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Posted by ブクログ
自分をうまく表現するのが下手で、まわりとケンカばかりしてしまうが、絵を見る才能はある女の子と、離婚した画家の父親の幻にとらわれつつも、自分なりの絵のスタイルを見つけようと模索している男の子のラブストーリー。
ストーリーオムニバス(そんな言葉があるのかはわからないが)形式。
この本を読んでイメージされる言葉は「透明感」。ラブストーリーと言ってしまうにはちょっと語弊がありそうなほど、どちらもピュアで、懐かしさと切なさが入り混じったようななんともいえない後味をのこす物語。
何かにつまずいたり、自分を見失っているような時に読むと元気になれるかもしれない。
Posted by ブクログ
痛くて切なくて頑なで…こんな物語に若い頃出会いたかった!
木島悟と村田みのりの心情が、小説というキャンバスの中に広がって見えた。
「りんごの顔」
小学五年生の木島悟はろくでなしの父親、テッセイの暮らすアパートで一晩を過ごすことになる…
悟の意地らしさに思わずうるっときた。夢の中でりんごが「顔を描け」と迫る。怖くて泣き出す悟の代わりにりんごの顔を描くテッセイ。この夜の父の後ろ姿を悟は決して忘れないだろう。
「黄色い目の魚」
みのりちゃん、魚は動物じゃないのよ…
家でも学校でも嫌われる村田みのりは、イラストレーターの叔父、木幡通のアトリエに入り浸る。
テンポが良くさくさく読める。
中学生になり、知り合ったみのりと美和子。
みのりを『サンカク』三角の目をした魚のサザナミヤッコに、美和子を『オサシミ』マヌケなアワビに例えて、女子二人の関係が描かれていく。
最後はホロリとさせられた。
「からっぽのバスタブ」
高校で同級生になった村田みのりと木島悟。絵の上手い悟と絵(を見ること)が好きなみのり。敏感で傷つきやすい"思春期"の表現がとても上手い。
後ろの扉は閉ざされて前の扉には手が届かない。暗い廊下のような場所で私はぼんやり佇んでいる。
前に歩いて行けるだろうか。
次の扉を開けるだろうか。
「サブ・キーパー」
木島悟は母と妹と、葉山のおじいちゃんの家で暮らし始めた。おじいちゃんがいいなぁ!
「彼のモチーフ」
「ファザー・コンプレックス」
「オセロ・ゲーム」
「七里ヶ浜」
サッカー部のこと、家族のこと、好きの気持ちとジェラシー、大人に少しずつ近づく悟とみのり。二人の心の機微が繊細に描かれていた。
「りんごの顔」と表題作「黄色い目の魚」が特に良かった。
後半は少し長めに感じられた。
悟が描いたみのりの水彩画を見てみたい!著者は「心の空洞」「居場所」「大切なもの」を上手く文に落とし込んでいると思う。
過ぎ去った遠い日々が寄せる波のように現れては消えていき、海の音がいつまでも心に残った。
Posted by ブクログ
青春小説は嫌いだ。正確には青春小説に出てくる「登場人物」が嫌いだ。
彼らは自分勝手で思い上がっていて中途半端で性に飢えている。
恥ずかしい過去の自分と重なってしまう。だから嫌い。
タイトルに惹かれて手にとった本作。
読みはじめて気づいた。青春じゃないか。
読むのをやめようかどうしようか、そう迷っているうちに、迷っていることも忘れ読み終えてしまった。
あろうことか余韻に浸りながら。
確かに青春濃度はかなり高く、そういった意味では間違いなく青春小説なのだが、登場する人物は決して「登場人物」ではなく、木島悟と村田みのりという二人の人間なのだ。
彼らは真っ暗な道をか細い懐中電灯(よく電池切れになる)の光を頼りに進むしかないあの不安と闘いつつ、時に逃げ時に真正面からぶつかっていく。
陳腐な表現ばかりになってしまうが、懸命に生きている。
何かある度すぐ死んだほうがマシというくせに、ちゃんと生きている。
ともすれば自分なんかよりもずっと。
なんだよ、青春小説はうんたらかんたら言って、汚い自分から逃げていたのはぼくのほうじゃないか。
このままではぼくは死んだ魚の目になってしまう。
願わくば黄色くありたい。
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