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Posted by ブクログ
[金は、低きに流れて]フィクションの世界にとどまらず、今やあらゆるニュースでその名前を聞くところとなった「マネーロンダリング」。複雑そうに見えるその仕組みや実際に行われた取引を、一般の人にもわかりやすく説明してくれる一冊です。著者は、金融情報小説『マネーロンダリング』で2002年にデビューを果たした橘玲。
「あ、なるほど」と思わせてくれる記述が随所に見られました。マネーロンダリングと聞くだけで、「複雑そうだなぁ...」と構えていまっていたのですが、読んでみて「あ、なんだそんなことだったの」と驚いてしまうことが多々ありました。ただ裏を返せば、そんな簡単なことで社会を震わすようなマネーロンダリングができてしまうことにも驚きを覚えたのですが......。
本書を通じて、金融やお金そのものが持つ匿名性や無国境性といった側面についていろいろと考えさせられました。橘氏が提示する金融の未来には、酸いも甘いも、良きも悪きもがごった煮になっているイメージが垣間見えたのですが、まさにそういった点こそが元々に金融やお金が持っている特徴なのかもしれません。実際に起きた事件の説明についてはまるで犯罪小説のようでしたので、単純に面白く読めるというのも本書の魅力の一つかと。
〜金融とは、その本質においてグローバルなものである。そこに無理矢理国境という線を引こうとしたところに、制度の綻びの原因がある。〜
お金は低きところに流れるということは本書から得られた一つの教訓かもしれない☆5つ
Posted by ブクログ
いや~とにかく面白かった。
海外に投資をしようと思ってから
とたんにグローバルな金融の実情が自分の視野に入って来るようになってきた。
以前は「法の目をくぐり抜けるってどういう事ですか?」
「くぐり抜けられない法律を作ればいいじゃないですか。」
と、単純に思っていたのだが
現実はそんなに単純ではないことが、だんだん分かってきた。
なぜ、法の目をくぐり抜けられてしまうのか。
それは世界の主権国家がそれぞれ法律を作っているからである。
世界の国家の数は190以上。
世界の通貨の種類は100以上もある。
一国の法律と通貨でも、税金を計算するのには税理士が必要なのだ。
二ヶ国間、三ヶ国の取引と複雑性を増していけば
どこかで必ず「法律では規定していない取引」ができてしまう。
金融とは、その本質においてグローバルなものである。
そこに無理矢理国境という線を引こうとしたところに、制度の綻びの原因がある。
なので、制度と通貨が世界共通になることが
法の目を張り巡らすための必要条件であるが
世界政府と世界通貨などというのは、いまのところ夢のまた夢である。
だが、グローバル経済は、制度の矛盾などいっさい気にかけずに猛烈な勢いで世界を駆け巡り
一般人までもがその流れに追随するようになってきた。
経済のグローバル化のなかでマネーが国境を超えて移動し、次いで企業が多国籍化した。
そしていま、個人の国籍離脱が始まっている。
マネーロンダリングはたんなる金融の世界にとどまらず
こうした世界史的な変化の中でとらえる必要がある。
個人の「多国籍化」「無国籍化」こそが、グローバル資本主義の終着点なのだ。
本書では、これを道徳的な善悪の問題として議論しない。
私たちは、こんな世界に生きている。
なんか怖いね。
Posted by ブクログ
現在の資本市場におけるマネーの動きと規制の関係を論じることを通じて、読者の社会倫理的スタンスおよび経済的在り方を激しく揺さぶり、再考を促す、非常に素晴らしい本。
タイトルにはマネーロンダリングとあり、これは一般に犯罪資金の洗浄を指す言葉だが、本書はこの語をもう少し広く捉え『財テク』と似たような意味合いで使い、うまく規制を迂回し収益性をあげる資金の動き全般を扱っている(もちろん違法資金の洗浄手法に関する記述も載ってはいる)。
しかし本書の本質はそうした『マネロン』手法の記述にあるのではなく、以下の3点にまとめられる:
①収益性を求め資本が自由に移動し続けるグローバル資本市場と、国家ごとに閉じている上バラバラで硬直的な経済制度は本質的に矛盾しているため、各種規制を迂回する資金の動きがなくなることは決してない(税率や規制に差があれば、資金はより収益性の高い方に自由に移動していく)。
②よって個人や国家は、水が低きに流れる(グローバル労働市場で賃金が平準化していくように、税はタックスヘイブンの水準に収斂していき、資本は規制があるところからないところへ移動していく)という現実を受け入れた上で対応するのが正解であり、これを無視した理想や理念を声高に掲げたところで、無駄であるばかりか有害でしかない(例:格差を是正するため税率引き上げによる所得再分配?高所得者は資産をオフショアに振り向けるため効果がなく、中所得者以下だけが重い税負担を強いられ逆効果)。
③資本市場と経済制度の自由度および統合度に乖離がある限り、上記は変わらない。恐らく今後しばらく、この乖離は開く一方であり、与えられたルールに盲目的に従うタイプの人間は急速に資産を失っていくだろう。経済的豊かさを守りたいのであれば、個々人が自衛するしかない。幸い、そうした環境は揃ってきており、誰でも『マネロン』が出来る環境となっている。その善し悪しは個人の判断であり、どうするかは各自が自己責任で決めるべきだが、少なくとも我々はそういう世界を生きている。
上記の結論を以って、道徳的に暗澹たる思いに駆られるか否かは、読者の社会倫理上のスタンス次第だろう。
個人的にはそうした観点よりも、この傾向が世界レベルの壮大な市場の失敗を齎しかねない点が非常に気になった。
現代国家の経済的繁栄を支える自由主義の下では、合法かつ他人に直接的な不利益を齎す行為でない限り、個人または組織が自己責任の下でルールの抜け穴を突くのは、目的を達成すべく創意工夫を凝らす活動の一環として是認される。
そうした合理的な創意工夫が社会全体の利益となるような配慮するのは、国家の役目であり、だからこそ自由市場が失敗するような領域において規制を設計、執行し、そのために国民から税を徴収する権限を認められている。
しかし本書は、資本市場がグローバルに統合された昨今、国家レベルで市場制度を設計、執行していては、市場の失敗を妨げることはできないことを明確に示している。例えばタックスヘイブンというフリーライダーが存在する以上、各国は減税競争に走り、税率0%というナッシュ均衡に向かって突き進む。各国の税率が0%に近づけば、市場の失敗を回避する制度を運用する公的機関は存続できない。究極的には、安全保障や司法、公衆衛生といった純粋公共財すら過少供給となり、人権が守られるか否かは自身の金を儲ける腕次第、という社会になる。個人的に、最低限の基本的人権を保障するセーフティーネットがある状態での自由競争は大いに賛成だが、それすらない状態で万人が万人に対し闘争を繰り広げる原始的世界は、まっぴらご免である。
こうしたリバイアサン状態を防ぐには、資本市場に合わせて市場制度もグローバルに統合し、グローバル市場の失敗を防ぐ役割を担うに足る権限を持つ国際機関を構築するしかない。が、経済的豊かさや文化が激しく異なる国々が、統一的な制度の下経済運営を行うことが如何に困難であか、昨今のユーロが証明してしまった。世界基準で見れば経済的に均一かつ裕福であり、戦争で血塗られた歴史を繰り返すまいという強力な政治理念を持つユーロ圏ですらこの有様、グローバルレベルで統一的な経済制度が機能する世は、相当先になると思われる。
当分の間は、統一的な経済制度を構築する下準備として、自由経済を促進し富の平準化を図っていく他ないだろう。自由経済の促進は、グローバル資本市場と市場制度の乖離を一時的により一層深めるだろうが、他に道はない。乖離を少しでも小さくすべく、国家はできるところから規制や制度の統合を少しずつ進めていき、個人や民間組織は、著者の主張する通り、自己責任の下それぞれの『マネロン』を展開していく。
相矛盾する動きを同時並行で進めていくことになるが、バラバラのインセンティブを持つ集団を纏めていくとは、得てしてそういうものだろう。一方向に突っ走ってうまく行くのであれば、誰も苦労はしない。
Posted by ブクログ
非合法で稼いだ金がどのように合法的な金に生まれ変わるのか、イメージではわかっているような気がしても、実際にどのような取引が繰り返されるのかを知っている人は少ないだろう。そんな、知っている人だけが知っているマネーロンダリングの実体を、さまざまな経済事件を題材にわかりやすく解説している良書。
アメリカが北朝鮮マネーを封鎖できた理由や、高度なマネーロンダリングを駆使していたと思われたライブドアが、実はただ行き当たりばったりなだけだったことがわかったりして、事例も興味深い。
驚いたのは、どんな悪党が行っているにせよ、マネーロンダリングの手段のすべてが必ずしも違法というわけではない、ということ。
むしろ洗浄そのものは(脱法行為もあるものの)、各国の法に則った形で行われている。たてえば、自分にとって有利な取引がA国では違法であってもB国では適法なのであれば、B国でその取引を繰り返していくことで、いつの間にか汚いお金もきれいになってしまうし、租税回避だって可能だ。
これはまさしく、著者が主張するように「マネーは国の枠を超えてグローバルに動くもの」である所以だろう。
そしてそれらの方法は、別にミステリアスなものでも、技術的に高度なものでも何でもない。正しい知識と情報さえあれば、誰でも行えるものなのだ。
その意味では、本書のタイトルには、2つの意味がある。マネーロンダリングに関する知識を教えてくれるという意味での「入門」、そして、誰でも実践できそうなマネーロンダリングの技術を教えるという意味での「入門」である。
自分の資産では、租税回避のためにマネーロンダリングをする必要は感じられないが、バカ高い日本の相続税などにうんざりしている人は、ぜひ本書をひもといてみてはいかがだろう。
なんと相続税を0円にする方法が紹介されているから。
Posted by ブクログ
国内の銀行にドルでお金を預けたことがないので、コレスポンデント現行やコルレス口座なんて仕組みがあることは知らなかった。アメリカがテロ組織や北朝鮮のドル預金を凍結できるのもコレスポンデント銀行の存在によるものなのだ。資金凍結にはもっと複雑な仕組みがあるんだと思っていたけど、実際は国内の銀行に命令すればすむことだったんだ。
ドラマのタイトルで聞いたことがある程度だったプライベートバンクのことも知ることができた。そもそも個人所有(プライベート)の銀行であるからプライベートバンクと呼ばれるらしい。日本と海外ではプライベートバンクに違いがあるということもわかった。このあたりは20年以上前の本の情報であるから、現在はどうなのかわからない。
カシオ詐欺事件や組合年金巨額損失事件の詳細な手口が説明されている。どちらもよく知らない相手に資産運用をまかせてしまっている。カシオや酒販組合にも資産運用のプロはいなかったのかなというのが気になった。現在ならこうしたことはもう起こらないだろうな、と信じたい。
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小説・文芸
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