無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
できるだけ若いうちに読まなければ意味がない作品ではある。
ミステリーとして読めばあらすじにすでに書いているため面白くないが、人間が持つエゴイズムが悲劇につながっているということを念頭に置いて読むと頭が冷える作品ではある。
主人公の青年、江藤賢一郎は何事も打算的に考えてしまう性格であるがゆえに、法律を盲信しそれ以外を無駄だと切り捨ててきた。そして、自分の人生設計が崩れることを恐れ、教え子を殺し、母の声にも耳を傾けなかった。
現代で言えば何事も効率を重視する価値観に似ているかもしれない。
もしかしたら、何事も計算し、自分自身の人生を重視する結果、誰もが人間関係、社会生活の崩壊につながるのではと怖くなった。
Posted by ブクログ
高校生の時、読書感想文を書くために読んだ。
それから30年後、実家にあった文庫本を見つけもう一度読んでみた。
とても衝撃を受けた記憶はあったが、内容は忘れていた。
高校時代の自分は頭脳明晰な江藤に憧れ、エリートに憧れたと思う。
そして「女は怖い」「女で失敗してはいけない」と思った。
高校・大学時代の自分を思い返すと、この小説の影響を受けていたなと思う。
今読み返して思うことは、エゴイズム、未熟さ…
高校生の自分とは違う視点で楽しめたと思う。
高校生時代に自分が引いたアンダーラインに?を感じながら、高校時代の自分と対話しながら読み進めるという不思議な体験ができた。
読書感想文もどんなこと書いたか…
読んでみたい。
1966年に佐賀県で起こった事件がモデルになっています 数年前、モデルとされた事件が新聞で取り上げられていました 犯人を知る地元の人は犯人に同情的だったと書いてありました
人を裁く事の難しさを痛感させられた事件だったと思います 本書では主人公を法学部の学生に変えてあり、それがかえって幸せとは何かなどいろいろと考えさせられる内容になっています 勝ち組、負け組が叫ばれている昨今、是非読んでおきたい本です
Posted by ブクログ
鼻持ちならない自信家の秀才が女を二股したあげく
のっぴきならない状況に追い込まれて道を踏み外す…
そう書くと、なんだか溜飲の下がるような話だが
実際の読後感は、吹雪の夜に裸で外へ放り出されたようなものだった
彼はみずからの力を信じ、世界の秩序を信じていた
世界は己の意思による働きかけで変えてゆけるものだと、
素直に信じてしまったんだ
その一方で彼は、人を疑うということをよくわかっていなかった
考えたくなかったんだと思う、自分が他人にあざむかれ、踊らされている
ただの滑稽な人形かもしれない、なんてことは
だからこそ、逆に彼は
他者を人形のように扱い、始末をつけることで
世界に対するみずからの誠実さを証明しようとしたんではなかろうか
Posted by ブクログ
蹉跌とは、つまずきやしくじりを意味する言葉である。つまり、青春時代に味わう挫折、といったところか。
主人公・江藤賢一郎は法律を学ぶ学生で、成績抜群。司法試験に合格し、末は教授か弁護士かという有望な青年である。ただ、彼が法律を学ぶのは、世のため人のためといった崇高な使命によるものではない。彼自身の家庭は貧しく、学資も資産家の伯父から出して貰っているが、将来の出世栄達により、いわば逆・玉の輿に乗り、自分の人生の一発逆転を狙っているだけなのである。そのため、彼の性格は極めて打算的でエゴイスト。自分以外の他人は皆、敵であり、機会を見てはうまく利用してやればいいなどと考えている、とんでもないヤローなのである。
司法試験に合格し、資産家の伯父の娘との結婚話も持ち上がってきて、いよいよ道が拓けようとしていた江藤に、しかし、大きな落とし穴が待っていた。それは、自分の愛欲を満たすためだけの女性の友人・登美子の妊娠であった。登美子の家は、会社を経営する父親が破産し、貧窮の底にある。登美子は江藤に対し、結婚をしてくれ、子供を産ませてくれとせがむ。江藤は進退きわまり、登美子を殺害するに及んでしまう。
そこから先は、察しが付くかと思われる。法の番人になろうとしていた江藤が、逆に法に裁かれる立場へと転落していく、まさに青春の蹉跌。江藤は確かに頭がいいのだが、それは専攻の法律の世界においてというだけで、世の中のこと社会のことにおいては、あまりに無知でありすぎた。とにかく勝ち馬に乗りさえすればいいという、狭い視野でしか物事を捉えられない青年の悲劇がそこにあったのである。
儂もすっかり勉強オタクになっているが、江藤のような男にはなるまいと反面教師のつもりで読んだ次第。
ちなみに著者の石川達三氏は『蒼氓』で、第1回の芥川賞を受賞した人物である。いい小説をたくさん残した方なので、是非、1冊は読んでおきたいものである。
Posted by ブクログ
本屋で平積みされていて手にとった本
大学生 江藤は貧しいが野心があり、現実主義者だ。
非常に優秀で司法試験に合格、資産家の伯父の娘(康子)との縁談と社会的地位、ブルジョワへの階段を上っていくかに見えた彼の目の前に現われたのは妊娠した教え子(登美子)だった。
彼女に対して彼は死んでくれればいいと思う。
人生設計が崩れることを恐れた彼は彼女を殺してしまう。
無能で受け継ぐべきものがないが、江藤を愛し心底尽くす姿勢の登美子
プライドは高く、愛情を感じないが、受け継ぐべき資産のある康子
警察の取り調べの中で、彼は何もないが登美子となら幸せになれたのではないかと感じる。最後に待ち受ける衝撃の事実とは… (このあたりの江藤の心情は個人的にもわかる気がする。)
現代が生み出した江藤というエゴイズムの塊は特別な存在ではない。ごくありふれた人間の一人だ。世間を法という視点から見る偏狂さ、しかし、それ以外のことになるとまるで何も知らない学生。 現代(これは作品ができた当時だけでなく今も含めて)を鋭く見ている筆者の眼のつけどころに驚いた。
男女のエゴが丸出しの本作からは現代の資本主義社会の闇の一面も見える。資本主義の規律の中で生きるとはどういうことなのかを説いているようにも思えた。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸