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Posted by ブクログ
何気なく目に映りゆく存在でも、この詩人というものによって、生まれ変わるような気がする。
書きたくて書いたり、何かが伝えたくて書くのではなく、そんな風にみえてしまったから、書かずにはいられない、彼の生み出す詩はそういうものだ。ことば以前の世界へ、ことばで挑む。哲学者なら戻って来れなくなってしまうような、そんな場所。
リルケはそんな場所から胸をうって叫ぶ。中原中也はただ泣いた。ランボーは飛び込んでいったきり戻ってこない。ボードレールはおぞましい淫靡なその世界へ唾を吐きかけた。宮沢賢治はその世界の明滅に身体を投げ出しひれ伏した。
では、この谷川俊太郎は?自身は一輪の野花だと言っている。咲く場所を問わずに咲き、ただその命を散らす。一輪の野花にも宇宙が宿っている。
まるで風のようだと感じた。風が吹き続けることはない。風は生まれどこかへ消えていく。同じ風は決してなく、でも世界の至る所でそれは吹いている。その風の中には無限の交響楽がある。
そんな世界に浸るとき、まるで死を望んでいるような虚無がぽっかりと空いているがように思えるが、そんな投げやりなものでは決してない。彼の詩が挑んでいるのは、そんな死の虚無を虚無たらしめているそういう深い深い闇だから。そんなところへ辿りついてしまうと、もう力なく笑っているよりほかないのかもしれない。
しりあがり寿さんのイラストの彼からは、そんな彼の姿が浮かんでくる。
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