クリスマスのフロスト

クリスマスのフロスト

小説・文芸
921円 (税込)

4pt

【第1位『週刊文春』1994年ミステリーベスト10】クライヴは内心腐っていた。刑事に昇進したのも束の間、栄光のロンドンから七十マイル以上離れたこんな田舎町に配属になるとは。だが、悲嘆にくれている暇はない。じきにクリスマスだというのに、日曜学校からの帰途失踪した八歳の少女、銀行の正面玄関を深夜金梃でこじ開けようとする謎の人物など、市には大小様々な難問が持ちあがる。いや。最大の難問は、不撓不屈の仕事中毒にして、死体と女の話をこよなく愛する、上司のフロスト警部であったかもしれない……。続発する難事件をまえに下品きわまる名物警部が奮闘する、風変わりなデビュー作!

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クリスマスのフロスト のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    人は見かけではない、かも。 仕事なら周りの都合もお構いなし巻き込み振り回し、刑事しか勤まりそうにないが、嘘も方便やれば出来る、それでも部下に慕われるフロスト警部。これぞマイウェイ。
    シリーズ第一作を読みました。やはり面白い!

    くたびれたコートに、洗ったことがないような臙脂のマフラーを巻いたフロスト警部が登場。
    所はクリスマスを控えた、雪が降るロンドン郊外の田舎町。

    怖いものなしのフロスト警部の痛快な、下品なジョークと、偶然の思いつきのようにみえるが、犬のように事件をかぎわける才能、傍若無人のようで繊細な心遣い。

    もうありえないようなだらしなさで、机の上には書類が散らかり放題の部屋。
    提出書類は捜しても見当たらず、見えないので何時も期限切れ間際に大慌て、部下の超過勤務手当ての請求用紙もほったらかしで、二ヶ月遅れで幸運にも滑り込ませて一安心。

    適当な嘘をつくわ、言い訳も一流だわ、だらし無さも極めつけ。
    でも不器用だが思いやりがある、だから署内では受けがよくみんなに親しまれている。
    という憎めない、全く可愛い人柄が魅力的です。さすが人気者。

    事件の発端は少女の誘拐。母親は高級娼婦で、お客に犯人らしい臭いのする人物がいる。
    という時に通りがかった銀行前で扉をこじ開けているように見える光景を何度か目にしていて、少女を捜索中に、胡散臭い老婆の家の近くで古い死体の一部まで見つけてしまう。

    これで昔の銀行の事件が解明されていく、何重にも重なった出来事を解決するのが、いい加減そうな彼なので楽しい。

    相棒になったのが警察長の甥で、周りは敬遠気味なのだが、かまわないフロストにこき使われる姿も、いまどきの若者対フロストの姿が爽快。

    妻をなくしたばかりで仕事一途、ワーカホリックを地で行くので、回りの都合などお構いなし。
    読んでいるとなんだか気が軽くなりそうで、このシリーズの人気が分かる。

    所長をはじめ個性的な仲間も面白い。

    0
    2026年02月28日

    Posted by ブクログ

    再読しました。フロストに自分を重ねてしまいます。
    なんやかやと、直感に頼んで、行動してしまうところ、自分でも困ってしまうところです。でも、なんとかしたい、フロストは事件を解決したい気持ちが、強すぎるのでしょう。
    複数の事件が同時に進んでいき、最後にちゃんと解決されるところが、いいです。
    マレット、グレイヴなども良いです。人間関係も、中間管理職の大変さが描かれています。
    次作も再読しよう。

    0
    2024年11月02日

    Posted by ブクログ

    イギリスの作家「R・D・ウィングフィールド」の長篇ミステリ作品『クリスマスのフロスト(原題:Frost at Christmas)』を読みました。

    『東西ミステリーベスト100』で海外篇の43位として紹介されていた作品、、、

    「オリヴァー・ハリス」、「ジム・ケリー」、「P・D・ジェイムズ」に続き、イギリスのミステリ作品です。

    -----story-------------
    ここ田舎町のデントンでは、もうクリスマスだというのに大小さまざまな難問が持ちあがる。
    日曜学校からの帰途、突然姿を消した少女、銀行の玄関を深夜金梃でこじ開けようとする謎の人物。
    続発する難事件を前に、不屈の仕事中毒にして下品きわまる名物警部の「フロスト」が一大奮闘を繰り広げる。
    構成抜群、不敵な笑い横溢するシリーズ第1弾!

    *英国ITVで1992年よりTVドラマ・シリーズ化

    *第1位『週刊文春』1994年ミステリーベスト10/海外部門
    *第4位『このミステリーがすごい! 1995年版』海外編ベスト10
    *第8位『日本推理作家協会全会員ミステリー通大アンケート 20世紀傑作ミステリーベスト10』海外部門
    -----------------------

    イギリスの架空の地方都市デントン市を舞台にした警察小説… 1984年(昭和59年)に発表された作品で、名物警部「ジャック・フロスト」を主人公としたシリーズの第1作目にあたる作品です、、、

    よれよれのレインコートにえび茶色のマフラーがトレード・マークで、権威と規律が重んじられるデントン署内では異質の存在である「フロスト」… きわどい冗談を連発し、服務規定を守らず、地道な捜査と書類仕事が大の苦手、上司の命令を平気で忘れ、叱責されれば空とぼけ、同僚に馬鹿にされればふてくされ、食らいついた相手にはしつこくつきまとい、ひとり暴走してはへまをしでかし、それをごまかそうと冷や汗をかきながら奔走する という、なんとも不器用で、恰好の悪い主人公なんですが、その、とても人間臭いところに惹かれ、そして、その格好悪さが、格好良く感じる、不思議な魅力を持った主人公でしたね。


    12月21日、日曜日、ロンドンから70マイル離れた田舎町デントンに、「クライヴ・バーナード」が降り立った… 彼はこれからデントン警察に刑事として赴任するのだ、、、

    ところが彼を迎えに来たパトカーに「「トレーシー・アップヒル」8歳が日曜学校から戻らず、消息不明」と無線連絡が入り、制服警官と一緒に通報した母親「ジョーン・アップヒル」のもとに向かうはめになる… 結局、その日は「トレーシー」は見つからず、日曜学校の周辺に怪しい人物が出没していたという情報もあったため、翌月曜日に警察署で改めて捜査会議が持たれた。

    「ところで、巡査部長。会議室の方で「フロスト警部」の姿を見かけなかったかね?」

    「いいえ、署長。見ていません」

    「では、彼抜きで会議を始めることにしよう」

    同じ月曜日、午前9時、「クライヴ」は颯爽と初当庁する… 「マレット署長」の手が空くのをロビーで待っているとき、薄汚れたレインコートを着た男が駆け込んできた、、、

    えび茶のマフラー、よれよれのレインコートとスーツ、だらしない恰好の40代後半の男… どうやら「マレット署長」の新車のブルーのジャガーに車をぶつけてしまったらしい。

    その男に巡査部長が言う、

    「署長が、あんたのことを捜していたぞ」

    「そうだった、捜査会議があったんだ。なんとまあ、すっかり忘れてたよ」

    この胡散臭い男こそが「ジャック・フロスト警部」だと聞いた「クライヴ」は、あんな冴えない男でさえ警部になれるデントン警察署のレベルに思いを馳せるのであった… しかし、このときまだ「クライヴ」は、自分が「フロスト警部」の指揮下に入るとは夢にも思っていなかった、、、

    田舎町でも事件は待ってくれない… 消息不明の「トレーシー」は見つからず、銀行の玄関を深夜金梃でこじ開けようとする謎の人物出没したり、「フロスト警部」の小銭が紛失したり、ホームレスの「サム」が死体で発見されたり、「トレーシー」の誘拐犯を名乗る男から電話があったり、バスキン・エレクトロニクス社の小型電子計算機の連続盗難事件の捜査を優先的に進めるように指示されたり、手錠をはめた白骨死体が発見されたり、そして、署員の残業手当の申請漏れの対応――と、もうクリスマスだというのに大小様々な難問が持ちあがる。

    おりしも、「フロスト警部」と同じ警部職の「アレン警部」が体調を崩し病欠となり人出が足りない… ワーカーホリックの「フロスト警部」は殆ど休憩も取らず、慌ただしく複数の事件の陣頭指揮を執ることになる、、、

    「マレット署長」の嫌味をジョークと下ネタでかわし、滞る書類は必ず提出するからと言って待たせ、「トレーシー」捜索のために大雪をラッセルして捜し、捜査をしている同僚に背後から迫り指でカンチョーをお見舞い… 捜査は混迷、迷走、真面目な「クライヴ」は翻弄され続ける。

    徹夜にも負けず、空腹にも負けず、12月のデントンを駆け回る「フロスト警部」は、全ての事件を解決することができるのか!?

    ある事件を捜査していたら新たな事件がみつかり、新たな事件を捜査していたら別な事件の容疑者を逮捕できたり… と、ドタバタ的な展開ですが、、、

    「フロスト警部」は、幸運にも救われながら、一つひとつの事件を解決に導き… そして、白骨死体発見を契機として捜査を始めた、30年以上前の1951年に発生したベニントン銀行デントン支店の出納係「ティモシー・フォーカス」が行方不明となり、二万ポンドの現金が奪われた事件の真相に辿り着くことで、命の危険に晒される。

    第1作目でシリーズが終わっちゃうんじゃないか… と思わせるようなエンディングでしたが、、、

    続篇が出ているので、「フロスト警部」は一命を取り留めたんでしょうね… 面白かった、500ページを超える大作でしたが、長くは感じませんでしたね。

    長篇6作品が発表されているようなので、他の作品も読みたいです。



    以下、主な登場人物です。

    「ジャック・フロスト」
     警部。主人公

    「アレン」
     警部

    「ジョニー・ジョンスン」
     巡査部長

    「ビル・ウェルズ」
     巡査部長

    「アーサー・ハンロン」
     部長刑事

    「ジョージ・マーティン」
     部長刑事

    「マレット」
     警視。署長

    「クライヴ・バーナード」
     巡査

    「キース・ストリンガー」
     巡査

    「ヘイゼル・ペイジ」
     婦人警官

    「ジョーン・アップヒル」
     娼婦

    「トレーシー・アップヒル」
     ジョーンの娘。八歳

    「スタンレィ・ファーナム」
     英語教員

    「ミッキー・ホスキンズ」
     前科者

    「マーサ・ウェンデル」
     霊媒

    「オードリー・ハーディング」
     トレーシーの友人

    「サンディ・レイン」
     記者

    「サム」
     浮浪者

    「ジェームズ・ベル」
     教会区司祭

    「ティモシー・フォーカス」
     銀行の出納担当者

    「ルーパート・ガーウッド」
     ティモシーの部下

    「サミー・ジェイコブズ」
     投資コンサルタント

    0
    2023年02月15日

    Posted by ブクログ

    どうしてもフロスト警部を昔の刑事コロンボの外見を想像しながら読んでしまう。言葉の汚さとダメっぷりはコロンボとは比較にならないが、そこがまた最高に面白い。

    0
    2022年03月18日

    Posted by ブクログ

    フロスト警部は格好悪いうえに下品だ。しかしこれほど人間味があってこれほど親近感を覚える探偵役もあまりいない。田舎町デントンでは、もうすぐクリスマスだというのに、日曜学校帰りに突然姿を消した8歳の少女、深夜に銀行の玄関をこじ開けようとする者…いくつも起こる事件を一手に引き受け同時に並行して対処していく。仕事中毒でありながら整理できないから一見話はぐちゃぐちゃに進むが、それが後半一気に繋がっていく。この作家の構成力の高さには驚く。フロスト警部の魅力って何だろう。彼の言動には笑えてスカッとする。傑作シリーズの第一弾。

    0
    2021年03月07日

    Posted by ブクログ

    「フロスト始末」が「このミス1位」を取り、一度もこのシリーズを読んだことがなかったため、まずは第一弾の本書を読んでみた。
    最後まで飽きずに楽しめる。
    第二弾以降も読んでみたい。

    0
    2018年12月20日

    Posted by ブクログ

    一応、「海外ミステリーもけっこう好き」と自認する以上は、以前から気になっていた一冊。読んでみたら、大当たり。2018年最高の発見かも知れません。
     イギリスの作家ウィングフィールドさんの著作。随所にやっぱりイギリスらしい「ちょっとひねくれた、皮肉な、ウィットに富んだ世界観」みたいなものがあって、それ自体が素晴らしい訳では無いですが、この作品の出来は極上。
     ジャック・フロストという、40代後半あるいは50代とおぼしきおっさんの刑事が活躍する、警察ものです。

     舞台は、どうやら「地方都市」という感じの架空の街。読んでいくと、日本に例えると「藤沢市」とか「高崎」とかそういうくらいのレベルの街なのか、あるいは「広島市」くらいなのか・・・。「東京」とか「大阪」という感じではありません。
     そして、警察モノとしてはレアだと思うのですが、「複数の事件が錯綜する」というのが特徴。その意味ではリアルなのかも知れません。そしていけ好かない役人根性丸出しの署長がいて、警察官刑事たちも、サラリーマン的な感性をむき出しにしつつ犯罪捜査に追われます。そういう意味では「踊る大捜査線」がこのシリーズの影響を受けているかも知れません。

     そして、主人公のキャラクターが秀逸。刑事物の主人公の中では圧倒的に、下品です。どうしようもないくらい下品で、死体と女性に関してのあけすけなジョークを連発。そして漫画的なまでに書類仕事が苦手で、でも書類仕事にも追われる様子は克明に描きます。そして、そんなキャラクターを含めて描かれる世界観は、どうしようもなく混沌として、階級社会の不条理の中で女性や子供など弱いモノが犯罪の標的になる、げんなりするような猥雑な社会のありさまです。そんなネガティブで陰性な世界観が、そんな世界の汚れた裏側を這いずる回るような主人公の下品さと、なんだけど同時に100%仕事中毒でタフで、そして直感職人のような犯罪捜査をマイペースで追求するヒーローが、オセロをひっくり返すように「げんなりする世界」を「痛快なダーティー・ヒーロー物語」に変換していきます。
    (と、書いていくと、これは実は「イギリス版中村主水(警察官バージョン)」と言って良いのかも知れません。殺し屋ではありませんが)

    そして、優れた世界観を堪能させてくれる犯罪捜査ヒーローモノの特徴ですが、「どんな事件だったのか」というのはすぐに忘れてしまいます・・・。
    確か、幼女が誘拐殺人されるという痛い事件が中心だったと思います。
    そして後半で、我らが主人公フロストが、かつて妻をガンで失ったこと、そのときの思いが語られます。
    汚れに汚れた主人公の、毒と愛と皮肉に満ちた心情が、グサリと突き刺さる。脱帽。

    作者のウィングフィールドさんは、どうやら放送作家さんとして一流だったようです。
    そして、10年以上もかかって、フロスト刑事物を世に出した。
    そのときにもう50代だったようで、以降、フロストシリーズだけを書き続けて、6作の長編を残して2007年に逝去されたそうです。
    6作しか無いのは悲しいことですが、6作も残してくれたのは、大変に嬉しいことです。

    0
    2018年10月10日

    Posted by ブクログ

    結構分厚い本だったけれども、飽きることなく、中弛みをすることもなく一気に面白く読みきれました。様々な書評にあるように、いい加減だし下品だし・・・。でも、事件に対する真面目さと時折見せる心の底。ギャップがあって引き付けられる人物です。

    0
    2018年04月03日

    Posted by ブクログ

     クリスマスが近いということで読んだ本。
     
     私は皆さんにお詫びしなければなりません。
     
     今から20年以上も前にこれほどの傑作が刊行されていたにも関わらず、今日までご紹介することをできませんでした。(だってさっき読み終えたんだもん!)
     
     自らの不明を恥じております。書店員として失格です!

      読んでいないのに知ったかぶって、ああ、フロストね、いいよね、あれ、なんて顔もできなくもないのです。それなりの読書修行も積んだつもりです。
     
     が!しかし、この作品だけはごまかせません!
     
     にやりと不敵な笑みを浮かべることは、この本を読み終えないとできないのです。
     
     一体どんな主人公なんだと疑問も浮かぶでしょう。
     
     表紙をご覧下さい。
     
     デスクの上をとっちらかし、くわえ煙草のむさくるしい風袋のおっさんが名刑事フロイトです。
     
     どれくらいの名刑事か。例えるなら、刑事コロンボとリーサルウェポンのリッグスと、フーテンの寅さんを足して3で割って中途半端にしたような刑事です。
     
     いいですねぇ、キャラがとっても際立ってますねぇ。
     
     ヘタこくこともたびたびですが、勘の鋭さはピカイチです。誰もが賛同しかねる迷推理も、すべてすりっとまるっとお見通しだったことが最後にはわかります。
     
     事件の内容には一切触れません。
     でも太鼓判を押します 

    0
    2024年04月30日

    Posted by ブクログ

    海外ドラマを観ている様な登場人物の人間臭さが溢れ出すミステリー小説。
    訳者の力量が遺憾なく発揮されている良作。

    0
    2026年08月24日

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