無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
“「別に。ただストーカーが、あっちの方にいたわ。多分」
「へぇ、そっか」それは丁度良い。「じゃあ退治してくるよ」
「は?」
彼女が露骨に固まった。そうやって隙だらけに、感情を露出するのは珍しいなぁ。
「複数を単体に出来れば、俺だけでも対処出来るようになるから」
鞄の隙間から、ナイフの柄を彼女に見せる。些か心許ない状態だけど、武器は常備している。退けることも、追い払うこともこの刃では難しいけれど、先端はまだ鋭い。
突き刺すことぐらいなら、出来るだろう。
「いやあのちょっと、待ちなさい」
「講義をサボるわけだから、成果が出るといいんだけど」
「待てと。ウェイト。何を武闘派宣言してるの、優男の外見で」
意外にも、被害者である彼女が引き留めてくる。困惑しながらも、俺の手綱を握るように声を荒げて、手の平を突き出してきた。
「んー、でもいつまでもストーカーが周りにいたら、きみが危ないし。顔面を少し破壊してから、二度ときみに近寄らないと宣誓書の一つでも書かせるべきかなぁって」
デートもしづらいし、集中出来ないし。何より彼女が危険に晒される前に、行動は終わらせてしまった方が良い。その方がきっと、後悔は少ない。
それ以上、強く止める気はないのか彼女は、また中央講義棟の方に目を向けている。ストーカーをその視線の先に捕捉しているのかな。
(中略)
「わたし、ひょっとして人選を誤ったかも」
「大丈夫だよ。腕っ節には自信がないから、本当は怪我なんか相手に負わせられない」
そう本気で主張して、二の腕を撫でる。筋肉の不足した、細身の腕。握り拳を叩きつけても、こっちの手と骨が痛んでお終いになるような。
彼女は下らない冗談とでも解釈したのか、頬を引きつらせて俺の非力を受け止める。
「でもあなたには、ナイフがあるじゃない」
そう指摘されたので、にこりと微笑んで顎を引く。
「だからきみを守れる」
そう返すと彼女は天啓、もしくは呪詛に首筋を潰されたように息を詰まらせ、目を剝く。
そっちから言い出したのに。
守られる覚悟は、出来てなかったのかな。うーん......いや、後でまた話し合おう。
「あなたって......何だか、ひょっとして」
彼女が何か呟いているけど、音量を抑えすぎて聞き取れない。これ以上話していたら、ストーカーを捕縛する時間が足りなくなるかも知れない。
名残惜しいけど「よーし」とわざと陽気に前振って、駆け出した。”
んーやっぱり読んでてちょっとひっかかるなぁ。
破壊する、とか夜に走り回ってた、とか。
ただの演出か彼の中身に関する意味があるのか。
単行本読んだけど、再読。
俺のするストレートな感情主張が好きだなー。
「そのあと」も良かった。
“二人で目を合わせたり、曖昧に笑ったりの時間が過ぎる。その波が完全に引いた後、彼はわざとらしく咳払いした。なにかを区切るように、自信の始まりを演出するように。
彼が私の正面に立つ。試しに私が左へ一歩動くと、彼も追従してきた。素早く左右に跳んでみる。勿論、一緒に跳んできた。ふむ、なかなか大事な用事のようだ。
「あのさ」
「うん」
彼が口もとに手を添えて、目を泳がせる。そうして少し、逃げるように間を取った後、背筋を伸ばして私に言った。
「実は来週、告白するつもりなんだけどその日にデートしてくれない?」
「..........................................」
無言で耳の穴をほじった。それを見て取って、彼が人差し指を立てる。
「もう一回言おうか?」
「お願い」
「実は来週、告白するつもりなんだけどその日にデートしてくれない?」
二回目ともなると羞恥心が薄れるのか、彼の舌もスムーズに回った。
「告発じゃないよね?」
「違う違う」
「じゃ、じゃあそのままの意味か」
「う、うん。そうだね」
「そうか、そうか......」
腕を組んで、頬の熱をごまかすように大げさに、首を縦に振る。こ、告白だと。
段取りってものを無視して、いきなりそんなこと言いに来るとは。
侮りがたし、ハンサム丸。攻め入り方が大胆にも程がある。
無謀にして無策、のはずなのに。相手がこの男だとそれで十分、効果的すぎるのだ。”
Posted by ブクログ
傑作でした。なんで入間作品をなんだかんだで読んでしまうんだろうというのに自噴の中で結論がでてしまう作品でした。
20年前の話からはじまる物語ですがここの序章の展開がすごい好きです。余命僅かな僕が既婚の片思いの人にに告白しにいくのですが、道中に包丁で刺されてしまうが構わず続行。そして振られる。
このあたりまでは思わずいつもののりじゃないなという感じで真面目に小説でした。
本編は序章の出来事が現在にどのように影響してて、登場人物がどのような関係なのかわくわくしながら読みました。
で、気がつくといつものようにバカップルの入間節。
そしてその結末と、20年前の出来事結末は?
なんだかんだもういつ死んでもいいなっとそんな風に思いました。後世に何かを残せるなら。
僕の妹である私の心理描写をみると入間さんはよくわかってるなーと思います。引きこもりの心理を。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
少年・青年マンガ
小説・文芸
少年・青年マンガ
ラノベ