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高崎で気ままな大学生活を送るヒデは、勝気な年上女性・額子に夢中だ。だが突然、結婚を決意した彼女に捨てられてしまう。何とか大学を卒業し就職するが、ヒデはいつしかアルコール依存症になり、周囲から孤立。一方、額子も不慮の事故で大怪我を負い、離婚を経験する。全てを喪失し絶望の果て、男女は再会する。長い歳月を経て、ようやく二人にも静謐な時間が流れはじめる。傑作恋愛長編。
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Posted by ブクログ
とりたてて衝撃的な筋ではない。 が、読みながら感じていたのは、文体の不思議さ。これが「来た」。 序盤は、一人称に極めて近い三人称。 終盤は、三人称を乗り越えてくる一人称。 なぜというに、読み進めるに連れて「俺」が私の胸中の一部に巣食ったからだ。 少し特異な文体は、内容への共感と並行して、文を読み進め...続きを読むることによる共感を、誘う。 だからこそ、「ばかもの」と言い合える関係性に、ぐっときてしまうのだ。 小説はある程度の分量を経て、つまりは文脈を経ることで得られる感慨だ、と改めて認識した。 酒への耽溺は他人事ではない。 寄る辺なさ、思いの行き場のなさ、俺自身が俺を扱いかねているのだから周囲にとってはなおさらだろう。そういう感覚は年を経るごとに高まっていく。 それが男性にとっての、不可逆的な成長=頽落なのだろう。 「想像上の人物」については、一考の余地あり。 ただの妄想かと思いきや、たった一度だけ、現実?に介入してくるからだ。 そしてその後、来ない。来てほしい場面で徹底的に来ない。 周囲のどんな人の助けもちょっと足りない、という赤染氏の鑑賞は、まことまこと。
とっても良かったです。この作家さんは前から読みたいと思っていて、今回、はじめて読みましたがとてもいいなぁ、と思いました。作中でてくる 『容易じゃねぇなあ』というのがとても私には渋く、ある意味この作品に収斂していく表現かなぁと思ったりしました。この作家の作品を他を読んでみようとおもつています。
えらい強烈なのと付き合ってるなっていう、オープニングからして求心力絶大。読み心地の良い文章と相俟って、どんどん世界の中に引き込まれる。で、最初はちょっと哀れな主人公に同情しちゃいそうになるんだけど、だんだんアルコールに溺れて、いよいよ中毒になっていく過程は、ホントくず。読んでてイライラさせられっぱな...続きを読むし。でも入院を契機にそこから離脱して、最後元サヤに収まるまでを描いた物語。くず男の一代記なんだけど、コンパクトに200頁くらいに纏められていて、でも読み応えは抜群でっていう、理想的な小説に仕上がってます。”イッツ・オンリー~”は、正直そこまで大好きな作品ではなかったけど、これは素晴らしかったです。
アル中ヒデの恋愛物語。これで終わってしまう人も中にはいるのだろうけど、どうしてだか、私の中ではこの本はそう簡単に終わらせることはできず、むしろずっと心に確かな余韻を残していった、好きな本になってしまった。 額子に振られたのを境にヒデは徐々にアル中への道へと逸れていく。ヤマネも宗教の道へ。額子は...続きを読む額子でまた辛さを抱え、一番まともで一番幸せをつかんで良いはずの翔子は、一番厄介なヒデが重荷となる。 ヒデの中には常に理想となるある女性が目の前に現れていて、ことごとくその女性が顔を出す。ある時を境にそれは消えてしまうのだけど、それはその人を必要としなくなったから…現実にその人に代わる安心を得たから。そう、私は思っている。 その人自体は変わってないけど、その人がいることで得る特別な安心感や、安らぎというものは確かに存在する。たぶんヒデにとっては彼女がそうだったんだなって思えた。 ばかものって、意外に愛のある言葉なんだと思う。
群馬(高崎・前橋)の話で、また方言がとてもリアルで驚き。これもよかったなあ。 アル中の焦燥感ってこんな感じなんだろうな、というのがよくわかる。
ばかもの 本人?の一人称で書かれた物語は、荒削りで生々しい…。読んでて こちらがギュッと苦しくなる描写を くどくどと書き連ねている波に いつのまにか巻き込まれている様だった。 ばかもの 後は なんとか ええ感じで生きってって欲しい。
平凡な生活を過ごす大学生のヒデはバイト先の年上女性の額子に誘われ初めて女性の身体を経験し付き合い始めるが何事も経験豊富な額子に始終リードされっぱなしのヒデだが、どんどん額子のクールで不思議な性格に引き込まれて行くが付き合って2年目に夜中の公園の立木に下半身を曝されて縛られたままで結婚が決まったから...続きを読む別れると一方的に宣言され額子は去って行く。 額子が居なくなった後、ヒデは就職や新たな恋人と付き合いながらも充足されない心をアルコールで満たす様になって行き親友の加藤や恋人翔子の忠告も無視しアルコールに依存する生活が続いて行く。 家族・友人・恋人・職場・身体の全てをアルコール依存症のヒデは失ってしまいどん底の中で飲酒運転で事故を起こしてしまい断酒する事を決意しささやかで素朴な人生を取り戻して行き額子と再開するが変わり果てた彼女との結末は。。。 この小説は短いですが可笑しさ・せつなさ・絶望・愛がぎゅっと凝縮されとても深く心に浸みます。冒頭では額子とヒデの過激な性描写に驚き、額子に別れを宣言される公園でのシーンには変態的なプレーとその状況は思わず笑ってしまいます。大学時代の友人ネユキが宗教団体に入信、親友加藤は大人としての基盤を築いている、依存症のヒデが自分を取り戻し本当の気持ちを大切にして、お互いに素直になれるのだろうか、
これ嫌な人は嫌かもしれない。いきなりエロエロで始まるし、主人公の男は超絶馬鹿で同情の余地もないし。 10代の頃に出会った年上の女性にドロドロにはまった挙句捨てられて、それ以降の彼の人生を追ってそのどうしようもなさを追体験出来る本です。 転落っぷりが妙にリアルでエロから始まった本のはずなのに、段々苦し...続きを読むい気持ちになって来て、中盤まで読んだときにはこの馬鹿男の友達になったような気分になっていました。 男女の情愛を書いた本ですが、これをどういう風に読むのかは人それぞれという気がします。でも私にとっては非常に刺さる本でありました。私はこの男のような要素はどちらというと無く、無難な生き方をする人間なのですが、それでもこういう本を読むと人生って一度きりなんだなあとしみじみ思いました。 酒、博打、女、薬物に嵌って人生台無しにする人は心が弱い、と思ってしまいます。実際そうなのではないかと思っていますが、その人間の弱さが極めて文学的です。強くて自分の道をまっすぐ歩いていく人の話はどちらかというとエンターテイメントですもんね。 絲山さんの本はやはり純文学なので、人の弱さにスポットを当てた作品が多いのでしょう。 これ、絲山さんの本の中で現時点最も好きです。
(以下、ネタバレ気をつけていますが、核心に触れるセリフを引用してしまっています) 「沖で待つ」もそうだったんだが、わたしにとって絲山秋子の小説は、ある程度歳を重ねてきたからこそ共感できる、という部分がある。主人公は若者なのに・・・ 年上の女性にドはまりしたあげくに振られ、大学で落ちこぼれていつし...続きを読むかアルコールに溺れる。 自信満々(単に世間知らず)なだけの若いときの自分なら、こんな「ダメ人間」には感情移入できかなったと思う。 「たぶん俺はずっと誰かに甘えたい男なのだ。でもそれはこういう形じゃない。もっと、誰も不幸にならないような甘え―――そんなことは可能なのか」 「俺は、かつて自分をアルコールに駆り立てたものが、『行き場のない思い』だったことを理解している。アルコールだけではないだろう、今までやってきたことの殆どすべてが、『行き場のない思い』から発している」 今だって、こいつ甘ったれたやつだな、と思って読んでいる。が、「ま、わからなくはないけどさ」とも思っている。 だからだろうか、ラストシーンの川の水の冷たさが、得も言われぬさわやかな後味を伴って胸の中に広がるのだ。
絲山秋子さんの文章が好きです。 リズム感があるし、簡潔で、なんだか面白くて。 書き方は淡々としているのに、内容や描写が切なくてどんどん読み進めてサラリと読めてしまいました。
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絲山秋子
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