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Posted by ブクログ
夫の本棚から選んだ一冊。
五木寛之さんの本は2冊目です。
たくさんの作品を書かれているのに、小説は読んだことがない。
1冊目も夫の本棚にあった【人間の覚悟】だったから。
五木さんの書かれるこの類の本がしっくりする年代に入ったのだと思う。
戦後の日本の発展は凄まじかった。
敗戦国でありながら、他国が驚くスピードでGDP世界第2位にまで登りつめた。
それが中国に抜かれ、じわじわと下降線をたどっているような実感がある。
登山と同じ、頂上を目指してただがむしゃらに登ってきた。
しかし、登ったからには当然、下らなければならない。
五木さんは、「戦後六十年の「登山の時代」が終わって、「下山」にかかる時代にはいった」と言われる。
「すごいことというのは、相当な無理をしなければできないことである。そして、当然のことながら、ずっとすごいことを続けることはできない」とも。
高度経済成長を経て、豊かな国になった日本
しかし、その過程で見て見ぬふりをしてきたこと多々あっただろう。
そのつけが、これからやってくる。
だからと言って、滑り落ちては元も子もない。
五木さんは言う。
「日は、いやいや沈むわけではない。堂々と西の空に沈んでいくのだ。それは意識的に「下山」を目指す立場と似ている」
私たちが目指さねばならないのは、「見事に下山する。安全に、そして優雅に」
自分自身もそうだと思った。
見事に下山したい。
安全に、そして優雅に。
Posted by ブクログ
「山登り」にたとえての筆者の世界観を綴ったこのエッセイは、山好きな父から教わった登山者の心得そのままでした。
登山者にとって山の登りはきついもの。登っているときは早く楽になりたいと思って一生懸命に足を運びます。途中、歩きながら決して上を見てはいけません。バテてしまいます。これからの距離や、自分が登って来た道を見たいなら、一度立ち止まってから見ること。
これが父から教わった「登り」の極意です。
そして、待ちに待った頂上制覇の歓喜。苦しい道のりから解放され、山頂の風に吹かれて味わう達成感と爽快感は経験者にしかわかりません。
その後にあるのは「下山」。登り以上に気をつけて一歩一歩踏みしめるように下らねばなりません。長時間下ると、膝がわらうように、かくかくしてきます。あわてて歩くと、前のめりになり、そのまま落下してしまいます。「下り」はある意味、登り以上にキツいものなのです。
筆者は最初の方の章で現代を「下山の時代」と言い現わし、現代日本の行く末と今何をすべきかを述べていました。その他の章でも、煩悩や今様。法然の話、病人大国日本の話、長寿とブッタの話と、あまり上昇気分を感じさせないエッセイが続きました。
「考え方が暗いと昔から言われる」と筆者自ら述べていましたが、やはり全体的にはタイトルそのものの下流志向。「下山」の考えが満載でした。
でもそれをマイナスとしているのでなく、「下山思想」を自信をもってエンジョイしようと提言されているのは流石です。
山登り同様、下りは気を緩めてはいけない大事な通過点なのですから。そしてその先にはまた新たな目標という山があるのですから。
久し振りに読んだ筆者のエッセイですが、少し初期の頃と変わったかなと感じました。初期の頃のエッセイでとても印象深かったのがあります。
筆者が、奥さまのことを「配偶者」と書いていたことと、「メロンパンの皮の部分が大好きだ」と書いていたこと。筆者の日常をさりげなく書きつづってあったあのエッセイ。
はてさて、あのエッセイは何と言うエッセイだったのでしょう?。
私の記憶違いでなければ、あのエッセイからは「下山の思想」は伝わってこないのです。
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小説・文芸
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