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Posted by ブクログ
筆者は高温超電導の研究で世界的に有名であり、福島原発事故独立検証委員会、いわゆる「民間事故調」の委員長でもある。5章構成の冒頭である第1章は、3.11福島原発の事故の様子を改めて振り返ったものであるが、今まで読んだ原発事故に関する記述の中では最もわかりやすく、かつリアルなものであった。この部分だけでも、できれば一読をお奨めしたい。
この事故が、首都圏を含む3000万人の人たちが避難をしなければならないという最悪の事態にまで至らなかったのは、まったくの偶然が重なったからにすぎないという事実には、思わず鳥肌が立つ思いだ。また、エネルギー政策の現状と問題点や今後の展望についても、平易な表現でありながら詳しく丁寧に語られているので、エネルギー問題に関心のある方には、うってつけの良書と言えよう。惜しむらくは、何か他の案はなかったのだろうかという気がしてならないタイトルのイマイチ感がもったいない。
Posted by ブクログ
脱原発なのか、原発存続なのか、二者択一の議論が多いですが、元東大教授、JST理事、原発事故調査委員会の委員長としての立場で書いてあるので、1つの考えとしてはバランスが取れていると思います。
前半は原発事故の問題点で、原発事故調査委員会の委員長としてもかかわっているので感情論ではなく、科学者としての視点があって面白い。後半は、脱原発として考えるとしたらという諸外国の例や可能性を、ロジックでエネルギーを代替できるのかを考えているのかがわかりやすい。
政治の争点にもなりやすいですが、感情論ではなくて、原発の危機想定が未熟だったように、実際の想定をせずに結論を急ぐのは危ないと改めて感じました。
Posted by ブクログ
福島原発事故独立検証委員会委員長の手による再生可能エネルギーへの移行の可能性を定量データを基に客観的に論じた一冊。
前半は福島原発事故の分析に充てられており、組織と個人が非常事態においてどのように失敗に至るのか、言い換えれば組織のルールや文化が個人の判断と行動にどのような影響を与え、それらの判断と行動の一つひとつが逆に組織に対してどのように影響するのかがわかる。
後半は再生可能エネルギー移行に向けた分析とシナリオであり、「『原子力はいやだ』という国民感情と、『原子力がないと経済はめちゃくちゃになるぞ』という…経済界からの警告との、二者択一の議論」に対して「もう少し定量的な議論をしなければならない」という筆者のアプローチは、ともすれば感情的な極論に走りがちな日本の現状において、貴重な材料を提供してくれる。
標準的な新書の分量だけれど、前後半で2冊分読んだ気になるほど、それぞれに中身が濃く、読み応えがある。
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