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Posted by ブクログ
気が遠くなるほど蒸し暑いこの時期に、清涼感を求めて選んだ一冊。
本作品は、葉山の一色海岸近くにひっそりとたたずむホテルを舞台に、若き女性オーナー・美咲と使用人・マイが、ホテルを訪れる3組の“ワケあり”な宿泊客たちの秘密や傷を、やさしく紐解いていく連続短編小説である。物語に共通しているのは、いずれの登場人物も「一度立ち止まる」ことの大切さに気づいていくということだ。都会の喧騒やプレッシャーの中では見失ってしまう自分自身の声が、このホテルの中でだけは聞こえてくる。作者の筆致は繊細で、感情を過剰に煽ることはない。それゆえに、登場人物たちの小さな変化や気づきが、読者の心に静かに響く。海辺のホテルでゆっくりと潮風に吹かれたかのような柔らかな余韻が胸に残る一冊である。
ところで本作品には、場の雰囲気を表現するためにイーグルスの「Wasted Time」やマーヴィン・ゲイの「悲しいうわさ」といった洋楽のタイトルがしばしば使われる。洋楽好きの私にとって本作品のお気に入りポイントである。本作品全体を楽曲で例えるならば、サザンオールスターズの「海」がぴったりだろう。
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小説・文芸
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