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猫を語り手として苦沙弥・迷亭ら太平の逸民たちに滑稽と諷刺を存分に演じさせ語らせたこの小説は『坊っちゃん』とあい通ずる特徴をもっている。それは溢れるような言語の湧出と歯切れのいい文体である。この豊かな小説言語の水脈を発見することで英文学者・漱石は小説家漱石となった。(解説 高橋英夫・注 斎藤恵子)
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Posted by ブクログ
毎晩スタバで少しずつ、3ヶ月以上かかってやっと読み終えました。 (私にとっては2021年の読書10冊目) (読もうと思ったキッカケは、内田百閒先生が心酔していたから) (夏目漱石の作品なので、岩波を選んだ) 全体の印象としては、登場人物ご一同さ、皆さん饒舌というか、多弁で、まぁよく語ること語...続きを読むること。 そのおかげで、だいぶ語彙が増えた気がします。 明治38年(1905年)から翌年にかけて書かれた作品だから、勝ったばかりの日露戦争に関連して色々な単語が出てきます。 (旅順が落ちたので市中は大変な景気だとか、征露2年目とか、乃木希典、バルチック艦隊、東郷平八郎とか) 特に印象に残ったのは、禅語とか仏教用語が、登場人物の口からいっぱい出てくること。 そして、ネコの飼い主、苦沙弥(クシャミ)先生の口からは、古代ギリシャの哲人とか学者さん達の名前やエピソードが、次々と出てくる。 漢籍(中国から入ってきた古典作品)の数々からの引用も多くて、夏目漱石の博学さに驚きました。 ゲーテのファウストやウェルテル、熊坂長範、楠木正成、ナポレオン、アレクサンドロス大王、その辺は大丈夫。 だけど、ニーチェとか漢籍とか、さらには落語からも引用してるみたいで、その辺は本当にいちいち1つ1つググっていったので、ものすごく時間がかかった。 ただただひたすら、Wikipediaと日本国語大辞典で調べまくりの3ヶ月間だった気がする。 10代の多感な思春期にこの作品を読んで衝撃を受けたという、内田百閒先生や芥川龍之介。 彼らの頭脳と感受性、どちらもマジですげぇわ。 次に何を読むか、なんだけど…… 漢籍の数々をこの年齢から次々と読破して行くのはハードルが高い一方で、禅語はちょっとかじってみたいなぁと。 でも、友達がいない私には、禅語とか仏教に詳しい知り合いもいない。 漢籍と禅語をある程度おさえておくと、小津映画も理解が速くなりそうな気がする。 色々な本を読めば読むほど、あちこちで引用されてますよね。 本来なら、古事記や日本書記、イリアスやオデュッセイアや、旧約聖書や新約聖書と同じレベルで、まず最初にそっちを読んでおくべきなんだろうな。 今までろくすっぽ読書してこなかった人生を反省させられた1冊となりました。
ラストにやられました。 波があるようで波がない。猫視点の日常です。 どう終わるのだろうと思って読んでいたら、驚きました。 猫が可愛いです。猫が悟りを開いている感じです。 少し分厚いので、薄い本が好きな人は少し読むのが大変かもしれません。 ちなみに、私が初めて読んだ文学作品でもあります。
若い時に何度か読んだのでエピソードそのものはだいたい覚えているのだが、言い回しとか例えとか、文のスピード感などといったディテールが面白く、味わい深い。 また、この最近の岩波文庫版はとても読みやすい。漢字の開きも、雰囲気を壊さない程度にとどめてあるし、読みの難しいものにはほぼ必ずルビがふってある。注も...続きを読む多めかつ簡潔で気になったものだけちょっと見て理解して先に進める。 昔、新潮文庫で読んでいて億劫になって挫折してしまったことがあったのだが、問題はこの読みやすさ、だったと思う。新潮文庫の、漢字はほぼ開かず原文どおりという方針はとてもいいのだが、字が小さく行間がつまっていて圧迫感があって読んで入り込むまでに時間がかかるのと、注がちょっと少な目で気になった言葉がわからないとそこでつっかえてしまって途中で止めがち、ということが問題だったのではないかと今にして思う。新潮文庫さん、ぜひ漢字はそのままにして、読みやすいスタイルと注の充実した新版へのリニューアルをお願いします!
この小説のはじめあたりで、吾輩が「言語道断」を「言語同断」と言っているのです。 最初、誤植かと思いました。漱石ともあろう人が何故? やがて、ある時、腑に落ちました。 これは猫が語っているのですよね、だから、これでいいのですね。
漱石のユーモアとトウェインのユーモアって似てる気がする。相手の主張をあえて受け入れてシニカルに考察するところとか。
名著、間違いなく名著。楽しく読めてしまうのにすごく深い内容。西洋の思想が入ってからの日本人の変化についての考察は本当に考えさせられた、というか烏滸がましくも同じようなことで悩んでいただけに、妙な感慨が…
夏目漱石といえば・・・ と聞かれたとき、私は間違いなくこの作品を掲げるでしょう。 猫視点で描かれる本作品は、当時非常に斬新でその後同形式の作品が多数出たという。 私はそのような意味で本作品をお勧めしたい。 時代に新たな風を吹かせるということは、ごく限られた人物にしか可能たらしめない。 特に学生...続きを読むさんにお勧めしたい作品です。
漱石のデビュー作。 意外に分量、内容ともにどっしり感が強かった。 とはいえ娯楽小説なので、あまり難しいことは考えず、サザエさんでもみる気持ちで読むのが一番面白いと思います。
誰もが知っている日本近代文学の代表作。 正直今まで読んだことがなかった自分がとても恥ずかしくなるほど面白く、唸らされる作品でした。 近代日本社会を「猫」の視点から風刺した作品です。 いつの時代でも生きている人にとって矛盾や問題はいくつもあります。 もし現代社会に我輩(猫)が存在しているとす...続きを読むるなら何と言うでしょうか? それをゆるく描く漱石の筆の巧みさにただただ圧倒されます。 まだ読んだことのない方は是非!
吾輩は猫である。名前はまだない。 この有名な書き出しは知っていても、読んだことはなかった。伊集院静さんの『ミチクサ先生』を読んで、この小説をどうしても読みたくなった。 思ったよりもずっと分厚かったけれど(岩波文庫515ページ)、漱石のユーモア、風刺を交えた文章に引き込まれた。電車で読んでいる...続きを読む最中に、面白くて思わず吹き出してしまうことも。例えば、「ダムダム弾」をめぐる攻防。 あくびを「鯨の遠吠のよう」と書いているのも面白い。 日常を「猫」の目から見た物語ですが、人と人とのやりとりが面白かった。しかし、あのような結末になるとは思いもしませんでした。そういうことになるとの予想はつくものの、まさか本当にそうなるとは思わず、でも、その結末もユーモアがありました。
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