末裔

末裔

1,672円 (税込)

8pt

定年近い公務員の省三が、ある日家に帰ると、玄関ドアの鍵穴はどこにもなかった。妻を亡くし息子も娘も家を出て、家に入れない。省三は外泊を続け、今や住む人のない鎌倉の伯父の家に滞在する。懐かしいものに囲まれながら思い出すのは、父と伯父がかわす教養を根本に置いた会話、母や伯母のことなど、かつてそこにあった幸せな光景。すべては失われ堕落した末裔であると自覚した省三は、自らの系譜に思いを巡らせ、行動を起こす。

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末裔 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2015年04月17日

    「末裔」(絲山秋子)電子書籍版を読んだ。これは面白かった。シャガールの絵みたいな幻想的で淡く優しい光を感じさせるね。要約すると『わたしはどこから来て、わたしは何者で、そうしてわたしはこれからどこへでも行けるんだ。』って確認と再生の物語。適度な不条理さと適度なユーモアが絶妙です。

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    Posted by ブクログ 2013年07月28日

    ある日自宅に帰ったら、玄関のドアから鍵穴が消えていた。家に「入れなく」なった省三が、家に「帰る」までにたどる長い長い時間的空間的な旅。絲山作品ならではの、いろんな土地の緻密な描写がここでも炸裂しています。行ったことのある街も違ってみえるし、行ったことのない街は行ってみたくなる。
    離れて客観的に見るこ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2012年02月05日

    主人公は愛妻を亡くして人生に色がなくなったようなおじさん。私はもうすぐ三十路を迎える女ですが、この物語(というかふとした文章で)、めちゃ感じることが多くてよく泣きました。いつもは作者の痛快な描写にイイネ!と思うお話が多いけど、こういう不思議ななんともいえない郷愁を感じるお話もグッときました。私に合っ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2012年02月19日

    ある日とつぜん鍵穴が消えて、家に帰れなくなる男の話。安部公房の『赤い繭』を思い出した。

    「鍵穴はどこにもなかった」。そんな調子でしれっとSF風に導入したかと思いきや、物語が進むにつれところどころに日本の近現代史の知識欲をかき立てる世代論を交え、思いがけない風景を見せてくれる。とても味わい深い読書だ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年03月20日

    あなたは、家に帰って『鍵穴はどこにもなかった』と玄関扉の前に立ち尽くすことになったらどうするでしょうか?

    いや、どうするも何もないですよね。仕事で疲れて家に帰ってきたというあなた、一刻も早くシャワーを浴びたい、晩御飯を食べたい、そして疲れたので早く寝てしまいたいと思っているのに玄関扉が開かない。そ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2016年02月21日

    家に入ろうとしたら、鍵穴が無くなっていた。入れない。 その瞬間から、不思議な場所、人達との出会いが始まる。
    放浪の末に、手に入れるもの、気づくこと。
    深い。

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    Posted by ブクログ 2013年09月22日

    絲山さんが長編を書くとこうなるのか、という新鮮さ。
    何にしても絲山さんの小説に出てくる人物は当たり前の感性を当たり前に具えていて、それなのにちゃんと一人の人間であるというあたりまえの個性があって好き。

    定年間近、妻を数年前に亡くし子供二人も自立して家にはいない。そんな家(ごみ屋敷)の鍵穴がある日突...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2012年07月05日

    「鍵穴はどこにもなかった。」
    この一文から始まる。
    安部公房の路線だろうかと首を傾げつつ読み進めるに、個人とか、家族とか、親族、先祖、遂には日本にまで至ってしまった。
    そして至るも、日常へと戻ってゆく。
    一つ一つの物事を昇華させ、残りも昇華へ導いていく。
    なんとも不思議な感覚に陥る。

    もう一度、じ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2012年06月24日

    富井省三、乙。

    不思議な話だったなー。
    自宅ドアの鍵穴がなくなるなんて。

    早く起きなきゃいけないのに、読むのをやめられず一気読み。

    ビビりの自分にはちょっと怖くて、
    ちょっととっ散らかってて、でもホッとして、高揚感もあって。

    やっぱり絲山さんが好きだ。

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    Posted by ブクログ 2012年05月24日

    現実と空想の境界がはっきりしていないのが逆に心地よい。
    20年後の不安がチョットだけ解消?
    携帯電話の赤外線通信を宇宙人の性交と表現、最高。

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末裔 の詳細情報

  • カテゴリ
    小説・文芸
  • ジャンル
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    講談社
  • ページ数
    306ページ
  • 電子版発売日
    2013年01月25日
  • コンテンツ形式
    EPUB
  • サイズ(目安)
    1MB

閲覧環境

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