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Posted by ブクログ
今年読みたい本のブックリストに登録した本書。
言ってしまえば、ギリシア神話の中でも読み応えがあって面白い話ばかりが集められている。
小説家 阿刀田氏のユーモアに溢れた脚色や考察も入ってはいるけど、入門書としては最高に面白いと書評にあっただけにビンゴだった。
ほぼ全ての自然現象は科学的に説明がつくのに、何故未だに神話が語り継がれ愛されるのか意味が分からなかった。(バリバリ文系なのに矛盾したことを言う…) 神々の領域に足を踏み入れたばかりで、正直のところ読後もまだ分かりきっていない。
ギリシア神話は様々な伝説の複合体として長い時間の中で成立したものだから、辻褄が合わなかったり中には「ノアの方舟」のような”よそ”の神話と酷似した話があったりする。その辺も含めて最終的に物語として楽しむ余裕が出ていたのは、まさしく本書のおかげとしか言いようがない。
更に科学が未発達の時代だからこそ絶対的なものへの想像力(あるいは妄想力?)がとことん豊かなので、シンプルに続きが気になる。それにあやかった著者の執筆力というか妄想力も達者で、我ながら久々に良い選書をしたと思った。
最高神ゼウスがとてつもない遊び人だったりと、ギリシア神話には「神のくせに…」と軽蔑したくなるような神々がわんさかいる。そのため本書の物語群もほとんど救いようがなく、読書中は著者のユーモアとバッドエンドのアップダウンを何度も喰らった。
『パンドラの壺』もその一つで、開けるまでの経緯(開けた後の結果だけは知っていた笑)や前・後日譚に至るまで、幸と不幸の間を行き来するハメに…。知恵者の兄プロメテウスがゼウスをおちょくったせいで、地上に壺を持った美女が弟エピメテウスの元に派遣される。幸い壺を開けても二人に不幸は訪れず無事子供も生まれたが、やがて当事者の兄にお咎めが下り、別の場所では災いの種が蒔かれて…。
…まぁ著者の思惑通り、こちらも読み応えがあって面白おかしく読ませていただきましたが笑
以前は神話をおとぎ話のように認識していたが、時折現実世界とリンクしていると錯覚する事実があるからたまらない。
牛頭人身の怪物ミノタウロスが閉じ込められていた迷宮や、英雄ペルセウスが石にした海獣によく似た岩塊が、当地に実在していたり。岩の件はともかく、ミノタウロスの迷宮は実在しないと近年アメリカの研究チームが結論づけていたが、きっと他にもどこかで繋がっていると半ば信じている。
最終章の「古代のぬくもり」でも伝説と思われていたトロイア遺跡を発掘したシュリーマンのエピソードが取り上げられている。そこに著者自身がギリシア神話への個人的体験を添えられているから、彼もまた少なからずロマンチストだったのかもしれない。
裏表紙の内容紹介にある「ギリシア神話通」には及ばなかったが、神話への通用門にはなったはず。神話の迷宮に飲み込まれそうな時は、またここに戻ってこよう。
Posted by ブクログ
ギリシア神話は有名だがほんの少ししか知らないので、本書を手に取った。
この本は非常に読みやすい。神話の全てではなく、人気エピソードをいくつかピックアップしたものだ。
読んだ感想は、ゼウスは奔放だと聞いていたが、アポロンもクソ野郎が過ぎる。気に入った女性は人妻だろうが相手が嫌がっていようが、どうにかしてやろうとする。基本的に女性の立場が低いらしく、「ジュピテルと一つのもの(この場合妻)を共有するのは、不名誉ではない。」と表現されてもの扱いだ。パンドラも「すべての贈り物」という意味だし、全ての悪いものは女性が原因、とされるあたりも男性目線なのを感じる。
次にミュルラの話も興味深かった。ミュルラは実の父と悲恋をした王女が変身した樹、没薬の木の樹脂という意味。親子婚を辞さないエジプトでミルラ(没薬)が珍重される訳だ!と妙に納得。
他にはアキレウスの女装やヘラクレスが男色家なこと、イアソンの冒険など有名人の意外なところが知れたような喜びがあった。
パンドラの壺と衆議院解散を結びつける辺りは著者のセンスに唸ってしまった。プロメテウスとエピメテウスの「プロローグ・エピローグ」からの「先見の明と下衆の後知恵」も面白かった!
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