒教国家のように思われるが、実は道教の方が根深く中国社会を規定している、朱子学は朱熹がそれを儒教の言葉で捉え直したもの。夏王朝はベトナムの方から来た東夷が作った。それ以降も西戎や北狄が入れ替わり中...続きを読む原を支配して王朝を作ったのが、中国の歴史。清王朝の滅亡以降は、中国文明が終わり、日本で漢字化された日本式西洋文明になるという歴史観は驚いた。
[ 内容 ] 序章 民族の成立と中国の歴史 第1章 中国以前の時代―諸種族の接触と商業都市文明の成立 第2章 中国人の誕生 第3章 中国世界の拡大と文化変容 第4章 新しい漢族の時代―中国史の第二期 第5章 華夷統合の時代 第6章 世界帝国―中国史の第三期前期 第7章 大清帝国―中国史の第三期後期 ...続きを読む第8章 中国以後の時代―日本の影響 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
中原に始まった中国が、北狄の侵入を受け同化していったという大きな歴史観を展開している。中国の文明史を3期に区分し、それぞれを前期・後期に分けているのはわかりやすい。 中国以前 ・東夷は低地人、南蛮は焼畑農耕民、西戎は草原の遊牧民、北狄は狩猟民を指した。北は森林におおわれていたが、元代までにほとんど...続きを読む消滅した。 ・龍はもともと東南アジアのモンスーン地帯の水神。越人は水難を避けるために龍の文様の入れ墨をした。 ・王宮を囲む塀は本来、市場の囲いで、入る際に手数料を取り税の起源となった。王宮の塀が発達して都市を囲む城壁となった。中国の本質は、皇帝を頂点とする一大商業組織。 ・漢字の原型が発生したのは華中の長江流域で、夏人が華北にもたらした。 第一期 ・秦の始皇帝が漢字の字体を統一して焚書をつくった。 ・前漢が滅亡してから後漢によって再統一されるまでに人口が4分の1に減少し、黄巾の乱から半世紀の間に10分の1に減少した。 ・三国時代の後、内地に移住させられていた遊牧民が五胡十六国の乱を起こして北魏が華北を統一し、漢人は長江の南に避難して南朝をつくった。 第二期 ・隋、唐は鮮卑系王朝に由来する。隋の時代に科挙が始まり、漢字の使用能力によって人材を登用した。唐代末には木版印刷が発達した。 ・モンゴル高原では、7世紀末に突厥(トルコ)第二帝国が独立し、その後ウイグル帝国、キルギズ人、タタル人(ケレイト)の支配へと変遷した。 ・10世紀初頭には契丹(キタイ)がタタル部族を破り、唐の内紛を後援して滅亡に至らせた。その後成立した北宋とは銀と絹を支払わせる和議を結び、この屈辱への反動が中国人の中華思想の起源となった。 ・13世紀にフビライが雲南省にあったタイ人の代理王国を征服したため、タイ人は南下してラオスと北タイに広がった。 第三期 ・第三期は人口が増加し、華南が開発され、東アジアの他の地域との統合が進行した。 ・14世紀に明朝は、元朝が支配していた雲南省を征服して中国の一部とした。 ・1571年にスペイン人がフィリピンにマニラ市を建設してから、メキシコ産の銀が中国に大量に流れ込んだため、中国では消費ブームとなった。その結果、女直人の地域の特産品である高麗人参と毛皮の需要が高まり、ヌルハチは富を蓄積した。 ・1624年にオランダが台湾南部の安平(現台南市)を占領し、後に北部を占領したスペイン人も追放して全島を支配した。オランダ人は開墾にあたらせるために福建省から中国人農民を呼び寄せて、中国人が台湾に住みつくようになった。 ・中国人海賊(倭寇)の大親玉の子、鄭成功は1661年に台南に上陸してオランダ人を降伏させ、台湾を占領した。23年間の独立の後、1683年に清軍が台湾に侵攻して支配した。 ・16世紀以降、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモなどのアメリカ大陸起源の農作物が渡来して盛んに栽培されたため、人口が急増した。18世紀初めには1億人を突破し、東南アジアへの大規模な華僑の移住も始まった。
序章から第2章まで感動して読んだ。特に第1章は、中国の地理と民族と古代史の関係をわかりやすく説いていると思う。第3章から第7章までは集中力を失い惰性で読み流してしまった。モンゴルのあたりが少しおもしろかったような・・・。そして第8章の中国近現代史については、ちょっとのけぞった。見方としてはおもしろい...続きを読むけれど、こんな風に言ってしまって良いのだろうか、と。
文明の観点からの中国史。ユニークで面白い部分もあるが、なぜなのか不明だったり、うなづけない話も多い。 -夏は東夷の建てた王朝であり、漢字は東南方で発明された。それが夏人によって落葉盆地に持ち込まれ、次の殷で甲骨文字に発展した。根拠不明。 -三国時代の始めに中国の人口は450万人以下となった、はそうな...続きを読むのだろうが、それでなぜ漢族の絶滅なのか。 -南朝は正統だが、隋から正統は北に移る。全国統一したのだから北へ、という意味が不明。 ー「江蘇省の南京」は単なる誤植か。 初めて知るが、うなづける話もある。 -遼河地方が山東軍の配下だったことから清の成立とともに、山東方言が北京方言となっっていった。 -清が新疆省と台湾省を設置して、モンゴル族、チベット族は裏切られたと感じ、独立の機運が始まる。
後半は歴史的事実を事細かに書き並べるだけで味気ないが、前半(古代~南宋・五代十国時代)は面白い。 古代から洛陽盆地は、黄河の性質とあいまって、水陸両方において交通の要衝として栄えていた。それより上流になると流れが急すぎ、下流だと氾濫に悩まされる。 夏は東夷の王朝で、龍(水神)を祀るのは東南アジアとの...続きを読む繋がりもある(続く殷、周ではこの風習は見られない) 殷は東北の狩猟民の王朝。 周、秦は西方の遊牧民の王朝。 また、漢字はもともと商人が使っていたする点も興味深い。 各民族それぞれの読みで読んでいたのを次第に一つの漢字に一つの読みへと整理された人工的な言語だった。 孔子などの各教団のそれぞれ独自のテキスト、読み方、文法が子弟相伝の閉鎖的なものだったのを、国家が文字の使い方を教えるというオープンな形にしたという点で、始皇帝の焚書坑儒は評価できる。 (後漢末の黄巾の乱で漢人は激減、北方異民族が大量に流入し、発音も北方由来のアルタイ語化する) 表音文字を使用する種族は情緒を表現する語彙が大量にあるが、表意文字である漢字はそもそも抽象的表現に向いていないので、『紅楼夢』のような小説でさえ感情を表現する文字はほとんど見られず、具体的な事実と行動の描写に終始している。
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