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「文学というものは、われわれの実際の生活から離れたものが、よいのではありません」歌人の感性と学者の分析、釈迢空(しゃくちょうくう)の名を持つ折口信夫(おりくちしのぶ)(1887-1953)のふたつの眼はともに鋭い。歌の歴史と味わい方を若い読者に語る「歌の話」、短歌滅亡を論じてその宿命と未来を問う「歌の円寂する時」。「女流短歌史」を併録。(解説=岡野弘彦)
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Posted by ブクログ
上代から江戸近世まで、短歌の成立と変化を、若い学生向けに解説する『歌の話』。難しい述語は殆ど無いので、読みやすかった。一首ごとに、目を止めてじっくり読むことが、ふだんはなかなかできないのだが、二度、三度、十度と読み返してみると、骨の折れる古文散文よりも、入り込みやすい。
折口信夫らしい語り口調(学生向け)だった。 明治の女性短歌が盛り上がった理由についても少し言及していて、山中智恵子が折口信夫に少し執着していた理由が分かった気がした。単に古典の先生というわけでもなく自覚していたかはわからないけれど古代に根差したフェミニズムが入っているような気もした。 歌の話円寂...続きを読むするとき。後書きにも書いてあったけど要は短歌全集を一夏蔵に籠って「玉藻集」が一番良いですよと言いのけた人間が短歌の限界を明治に語り始めていて、今でも説得力があった。 短歌はまたその時代の人の心に戻ろうとしているけれど、一過性の芸術であることから逃げようと思ったら、山中智恵子のような宙から言葉を形作り持ってくる巫女的振る舞いをするしかないのかもしれない。 であれば、文中でもあったように消費者、批評家の方が問題ではある。
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