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未夜子は、大学のキャンパスで、いつも天文学書を読んでいる風変わ りな男の子・亘に出会う。それまで恋人は顔で選び、格好いい男の子とばかり交遊してきた未夜子だったが、亘に出会ったことで、人生が激変してしまう。亘のことが気になって仕方のない未夜子は、追いかけて追いかけて、亘の部屋まで乗り込むものの、いつまでたっても彼女とし ては認めてもらえず――。美人なのに不幸な未夜子の恋の行く末やいかに。本書を読んだ全国の女子大生から、「恋がしたい」の声が続々到着!! 25歳新鋭のデビュー小説。
※文庫版とは一部内容が異なります。
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Posted by ブクログ
一言で言うなら、「風変わりな女の子のお話」。大学で、根暗なメガネの亘を見た瞬間、カミナリに撃たれたような衝撃を受け、それからと言うもの、亘のことばかり考えてしまう。人の好みはそれぞれだと思うが、周りの子が好く格好いい男性ではなく、全くイケていない亘に固執するところに未夜子の変わった好みを感じる。未夜子は外見が良いので、格好いい男の子からたくさん告白されるが、みんな同じ「君」にしか思えず、会いたいと言われても、セッスクをしても、亘ほどの衝撃を感じなかった。本命には一向に好かれない、こんなに思っているのに…とメンヘラじみた思考とも取れる。亘もまた、変わっていて周りの男子が可愛いと褒める未夜子に愛を伝えられても、未夜子のことは忘れてしまうほど頭に残らない。なんなら、未夜子みたいに可愛い女の子ではなく、もやしっ子みたいな影の薄い、ブサイクな女の子を好くと言った嗜好がある。好きな人に好かれない私は自分が見捨てた金魚のようにかわいそう。自虐もありながら、自分みたいに思っている女の子を好きにならないなんて!と相手を責める気持ちが混ざっていて、未夜子の狂気を感じるほど。雨に濡れていた未夜子を助け、家に住まわせてくれた亘の兄、洋に何も言わずに家を出てきた未夜子。洋の吐く言葉が、少女漫画のセリフみたいでも、胡散臭くても、せめてお礼だけは言ってあげて、と思った。恋に一筋だけれど、とても不器用で、歪な恋愛の形があり、登場人物たちが皆、風変わり。だけれど、他人との距離のあり方、自分と相手の気持ちが噛み合わない時の寂しさ、見えない距離と感情に共感できる作品。金魚の名前がシタジキとカミノケなのは笑ってしまったが、名前を与えてもらった金魚たちは初めて、そういう存在として認識され、幸せなのかもしれない。例え死んでいたとしても。未夜子もまた、亘から名前を呼ばれず、名前の意味も分からないまま、自分という存在が不透明で曖昧なものであったため、水の中を揺蕩うような生き方しかできなかったのだろう。好きな人に名前を呼んでもらいたい、愛されたい、そう思うのは自然なことであるのに、この小説だと、とてつもなく気持ち悪く思えてくるのは何故なのだろう。
Posted by ブクログ
チレンちゃんのデビュー作!!
チレンちゃんに「ちょっとあやちゃんに似てる女の子のお話なんだよ」と言われてすごく楽しみにしてたの。
もう初めっから痺れた。ほんと電波系。ぴりぴりって痺れる。
詩的で官能的でわけわからないのにわけわかっちゃう感じがもうたまらない、たまらないよ。
可愛くて、可愛いのが当たり前に育ってきた未夜子。かっこいい男の子としか付き合ったことないし、エッチばっかりしてレーズンみたいなチクビを持つ未夜子が恋したのはでかでかと名前入りのリュックサックを背負い、天文学の本を読むヘンテコな男の子、亘。無意識に読める、不器用な恋物語。
これみんなに読んでもらいたいなぁ。
Posted by ブクログ
読みながら浮かんできたのは渡辺あや脚本『ジョゼと虎と魚たち』で、たぶん木爾さんはこの作品が好きだと思う。言うなれば田辺聖子さんの『ジョゼ〜』という短編を渡辺あやさんが映画脚本にし、その影響を受けた木爾さんが自分に取り込んでさらに自分の中の物語の土台というか雛形にし小説にしていったような気がした。
怖いものを好きな人と見たかったジョゼのような未夜子のカミナリ。僕は映画『ジョゼ』がとても好きなので勝手に夢想してしまった。亘という名前は恒夫を彷彿させるしツナ子はジョゼの祖母のようだ。
0「未夜子と、格好よくてつまらない君達の夢。」の田辺睦夫は『メゾン・ド・ヒミコ』の岸本春彦の欄干にもたれている姿が浮かんだ。金魚たちはラブホテルでジョゼが見た古代魚のように未夜子の中に巣食っていてそれが亘との記憶と溶け合って空に浮かんでいるみたい。未夜子は恒夫で亘はジョゼと置き換えれるかなというのは僕が渡辺あや脳だからかもしれない。全然違ったら申し訳ないけど。
未夜子は可愛くて他の女子からもおはようよりも嫌みや悪口を言われた方が多い女の子だが嫌みではない、ある意味では不思議ちゃんなのだろうがそれがすごく活きている。
花火の時に洋を見ているかつての同級生は昔だったらきっと売れ残った金魚を大量に安く買って夜のプールにその金魚を放ったような女子たちに見えた。最近起きたプールに金魚を放った女の子達が浮かんだ。
彼女達が羨む未夜子の間には友情なんか成立しない、恋に真っ直ぐな彼女はその辺りをシカトして自分の景色を自分の色彩で彩って何を言われても気にしないだからこそ美しさの中で燃える花火や生きていた金魚は鮮やかで終わった後の空の煙る景色や死骸になった金魚は哀しく朽ちている。
気持ちやその感情にある自意識や景色を色鮮やかに書ける人なんだなって思った。絶対『ジョゼと虎と魚たち』好きだと思うんだよなあ、きっと。
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