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中世ヨーロッパの君主たちがその秘術をつくした「知恵の闘争」を、冷徹な眼で分析した『君主論』。「自分より優勢な者と同盟してはならぬ」「賢者を選び、その者だけに直言の自由を与えよ」等々、浅薄な倫理や道徳を排し“人と人との闘い”の本質を描いた権謀術数の人間学を、従来の日本型経営が省みなかった「かけひき」の視点から読み解く。世界に通用する戦略的思考が身につく一冊。
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Posted by ブクログ
良書 マキャヴェリの「君主論」入門書である。東に韓非子あり、西に君主論ありなのです。 冷徹な理論にもとづく考察であり、君主とはどうあるべきかとのあるべき論ではない。 君主論は、ひと言でいえば、人間研究の書である。政治における現実を客観的も物語っただけである。進歩はつねに事実を直視するところから始...続きを読むまるものであって先哲の字句の解釈からは生まれない。 マキャヴェリもダ・ヴィンチや、ダンテ、コペルニクスとともに、教会と先哲の亡霊の威圧を排除して、ふたたび人間に真の意味の人間性を取り戻すべく努力したルネサンスの人々の一人なのである。 本書は、君主論のエッセンスを6章にわけて、目的別に解説をしている。 気になったことは以下です。 ・企業経営は、つねに事実との戦いである。経営というものはすべてが人によって行われている。その本人の責任を追及しないかぎり、けっして改善はされないだろう。人と人との戦い、これが経営の実態である。 ・従来の行きがかりとか、人情とかいったものにこだわっていたのでは、会社はつぶれてしまう。利潤を目的とするならば、手段を選ばないことを、みずから裏書していることに気がつくであろう。 ・経営の問題を解決するためには、道徳その他の制限のワクをはずして、問題を解決するための本質をついていくことが必要である。 ・「愛されるより、恐れられるほうがはるかに安全である。」。人間は、自分を愛してくれる者に危害を加えることはためらわない。とくに、愛情が憎悪に変わった瞬間に、ふつうでは考えられないような行為を平気で犯すものである。 ・少数精鋭主義、知恵のないやつに、いくら聞いてもむだだ。一握りでよいから、知恵者を慎重に選定して、その人々の意見に耳を傾けよ。 ・側近とは手足ではなく、頭脳である。君主は決定者であり、また、実行者でなくてはならないが、それに至るまでの着想の源泉として側近がいる。君主の頭脳の程度を推し量るに、側近はもっとも効果的な尺度である。 ・たとえ一芸に秀でていても人間的な欠陥があると、これを遠ざけたがる人がいる。しかし人間的欠陥は公的社会においては二の次にすべきである。 ・法とは、組織における評価のルールである。組織における人は、ルールによってつくられる。際限の移譲とは、部下に決定権を与えることである。際限を委譲するものは、その部下について人事権を持つ。部下が思うようにやらなければ、その部下を首にすればいい。 ・臣下が命を惜しまずに遂行するようになるためには、なによりも君主に対する信頼感が大切だ。 ・経営における管理の秘訣は、信賞必罰である。罰は衝撃的であるべく、賞は、細く長いほうがよい。 ・獅子身中の虫は、危険が察知されたなら、できるだけすみやかにその根を断つことである。不平を満足させるか、または、不平家そのものを排除しなければならない。 ・裏をかくことを成功させるためには、相手の手のうちをさぐる必要がある。しかし、それは直接さぐらなくても、過去の戦歴を調べればだいたいの見当はつく。 ・才能や運よりも、狡猾で如才ないことが必要である。 ・強いものと手を握ってはいけない。強い者と手を握ってもたとえ勝利を得たところで、自分の手柄にはならない。 ・相争う2つの勢力があって、そのどちらに組みするかを決めるは、どっちつかずではいけない。それは一見賢明のようで、はなはだ危険である。タイミングよく旗幟を明らかにしたほうがいい。勝利者は、何か事が起こった時、その手助けにならないような者を自分の友人とは考えないからである。 ・競争の場においては、敵は味方しかない。敵に回すということは積極的なマイナス要素が増えるわけで、その攻撃をささえるための勢力を別に用意する必要があるということだ。 ・弱肉強食の世界においては、自分の弱みを見せることは絶対に禁物である。だけかが助け起こしてくれることを期待して弱みを見せてはならないことは明らかである。 ・権力を得ようとする者は、他人の恨みを一手に引き受けてくれるような悪役を必要とすることがある。自分は常によい子にならなければならない。 ・決めたことをぐらつかせることはいけない。多少誤った決定であっても、それを断固として実行するところに、新しい知恵がわき、成功への糸口が見いだせる。実行力をもたない経営者は必ず失敗する。自信過剰なくらいでいい。 ・次世代の後継者を育成することは経営者にとって重要な仕事である。その際に、自分と次の経営者のあいだに存在するすべての幹部の首を切ってしまうのが通例とされる。 ・迫害をうけるとおもっていた者から恩恵をこうむると、より強い義理を感じるものである。 ・兄弟は垣根内ではけんかをしていても、外敵には一致してあたれ。 ・民の心を知るには民になってはいけない。君主となって初めて民の心がわかる。 ・組織の戦いとは、すべて知恵と知恵との戦いである。反乱者のふりかざすロジックは、自由とむかしの特権を口にすることである。 ・部下は自分の将来の発展を保証してくれるような管理者を敬慕することを忘れてはいけない。 ・共栄共存とは一時的な力の均衡の上にのみ存在する。相手と手を組むにせよ、それは一時だ。 ・弱いものは滅ぼされる運命にあり、自らつよいものを手助けするものは自殺に等しい ・追い詰めると神に近い能力を発揮することがある。それをさせないためには、①相手に逃げ場をつくっておく、②みずからをそのような極限状態に追いこむことで成功の原動力とする ・運命はみずからの手でコントロールすべきものであって、それは可能である。 ・大義とは経営の理想であり、現実とは、経営の現実である。大義のために現実を顧みなければ必ず滅びる。 結論 ・毎日は現実との戦いである。そこで持つべき理想は現実とかけ離れたものであってはならない。長期計画があっても、やはり重視すべきは、短期計画である。 目次 文庫版へのまえがき まえがき(旧版) 序章 マキャヴェリの現代的意義 1 「君主論」におけるマキャヴェリの人と思想 2 現代企業と「君主論」 第1章 臣下を使うの巻 第2章 地位を得るの巻 第3章 地位を保つの巻 第4章 反乱を防ぐの巻 第5章 領土を拡大するの巻 終章 未来を支配するの巻 ISBN:9784569567976 出版社:PHP研究所 判型:文庫 ページ数:196ページ 定価:447円(本体) 発行年月日:1995年09月 発売日:1995年09月14日
率直な感想。 the・外資系。 実にビジネスライクな一冊。 これは1964年に書かれたものを95年に再出版されたものだが、引用されているのが、東急の五島氏、松下の松下氏など。 ここに、豊田氏、ビルゲイツ、スティーブ・ジョブスなどが入ってくると、より今が見えてくるのかな。 マキャベリ。孫子の兵法よ...続きを読むり、影響されたかも。
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