傭兵の二千年史

傭兵の二千年史

ビジネス・実用
990円 (税込)

4pt

3.5

ヨーロッパ興亡史の鍵は、傭兵にあった! 古代ギリシャからはじまり、ローマ帝国を経て中世の騎士の時代から王国割拠、近代国家成立まで、時代の大きな転換点では、常に傭兵が大きな役割を果たしてきた。(講談社現代新書)

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    傭兵の幅広さ

    傭兵というと、武器を片手に依頼者から少しでも依頼金を増やして酒と博打に変える賊と変わらぬ精神性で、規律正しい正規軍より弱いというのがイメージであった。

    本書は傭兵という職業の深さと、その定義の広さを教えてくれる。ギリシャやローマの兵役という重いステータスが貨幣主義で潰れていくと、苦役を代替する者、すなわち金銭契約で軍隊をやる者が出てくる。傭兵とは自らの肉体を使って稼ぐ娼婦と同じ立ち位置でそれだけに歴史も古い。日本で言えば封建制を建てた源頼朝よりも前、軍事力を使って朝廷に雇われていた平家すら傭兵だったのだ。

    金で雇われる傭兵は確かに訓練や規律という意味で劣ったが、その柔軟性と数を揃える速さに関しては正規軍とは比べものにならなかった。そしてその数こそが戦争においては重要だったというのが分かる。特に本書で扱われている大部分がが近代ヨーロッパというのがミソだ。古代からそうであるが銃はさらに物を言うのが「戦争は数である」ということなのだろうなぁというのが実感できる。

    一方ナショナリズム、つまりは国家主義の近代軍隊と傭兵との関係を見るのが本書の目的だと挙げているがそれを達成できているかは疑問だ。フランス革命を通じた国家軍隊の話は良かったが、他のヨーロッパ諸国での軍隊成立について知りたかった。もっとナショナリズムと傭兵の相容れなさを語るならナショナリズムについて踏み込むべきであった。
    またそれでいて、アイルランドのワイルドギースやアメリカ独立戦争時のドイツ傭兵など概要を述べているだけで中途半端な部分もある。

    傭兵の概要書というのが本書の感想なのだが、まったく知らなかった概念について触れられたのは初心者としては行幸だったかもしれない。次はもっと詳しい本も読んでみたい。

    0
    2020年06月21日

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