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天皇陛下万歳! 大正から昭和の敗戦へ――時代が下れば下るほど、近代化が進展すればするほど、日本人はなぜ神がかっていったのか? 皇道派vs.統制派、世界最終戦論、総力戦体制、そして一億玉砕……。第一次世界大戦に衝撃を受けた軍人たちの戦争哲学を読み解き、近代日本のアイロニカルな運命を一気に描き出す。
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Posted by ブクログ
なるほど。ファシズム体制にしたかったけど、できなかった。そんな各思想人や軍人のジレンマ、本音と建前、顕教と密教が本人たちのコントロール下を超えて世論に押し流されて暴走していった。 根本的にムッソリーニ政権下のイタリアとナチスドイツとは異なる「未完のファシズム」のまま、英米との戦争に誰の意思もなく突っ...続きを読む込んでいった日本。 読み応えあるのに、非常に読みやすい良著。 日本の近現代史を勉強したいなら欠かせない本。 素晴らしかった。。。 合理主義だったからこそ精神論に走るしかなかった哀しい帝国の末路。 もてはやされている幕末の志士たちは、維新後に元老院として権力を振るった。権力にしがみついた。 しかし後継者を決めなかったし、制度化もしなかった。その結果、彼ら亡き後、誰も権力を振るえない機能不全が慢性化した異常な帝国となってしまった。 常に権力の空白地帯が存在し、誰もビジョンを持って戦争を避けることも、やめることもできなくなっていった。 明治維新の罪。 超法規的集団の元老院が権力を振るう明治、彼ら亡き後機能不全に陥った昭和。
ゾクゾクするような論理展開。持たざる国である日本を軸に第二次世界大戦に突入し、玉砕覚悟の総力戦に至る思想に迫る。 「明るくなったろう」お札を燃やして灯りを点す。有名な教科書の挿絵、第一次世界大戦の特需に沸いた成金が出発点だ。日露戦争による巨大な外国債務により日本経済は青息吐息。企業の倒産が相次いで...続きを読むいたところに、第一次世界大戦が長期化した事で、ヨーロッパ諸国日本から軍需品を輸入し始めた。戦争特需に加え、ヨーロッパからの輸入品が来なくなり輸入に頼っていた物資が不足。鉄、硫酸、アンモニア、化学染料、薬品、ガラスなどなど。これらが派手に値上がりしていく中、国産にすることで儲けようと言う投資が活発化。日本は局地的に参加した青島戦で、物量や兵器の近代化、血対鉄の力学を学ぶ。持たざる国を脱却しなければならぬ使命感が増す。 銀河鉄道の夜、ジョバンニの台詞を引く「ぼくたちここで天上よりもっといいとこをこさえなけぁいけないってぼくの先生が云ったよ」法華経の教え。天上彼岸に行って救われようとするキリストや親鸞とは違う、現世で立場を変えるのだ。 田中智学の造語である八紘一宇。共感したのが石原莞爾。目指すは満州。満州により、日本を持たざる国から変えようと。更に日本古代の書、開戦経。勝ち負け生き死ににこだわらずひたすら闘い続けるのみという真鋭の観念。生きて虜囚の辱めを受けず、バンザイ突撃に通ず。最高のまことは、みこと。すめらみこと。玉砕こそ持たざる国の必勝兵器。こうして、精神論を成就させ天皇の軍隊は散りゆく御霊へ。 全てが意識的に繋がるものではないが、通底する論理展開。至上命題であった持たざる国の克服が導く歴史の壮絶さ、然り。
玉砕する軍隊こそが、「持たざる国」の必勝兵器だったのです。 世界大戦時の歴史に無知すぎるので勉強。 第二次世界大戦の日本といえば、物資がない国なのに、長期戦争する、過剰な精神論、命と補給の軽視、アジアを広範囲に侵略、戦争のゴール設定がない、ファシズムといいつつ誰が束ねていたのかよく分からない…と、...続きを読むあとから見ると全く理論的に見えないのだが、この本によると、意外と当時の軍人は他国の戦争を視察したり、物資がないから物資「持てる」国との戦争は無理だね…等、その時その時で現実的な考察をしていたことに驚いた。そしてあまりにも「持たざる国」である点を見つめた結果、もう精神論しかないから玉砕で勝利するしかない、補給が必要なほど長期間戦争しないから大丈夫(でもゴール設定がないから長期間になって餓死)という恐ろしい方向性に次第に傾いていったと解説している。 現実を直視した結果、非現実的な精神論に至る…一見変なようにも見えるけれど、総理大臣が育休中も休みだからリスキリングできるよね?少子化対策は社会の”雰囲気”を変えることだよね、と発言する等、最近も起きてる気がするのがなお怖い。
日本が持てざる国だったからこそ、たどった歴史の筋道を丁寧にたどっていく。思い描いていたようなファナティック一色では無く、理性的、合理的な人もいたことに驚きでした。国柱会の面白い主張にも惹かれました。力作です。
数年前から全体主義について、ボチボチ読んでいるところ。きっかけは、トランプ大統領の就任とか、移民問題とか、ヨーロッパでのポピュリズム的な動きとか。 まずは、全体主義が一番徹底していたと思われるナティスドイツを学んで、その後、共産主義国を経由して、日本にたどり着く予定だったのだが、ナティズムを読むな...続きを読むかで、アーレントにハマって、アーレントの翻訳書をかたっぱしから読んだり、ホロコースト関係の本はヘビーなので時間がかかったりして、日本にはたどり着かない状況。 でも、コロナ後の世界で、もう一度、全体主義を学ばなきゃという意識が高まり、また日本のオリンピックやコロナ対応を通じて、あらためて性差別、人種差別、ジェンダー意識、人権軽視、そして優生思想などなどのディスコースが明らかになり、まだまだナティズムもよくわからないなかではあるが、日本型の全体主義も読んでいこうと思って、手にとってみた。 日本のファシズムに関する本で最初に読むにはちょっとニッチかなと思いつつ、帯の「日本人はなぜ天皇陛下万歳で死ねたのか」という言葉にひかれて読んでみた。 多分、これまでの解釈だと、「日露戦争くらいまでは日本は欧米諸国にまけないように、植民地化されないように、謙虚にがんばっていた。だが、日露戦争に勝って一安心して、慢心してしまった。また、乃木大将の旅順攻略における精神主義的な(?)戦術で結果として勝利したことが、その後の精神主義的な傾向を強めることになった」みたいなものかと思うけど、この本は、そこに異論を唱える。 日本軍、しかも(精神主義が強いと思われる)陸軍は、日露戦争を通じて、物量の重要性をちゃんと教訓として学んでおり、それを活かして第一次大戦時の青島攻略では、当時の欧米諸国より進んだ新しい形の戦争を実行していたのだ。 さらには、第一次大戦時には、ヨーロッパの国に多くの優秀な人材を派遣しており、そこで、新しい形の戦争をじっくりと学んでいた。そして、彼らが学んだのは、これからの時代の戦争は、総力戦であること。平時の経済力、生産力が、戦時に、戦争にむけての生産力に転換されるということ。ゆえに、経済力を高めること、そして、それを戦時に集結できる仕組みが、これからの戦争の勝敗を決めるということを身に染みて学習していたのだ。 にもかかわらず、どうして、陸軍は精神主義になってしまったのか? 著者は、経済的な国力の差が重要だと分かれば、分かるほど、日本は戦争できない「持たざる国」であるということが身に染みて、ある種の絶望に陥った、と主張する。 そこで、あるものは、自分より弱い国を相手にした戦争しかしないとか、強い国との場合は限定的な戦争にして短期決戦に持ち込むしかないと考えた。また、あるものは、近隣の資源が豊かな地域(=満洲)を占有し、数十年かけて経済力が高めるまでは戦争はしないようにすると考えた。 が、いずれも「戦争はしない」とか、「戦争をすると負ける」とは、軍事上、言えないので、「精神主義的なディスコース」をとりあえず、公式には語っていたという。 しかしながら、軍は、政府ではないので、経済政策を担当するわけではないし、戦争をするとか、しないとかを決定することもできない。「戦争しろ」と命ぜられたら、戦争するしかない。また、自分はしたくなくても、敵が攻めてくることもある。 ということで、当初は「外向けの建前としてのディスコース」だったものが、支配的なディスコースになって、玉砕賛美、天皇陛下の神格化を哲学的?に基礎付ける方向での理論化が進んだというのだ。 なんと。。。。。 この本は、陸軍における「戦争思想」とでもいうものの変遷をまとめたもので、陸軍以外の軍や政府、国民などの意識の変化のなかで考える必要はあるのだが、これはこれまでにない新しい視点で、長年のなぞの一部が解けた気がした。 現実を明確に理解したがゆえに生じる精神主義。これはかなり痛い視点だな〜。
大正期の健全な軍事ドクトリンが存在した日本陸軍がいかに変容して堕ちていく様を、実に分かり易く紹介されてますな。酒井鎬次みたいなマイナーだけど超有能な将官とかの紹介があるのは実に面白い。
石原莞爾 「持たざる国日本の世界戦略」満州国を育て世界最終戦争に備える 満州でソ連経済をモデルに高度成長を実現 日本の資源・産業基地 明治政府の制度設計の誤り 元老による属人的な国家運営 組織ではなく個人に依存 兼務体制 伊藤博文 東條英機 シェリーフェン戦略(独参謀総長) 短期決戦主義→早期...続きを読む講和に持ち込む ロジステックは必要ない 長期戦になれば敗北 国力の小さい方が不利 山本五十六の真珠湾攻撃・早期空母艦隊決戦を求めたのも同じ考え その時代のロジックがあった それをきちんと整理しないと反省も教訓も得られない 誤りを繰り返す 日本の風土 官僚主義・無謬主義
勝てるはずのない戦争に突入したのは、日本軍の過剰な精神主義が原因、との通念に違う角度から光を当てる本。 ヨーロッパが焦土と化した第1次世界大戦。日本は日露戦争の教訓を生かし、兵士を無駄死にさせない最先端の砲撃戦を実践していた。本来は物量戦が望ましい。それはわかっている。しかし「持たざる国」日本では...続きを読む徹底的な突撃しかない(皇道派)。あるいは国家主導の経済強化で「持てる国」になるしかない(統制派)。いずれにせよ、勝てるようになるまで戦争はできない、それが軍部の(隠れた)意向だった。 古代の政治の理想である「しらす」(天皇自らは決めず、いろいろな意思の鏡となり、人々はそれを仰ぎ見てしらされる)、の思想のもと、あえて権限を持たない機能の寄せ集めとして明治憲法は制度を設計した。それは維新の元勲の密室政治を前提とした仕組みであり、ファシズムなど目指したくても目指せる代物ではなかった(欽定憲法を改正するなどという主張はできるはずもなかった)。日本のファシズムは未完であった、という。 権限の集中による総力戦体制も作れないまま、それを補うための神がかり的な玉砕が礼讃される。明治維新、大正デモクラシーと時代が進むほど、むしろ精神主義は加速した。 大きな敵に小さな力で挑む、これを応援するのは日本に限らない。では小さきものの武器はなにか。工夫や手練手管か。はたまた「根性」か。別の話といえばそれまでだが、かつて松井選手への5連続四球を国を挙げてバッシングしたことを私はどうしても思い出してしまうのだ・・・
太平洋戦争における日本軍の「バンザイ突撃」や「玉砕」に見られる非合理的な精神論主義は一体どこから来たのか。 それを知りたければ本書を読みなさいということであるが、レビューに当たりざっくりと、本当にざっくりと要約すれば以下の通りになる。 ・戦争の本質をよくわからないまま日露戦争をがむしゃらに戦...続きを読むったら運良く勝ってしまった。 ・第一次世界大戦は直接の戦渦に巻き込まれることはなく、一部のエリート層が戦況を研究し、「近代戦は物量で決まる」ことを痛感した。 ・しかし「物量で決まる」と仮定すると「持たざる国」である日本は「持てる国(ロシアやアメリカ)」には勝てないことになる。 ・合理的に考えれば考えるほど大国には勝てないので、精神論で押し切るしかなくなった。 「合理的に考えた末の精神論」という、一件矛盾した判断であるが、本書を読んでいくとなるほどそれも自然な成り行きなのかもしれないと思えてくる。 戦争の勃発は世界情勢なども大きな要因であるわけだが、日本国内の、思想的な流れというものがスッキリと説明されている。スッキリ過ぎてむしろ怪しくなるくらいであるがその是非を問える知識はないので、とりあえず素直に受け止めておく。 「部隊の3割が損耗したら壊滅」と言われることもある(諸説あり、データに基づく分析だともっと少ないらしい)が、「最後の一人まで戦う部隊」であれば、理屈の上では3倍の相手も倒せる。それが故の死をも恐れぬバンザイ突撃であり、死して虜囚の辱めを受けない玉砕思想である。終戦を知らぬまま、仲間たちが倒れても戦い続けた小野田少尉にも通じるかもしれない。 負けを許さない、何が何でも勝たねばならぬ、という結論からスタートしてくるものだから、「どうにもならない負け」を認めない。「どう負けるか」を考えることも許さない。 小畑敏四郎は精神力で不足を補いつつ、そこまで差のない相手と短期局地決戦に持ち込むことでしか勝てないと主張した。 石原莞爾は満州を拠点にして日本を「持てる国」に変えるまでは戦争をしてはいけないと考えた。 だが中柴末純は、いつどこで戦争を始めるかは政治の話であり、軍人が政治に首は突っ込むべきではない、「持てる国」が相手だろうが、その戦いがいつ始まろうが、勝つことを前提に考えないといけないと説いた。 この中柴の思想を受けてインパール作戦やアッツ島の玉砕などが生まれるわけだが、実は中柴自身も生産量が足りずに戦争に勝てるわけがないことは知っていた。 繰り返しになるが日本が太平洋戦争に突き進むまでの背景には様々な要因があり、誰か一人のせいではない。東条英機などが槍玉に上がることは多いが、東条とて日本のすべてを掌握していたわけではない。多角的に見る必要があるのだが、その「思想的な流れ」というものは、本書を読めば相当に把握できるのではなかろうか。 度重なる不祥事に見られる現代の企業経営にも、こうした大日本帝国軍的思想というものは脈々と受け継がれているようではある。
なんでタイトルが「未完のファシズム」なのかと思ってたけど読んで納得した。 日本人、まとまりない。w 太平洋戦争については言わずもがなドラマやアニメ、漫画や小説にもなってるので はぁ~当時のお偉いさんはなんて全員バカだったんだ!と 思ってたけど 考えていたのね、それぞれだけど。 ただ全くまとまらないと...続きを読むいうか、ヒトラーのようにナチズムが日本で出来たのかっていうと 当時、実際は出来なかったし 持たざる国(物資・燃料・工業等全て)が アメリカやヨーロッパのように持てる国に勝てるには どうすりゃええねんって。 そうだ持てるように満州建国しようぜ派もいたし いやいやそんな甘いことより短期決戦で勝負よ!って言ってみたり。 二・二六事件が起こってそのまま精神論だけ一人歩きかーい と。 まぁなんか中柴とか「とりあえず死ぬこと恐れなかったら、敵は怯んで攻撃してこなくなるんじゃね?」って考えが 恐ろしい。後の特攻とかに全て結びつくわけだし。 未完のファシズムでよかったのか悪かったのか云々よりも 戦争なんてしたらいかんよ。って思う。
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未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―
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