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「あなたのこと全く好きではないけど、付き合ってもいいわ。その代わりに、わたしをちゃんと守ってね。理想として、あなたが死んでもいいから」彼女に告白し、そして奇妙な条件付きの返事をもらった瞬間から、僕は彼女の為に生きはじめた。この状況が僕に回ってきたことが、神様からの贈り物であるようにも思える。この結果が、いつの日か、遠い遠い全く別の物語に生まれ変わりますように。入間人間の名作が、『六百六十円の事情』 『ぼっちーズ』 でコンビを組んだ宇木敦哉のイラストによって、待望の文庫化!
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Posted by ブクログ
身の回りに起こることがどれも楽しくてしょうがない、あれもこれも全部やってみたい、首筋にひたっと果物ナイフの峰が押し当てられているけれど。 身体を少しでも動かしたら血が噴き上がる妄想をしながら、心を目いっぱいはしゃがせて読むべし。
文章がすごく好き!次々真相が絡み合ってくるかんじもおもしろい。人物もみんな個性的で好き。特に男性が魅力的で惚れてまうw
“「別に。ただストーカーが、あっちの方にいたわ。多分」 「へぇ、そっか」それは丁度良い。「じゃあ退治してくるよ」 「は?」 彼女が露骨に固まった。そうやって隙だらけに、感情を露出するのは珍しいなぁ。 「複数を単体に出来れば、俺だけでも対処出来るようになるから」 鞄の隙間から、ナイフの柄を彼女に見せる...続きを読む。些か心許ない状態だけど、武器は常備している。退けることも、追い払うこともこの刃では難しいけれど、先端はまだ鋭い。 突き刺すことぐらいなら、出来るだろう。 「いやあのちょっと、待ちなさい」 「講義をサボるわけだから、成果が出るといいんだけど」 「待てと。ウェイト。何を武闘派宣言してるの、優男の外見で」 意外にも、被害者である彼女が引き留めてくる。困惑しながらも、俺の手綱を握るように声を荒げて、手の平を突き出してきた。 「んー、でもいつまでもストーカーが周りにいたら、きみが危ないし。顔面を少し破壊してから、二度ときみに近寄らないと宣誓書の一つでも書かせるべきかなぁって」 デートもしづらいし、集中出来ないし。何より彼女が危険に晒される前に、行動は終わらせてしまった方が良い。その方がきっと、後悔は少ない。 それ以上、強く止める気はないのか彼女は、また中央講義棟の方に目を向けている。ストーカーをその視線の先に捕捉しているのかな。 (中略) 「わたし、ひょっとして人選を誤ったかも」 「大丈夫だよ。腕っ節には自信がないから、本当は怪我なんか相手に負わせられない」 そう本気で主張して、二の腕を撫でる。筋肉の不足した、細身の腕。握り拳を叩きつけても、こっちの手と骨が痛んでお終いになるような。 彼女は下らない冗談とでも解釈したのか、頬を引きつらせて俺の非力を受け止める。 「でもあなたには、ナイフがあるじゃない」 そう指摘されたので、にこりと微笑んで顎を引く。 「だからきみを守れる」 そう返すと彼女は天啓、もしくは呪詛に首筋を潰されたように息を詰まらせ、目を剝く。 そっちから言い出したのに。 守られる覚悟は、出来てなかったのかな。うーん......いや、後でまた話し合おう。 「あなたって......何だか、ひょっとして」 彼女が何か呟いているけど、音量を抑えすぎて聞き取れない。これ以上話していたら、ストーカーを捕縛する時間が足りなくなるかも知れない。 名残惜しいけど「よーし」とわざと陽気に前振って、駆け出した。” んーやっぱり読んでてちょっとひっかかるなぁ。 破壊する、とか夜に走り回ってた、とか。 ただの演出か彼の中身に関する意味があるのか。 単行本読んだけど、再読。 俺のするストレートな感情主張が好きだなー。 「そのあと」も良かった。 “二人で目を合わせたり、曖昧に笑ったりの時間が過ぎる。その波が完全に引いた後、彼はわざとらしく咳払いした。なにかを区切るように、自信の始まりを演出するように。 彼が私の正面に立つ。試しに私が左へ一歩動くと、彼も追従してきた。素早く左右に跳んでみる。勿論、一緒に跳んできた。ふむ、なかなか大事な用事のようだ。 「あのさ」 「うん」 彼が口もとに手を添えて、目を泳がせる。そうして少し、逃げるように間を取った後、背筋を伸ばして私に言った。 「実は来週、告白するつもりなんだけどその日にデートしてくれない?」 「..........................................」 無言で耳の穴をほじった。それを見て取って、彼が人差し指を立てる。 「もう一回言おうか?」 「お願い」 「実は来週、告白するつもりなんだけどその日にデートしてくれない?」 二回目ともなると羞恥心が薄れるのか、彼の舌もスムーズに回った。 「告発じゃないよね?」 「違う違う」 「じゃ、じゃあそのままの意味か」 「う、うん。そうだね」 「そうか、そうか......」 腕を組んで、頬の熱をごまかすように大げさに、首を縦に振る。こ、告白だと。 段取りってものを無視して、いきなりそんなこと言いに来るとは。 侮りがたし、ハンサム丸。攻め入り方が大胆にも程がある。 無謀にして無策、のはずなのに。相手がこの男だとそれで十分、効果的すぎるのだ。”
傑作でした。なんで入間作品をなんだかんだで読んでしまうんだろうというのに自噴の中で結論がでてしまう作品でした。 20年前の話からはじまる物語ですがここの序章の展開がすごい好きです。余命僅かな僕が既婚の片思いの人にに告白しにいくのですが、道中に包丁で刺されてしまうが構わず続行。そして振られる。 この...続きを読むあたりまでは思わずいつもののりじゃないなという感じで真面目に小説でした。 本編は序章の出来事が現在にどのように影響してて、登場人物がどのような関係なのかわくわくしながら読みました。 で、気がつくといつものようにバカップルの入間節。 そしてその結末と、20年前の出来事結末は? なんだかんだもういつ死んでもいいなっとそんな風に思いました。後世に何かを残せるなら。 僕の妹である私の心理描写をみると入間さんはよくわかってるなーと思います。引きこもりの心理を。
相変わらずの落とし方でした。いや、660円よりこっちのほうが早く出てるからこの本で新境地を開いたと言うべきか。
おいおいどうするんだこの話って思ったまま進んでいく物語。 語り芸ですよね。 投球フォームはめちゃくちゃなんだけど、打てない球を投げるピッチャーみたいである。かっこいい。
KnifeとShoesと美術館、それが今回の人間関係を紡ぐ糸です。この小説では大どんでん返しやトリックはありませんが、読み進めるにつれ登場人物の関係と接点が明かされる書き方は入間さんならではですね。恋愛関係の進展が面白くて、ニヤニヤしながら何度か読み返してしまいました。・・・「お義兄さん」の回答を知...続きを読むりたいなぁ。
まったりと進むストーリーにも、時折妙な盛り上がりがあって良かったです。 頭空っぽにして読み進めていたのでまんまと驚かされ、笑いました。全てが繋がる瞬間がトイレだなんて。
登場人物の性格が、作者の他の作品の登場人物に似ている気がします。特に兄の性格が他の作品で見た気がします。作者の性格なのでしようか。 実際に居たら相当破天荒な性格ですが。 登場人物が、それぞれ個性的で楽しいです。兄妹の恋愛と日常の話ですが、キツい性格の彼女とのやり取りや、ハンサム丸とのやり取りも楽しい...続きを読むです。 長さを感じず楽しめました。なので、 文庫版で追加の部分は、個人的には有ってうれしかったです。
改めてこの作者の文体がツボだと実感。 ライトノベルで キャラは萌え痛要素満点だし 色々ぶっ飛んだりしてるけど 要所要所でやっぱりグッとくる。 なんだか登場人物のひねくれ方が自分を見ているようで… おっと閑話休題。 とにかく。 何だか続き?がありそーなので引き続き入間人間作品収集に努め...続きを読むる事にします。
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