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どうしてそんなことを? と訊かれたならば、魔がさしたから、としか答えようがない。縄はどんな抱擁よりもきつく、私の躰と心を抱きとめる──。仕事に追われる日々の合間、自分を縛ることを密かな楽しみにしている「私」を描いてR-18文学賞大賞を受賞した表題作、女子高校生の初恋が瑞々しい「渡瀬はいい子だよ」など、“不器用”さすら愛おしい女の子たちをめぐる、全6編。
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Posted by ブクログ
R-18文学賞大賞受賞作収録の短編集。自分で自分を縛ることを密かな楽しみにしている私。精子とコンドームのコレクションを趣味とする女の話などアブノーマルな人々を描いた話だけれどなんかちょっと共感出来ちゃうところがすごい。
最初はエロいなと。 でも読み進めるうちに、みんながそれぞれ抱える弱さがよかった(・ω・) 私の中にもきっとある。
最後の一編、「渡瀬はいい子だよ」を 読み終わって、私は泣き出しそうだった。 それぞれの女の子が抱えた秘密、性癖、がんじがらめになっている彼女たちが蛭田さんのつづる柔らかい眼差しの文章で描かれていて、どれも良かった。 映画は表題作のみと知り、ほかのも観てみたかったなぁと思う。
どの話もすごくしっくり魅力的で文章が読みやすくてすきです。 ひとりひとりに大事な譲れないものがあって、それはきっと退屈なものだったり、想像もできないものだったりするんだろうな。 一回くらい縛ってみたくなるような、ちょっと新しい扉でも開いてみたいような、ステキな本でした。
すさまじく簡単にまとめると、特殊な性癖を持つ人たちの話、です。 胸がざわざわして、落ち着かなくなる。のに、読むのを止められない。 そこはかとない寂しさが漂っていて、どうしようもなく引き込まれてしまう。 この人の小説はこれからも読みたいと思う。
甘美なお話たち。そして全てリンクしている。欲望があるのも、欲望に忠実なのも、自分と向き合えるからこそ。ラストの短編がまたいい。こんな恋愛したかった!
著者が、自分と年の近い同じ元広告代理店勤務の女性というところに惹かれてなんとなく購入。(わたしは現役ですが・・・) フィクションだけど舞台が同じ業界だったりシンパシーはあるもののあくまで舞台設定の話。それより物語の本論は特殊な性癖を持つ人々の孤独と、自分の特殊性を後ろめたく思いながらも心の何処かで...続きを読む露呈されてしまうことを願う自己矛盾。スリリングであると同時に、その危うさにそこはかとなく、抑圧された社会の中で生きる人の強さを感じます。 オムニバス的R18短篇集。でも全然卑猥じゃない。むしろ特殊な嗜好性の向こうに、人の心の奥深くにある寂しさや誰かを求める気持ちの純粋さがあぶり出されるので読み終わったあとはとっても温かい気持ちになります。最後のお話「渡瀬はいい子だよ」が、とっても素敵でした。
特殊な性癖だから…と言うワケではなく、誰もが持っている″誰も入れたくない部分″が痛い位あざやかに描かれている。 あとがきの「だれかの孤独や切実な気持ちに寄り添える」が、ピタリと来る物語。 渡瀬の話が特に好き。 各話が微妙につながっているあたりもツボ。
西加奈子著『ふる』(河出文庫)をよんで「なんとなく切なくやるせないのだが、そこはかとなく元気をもらえるお話」とレビューしたが、こちら蛭田亜沙子著『自縄自縛の私』にいたっては「なんとなく切なくやるせないく元気になれないお話し」であった。この小説の内容と著者氏名、蛭田っていうのが意味深であった。元気に...続きを読むなれない原因が体のどこかにひっついている、それを剥がさないと元気になれない様な・・・でも、そんな自分が大好きな変態さんのおはなし。
初めての作家さんでしたが、すんなり。 人には言えない癖があって、それがうっかりばれてしまう話。 誰にも言えない秘密の時間って、うっとりする。 でもそれって、どことなく自分の殻に閉じこもっているようなもので。いったい何がどうしてそうなってしまったのか、原因を探るべきなのかもしれない。うっとりすること...続きを読むで忘れようとしている何かを、思い出さなければいけないのかも。
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