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ドイツ参謀本部は、原因・結果の連鎖が明快で、後世の教訓になりやすい。近代的大組織の原型であり、今日の「頭脳(シンク・)集団(タンク)」の先駆的形態をなし、「リーダー」と「スタッフ」のバランスにこそ、組織が輝く秘訣があることを教えてくれる。重宝な歴史の鑑であるのだ。リーダー不在のいまこそ、日本は史上最強の「組織集団」に学ぶべきだ!
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Posted by ブクログ
Bスクール時代、組織論の森本先生が推薦書として教えていただいてから10年、やっと読む事ができた。読前は、第二次大戦時のナチスドイツの話なのかと思っていたが、実際はナチス時代はあまり多くを裂かれておらず、それ以前のプロセイン時代をドイツ参謀本部の栄光の時代とし、第二次大戦に至って組織が肥大化しその優れ...続きを読むた資質と役割は機能することが出来なかったという。 プロセインの時代、ナポレオンをワーテルロー戦役で撃破し、普墺戦争、普仏戦争で少ない兵力でオーストリア、フランスに勝利には、クラウセビッツなどの戦略家を排出した参謀本部なくしてそれをなし得なかったという。特に普墺戦争以降における参謀総長のモルトケの時代が、同本部が最もその能力を発揮した時代である。 本書は、まず中世における諸侯間の戦争は実際の戦闘は両者の消耗が著しく激しいものであり、当事者はできるだけ戦闘を避ける制限戦争であり、チェスのように軍隊の配置や形成によって勝負が決したという分析から始まる。そして、兵員も傭兵が主流であり、イデオロギーや愛国心といったものよりも、勝利を動機づけるのは金であったのである。しかし、フランス革命後に登場した、ナポレオンは、国民を徴兵する事で、長距離を走り、安い給料で、脆弱な装備でも義務として勇敢に戦う兵士を獲得し、これまでの戦争の概念を一気に変え、数々の戦いに勝利する。しかし、軍隊の士気や行動能力だけでは戦争には勝利できず、むしろ戦闘の後始末としての外交処理とそれを可能とする追撃能力や展開力を伴ってこそ戦争の勝利を導く事ができる。戦闘に勝利しても、戦争という究極の外交手段で勝利できなければ意味が無いということである。 プロセインは、優秀はスタッフを配した参謀本部、かつビスマルクというこれまた類希なる外交の才能を持った宰相を奉じて、周辺諸国との外交としての戦争に勝利し、ドイツの統一を成し遂げたのである。本書のテーマは巻頭および巻末で述べられているが、優秀なスタッフと傑出したリーダーが揃ってこそ組織がその目的を果たすということである。ドイツは、第一次大戦においては優秀なスタッフがいたにも関わらず、リーダーに恵まれなかった。そして、その反動なのかヒトラーという強力な指導者がドイツを率いたものの、かれは参謀本部を徹底的に無視し、リーダーとスタッフが噛み合ずに敗戦の一因となっている。 ドイツ参謀本部が辿った道は、高い士気と愛国心、戦略的視座をもって日露戦争を勝利に導いた日本の陸軍参謀本部がその能力を過信し誇大化する事で機能不全に陥り、ノモンハン事件を引き起こしその後の太平洋戦争へと突き進んだ姿と重なる。
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