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終戦翌年の夏、5歳の男の子が誘拐された。≪使い古しの新圓(しんえん)で百萬圓を用意しろ。場所は有楽町カストリ横丁≫という脅迫状に従い、屈強な刑事たちが張り込むなか、誘拐犯は子どもを連れて逃げてしまう。そして15年後、とある殺人事件をきっかけに、再びこの誘拐事件が動き出す。第54回江戸川乱歩賞受賞作。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
終戦の翌年、昭和21年の夏、ひとつの誘拐事件が発生した。狙われたのは、実業家の長男で、まだ5才の子供。 しかし、警察の失態により、身代金は奪われ、犯人は取り逃がし、更に、子供は帰って来なかった... それから、十数年が経ち、ひとりの女性の殺人事件が発生した。捜査を続けたところ、十数年前の幼児誘拐事...続きを読む件とのリンクが出て来た。 果たして、殺人事件の犯人は、誘拐犯の人間と同じ人物なのか? 母親の最後の言葉『お前は、本当の息子では...』に苦しむ青年とその恋人、反目する2つのグループの刑事達。 最初、バラバラであった3つの糸が不思議に絡み、やがて、ひとつの真実に行き着く。 各所に伏線があり、二転三転するハラハラドキドキの連続ですが、最後は納得の結末です。 生みの親か、育ての親か、いろいろ意見はありますが、やはり、親の愛は、深いものがありますね。 なお、随所にある当時の言葉『アッパッパー』、『解放国民』、『楠公飯』などなど...難しい言葉もありますが、著者は、よく調べていますね。
運命を感じた!
未解決事件が、からまった糸が、少しずつほどけて行くように、謎が解けていくのが、気持ち良かったー次は、真犯人ですねー
Posted by 読むコレ
戦後の混乱期の様子が細かく描かれている。三方からの追跡が、最後に一点につながる。横溝正史を思わせる。母の愛には、脱帽。
終戦直後の昭和21年、ある資産家の息子が誘拐された。 現金の受け渡しは人がひしめく闇市。犯人は警察の十重二十重の監視を潜り抜け事件は迷宮入り。 そして15年後の殺人事件をきっかけにまたその誘拐事件が動き出す。 登場人物が自分の足で手がかりを少しずつ見つけていき、その結果過去の事件と現在の事件がひと...続きを読むつの線でつながるっていう、自分が好きなタイプの作品。 現代を生きる自分達には経験できないことだけど終戦直後の生きていくだけで精一杯って時代背景をもっと書いていればもっとよかったかな。 最後のシーンもハラハラした。
翔田寛の長篇ミステリ作品『誘拐児』を読みました。 翔田寛の作品は4年前に読んだ連作短篇時代小説『幽霊が返した借金 おでん屋こはる事件帖』以来なので、久し振りですね。 -----story------------- 第54回江戸川乱歩賞受賞作 昭和21年、帰らなかった誘拐児。悲劇はそこから始まった...続きを読む――。 緊迫の推理。 かつてなく切ないラスト。 圧倒的筆力で描く興奮、そして涙。 終戦翌年の誘拐事件。身代金受け渡し場所、闇市。 犯人確保に失敗。そして15年後、事件がふたたび動き出す――。 人間の非情と情愛を見つめる魂の物語。 選考委員、大沢在昌氏、東野圭吾氏、推挙! ●大沢在昌氏「昭和36年という舞台を描いて、無理を感じさせないその筆力に、まず可能性を感じた。」 ●東野圭吾氏「文章、ストーリー、人物描写、すべてが安定している。場面転換も巧みで、読者を飽きさせない。」 ----------------------- 2008年(平成20年)に刊行され、第54回江戸川乱歩賞を受賞した作品です。 終戦翌年の昭和21年夏、実業家の子息で、5歳になる男の子が東京・成城の自宅前から誘拐された……やがて、犯人から脅迫状が届く、、、 「使い古しの新圓で百萬圓を用意しろ。場所は有樂町カストリ横丁」 警察は犯人逮捕に全力をあげ、屈強な刑事たちが闇市を張り込むが、誘拐犯はその目前で身代金を奪ったうえ、子どもを連れて逃げてしまった……あれから15年、手がかりは何もなく、迷宮入りしたかに見えた。 しかし、とある殺人事件をきっかけに、再び児童誘拐事件が動き出した! 二つの事件が思わぬ形で繋がってゆく……圧倒的筆力で描く本年度江戸川乱歩賞受賞作。 戦後の混乱期に起きた未解決の誘拐事件と、15年後に起きた殺人事件が絡み合う展開……お互いに意地を張り反目しあいながら真相究明に向けて地道な捜査を続ける二組の刑事や、自らが誘拐事件の被害者ではないのかと疑いを持つ青年とその恋人、登場人物たちの視点が交差し、徐々に誘拐事件の真相が浮かび上がるという謎解きの展開に引き込まれ、最後まで集中力を欠くことなく読めましたね、、、 主人公以外の登場人物も魅力的で、彼らの人間関係や心情描写が物語に深みを与えていると感じたし、リアリティのある戦後の混乱期の描写も魅力的で物語に臨場感を与えていると感じましたね……面白かったー 好みの作風の作品だったので愉しめました。
戦後の日本を起点にした話。 当時の壮絶な生活情勢を鑑みると、犯罪だが、単なる犯罪とは割り切れない事情も挟み込まれている。 今ののほほんとした日本からは想像が難しい心情から生まれている行動も多くあった。 サスペンスなのに、最後は男女ペア同士のまさかの大乱闘だったのがある意味衝撃的。
「真犯人」に続いて、江戸川乱歩賞を受賞したという本作を読んでみました こちらも読み応えがあります 自分の過去に疑問を持つ青年と、その恋人、二組の刑事とそれぞれの視点から事件の真相に迫っていきます さらに過去に捜査に当たった人々が出てくるところは、「真犯人」に似た設定です 時代設定が戦後まもなくで...続きを読む、当時らしい捜査で進みます 登場人物が多く、主人公が誰なのかはっきりしない作品(群像劇ではない)ですが、よく練られて構成だと感じました
昭和21年、戦後の混乱した日本で起こった誘拐事件と、その時効目前の15年後に起こった家政婦殺人事件。 「おまえは、ほんとうの息子じゃないよ。私が誘拐......。」この言葉を最後に息を引き取った母親。 いったい自分は誰なのか?この謎を追う息子・良雄。 一方、家政婦殺人事件を追う刑事たち。この事件と...続きを読む15年前の誘拐事件が繋がりを見せ始め・・・。 プロットは興味をそそるんだよなぁ。いかにも重厚なミステリーって感じだし。プロローグなんかも闇市の混沌とした様子を上手く描いていて迫力がある。八月という真夏の季節感もこちらにまで暑さが伝わってくるような書き方。 こりゃ、傑作かも!?って思って読み進めたんだが・・・。 面白いんだけど、解りにくい小説。 登場人物が多いんだよね。いや、別に多くても良いんだけど、特徴がわかりにくい。例えば、刑事が二組登場するのだが、互いに反目しあってるのはいいけど、読んでいくうちに、どっちがどっちだか解らなくなりそうだった。もう少し、キャラに特徴を付けても良いと思うけどなぁ。 場面もコロコロ変わるから、なんか落ち着かない。この点については、東野圭吾氏が「場面転換も巧みで、読者を飽きさせない」と支持してるそうだけど、う~ん、そういう見方もできるのかなぁ、と渋々納得。 昭和21年の描写は、当時の生活感をだしてるし、目の前に情景が浮かぶような上手さ。それに対して、15年後(昭和36年)の描写はいただけない。時効の都合で昭和36年に設定してるんだろうけど、時代の持つ匂いが伝わってこない。昭和36年って、さすがに戦争直後のようなことはないにしても、まだまだ日本は貧しかった時代だけど、その匂いがしないんだよなぁ。 プロットが良いだけにもったいない気がするなぁ。 ついでに気になった点をあげると、母親の気持ち・感情が描かれてない。ラストで息子の気持ちは語られているし、ウンウンと納得させるだけの描写もされてるんだけど、母親の〇〇〇の行動の理由とか△△△した感情が抜けてるんだよね。このあたりを描いてあると、解りやすい物語になったと思う。 マイナス点を挙げたけど、概ね満足できる一冊だった。 動機と犯行手順、それに関わる人物の行動にも破綻はないし、構成自体は緻密。 最後、母を想う息子の言葉、ちょっぴりウルッとしてしまったな。 ☆4個 背表紙~ 終戦直後の夏、5歳の男の子が誘拐された。<使い古しの新円で百万円を用意しろ。場所は有楽町カストリ横丁>という脅迫状に従い、屈強な刑事たちが張り込むなか、誘拐犯は子どもを連れて逃げてしまう。そして15年後、とある殺人事件をきっかけに、再びこの誘拐事件が動き出す。第54回江戸川乱歩賞受賞作。 構成で読者を引っ張る小説だと想う。もっとキャラを特徴つけて丁寧な文章だと、かなりの傑作になったんじゃないかなぁ。まぁ、そうすると、今の倍ぐらいにページ数になっってしまうか・・・。
終戦後の誘拐をめぐる話。 最後はこじつけ感が強いし、しりつぼみ。 脅迫の根拠も弱いしな でも、ストーリーとしては面白かったかな。
戦後の混乱に乗じた巧妙なトリックと人の弱さを描いた作品。ただ、最後はハッピーエンドで終わってくれるので、読み味スッキリ♪
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