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洗剤メーカー・オニセンの役員会議で、報告されていない「工場事故報告書」が提示され、役員同士が熾烈(しれつ)な争いを始めた。同じころ経営管理部員の小林拓真(こばやしたくま)は、総務部の万年係長が部長に同じ報告書を突きつけるのを目撃。たまたま役員会議に出席し騒動に巻き込まれた、恋人の美雪(みゆき)からのSOSも届く。拓真は限られた情報だけで“存在してはいけない文書”の謎に挑む!
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Posted by ブクログ
読み終わった直後に、分からないところ、逃していたところをみつけだしたくて、その場で再読。 面白かった!!
役員会議で提示された、報告されていない事故報告書。 役員同士の責任の押し付け合いに巻き込まれた恋人からのSOSが届き、その謎に挑む主人公。 限られた情報から、真相に辿り着けるのか。 殺人事件でもないけど、展開にハラハラドキドキします。 とある会社の役員会議。 役員同士の争い。 それだけ聞くと...続きを読む、どこにでもある風景に思えますが、中身はしっかりとしたミステリー。 読み応えはあります。
す・げぇーな。 ものすごく溜めて、本心こう思った。声も出ちゃった。いやまじで。 石持浅海さんの作品は基本、シチュエーションにそって論理の構築力で読ませる、独特の技の美しさにあると思っている。人はあまり死なない。大きな事件は起こらない。 例えば青井夏海さんや加納朋子さん、坂木司さんの作品もそう...続きを読むと言えば、そうね。状況が提示され、条件が与えられ、実際にことが終わったあとで、始めて探偵はそこに現れ、ひとつひとつの手がかりを拾っては違う、そう、と分別しながら仕分けをし、真相を見つけ出す。スタイルはその点、非常に近いと思う。ただ石持浅海さんがそれらと全く異なるのはおそらく、石持さんが男性である点(これ、ちょっとバイアスかかってるかも?)と、彼が会社員だと言う点だと思う。 青井・加納・坂木の3氏の作品を図式化するとしたら多分: 解決にいたるロジック&アプローチ=論理+人間心理を斟酌した誤謬の排除 比較して今回の作品に顕著な石持氏のアプローチは: 解決にいたるロジック&アプローチ=論理+(会社員としての常識+会社の論理)を 斟酌した誤謬の排除 だったんだと思う。 いやこれ、すげーわ。正直会社員でかつ、割としっかりした組織に働いていない限り、判りづらい所もあると思うけど、もしこの本を読むあなたがその「資格」を持っていたならば、底意地の悪いカイカンとともに、この本の良さがじわじわ判る、そう思います。 本当にものすごく、目の前で丸め込まれるカイカン。すげー。しかも前段の言葉を翻すようでなんだけど、多分読者は何度か、おいおいそんなにうまくいく訳ないじゃん、所詮出てくるのは「偶然紛れ込んだ」パワポ資料(しかも事故報告書と書いてあるたった一枚の「表紙」)だけなんだよ?大の大人が?と、思うだろう。もちろんその通り。だけどこの物語がすごいのは、おそらく作者もそれがわかっていて、ノン・サラリーマン読者へもきちんとフォローしてくれているのだ。補ってあまりある、ワトソン役の女性の素人視線によって。 彼女が何度も何度も繰り返し感じる違和感、それの昇華を追体験することで読者はきちんと、作者がどんと転がしてくるこのロジック戦争に被弾せずに、なんとかストーリーに戻してもらうことができる。いやはや。ここまで懇切丁寧な推理小説がかつて、あったんだろうか? すんごいなこの話。サラリーマンなんてクソ面白くもない、ってぶつぶつつぶやく人に一度、読ませてあげたいね。あたしが社長なら新入社員にこの本、研修で読ませてもいいと思うわ。 どんだけ会社ってくだらないのか。 どんだけ人って愚かしいのか。 どんだけ人って操られるのか。 つまりは逆に、それが判ってプレイできれば会社って場所は、多分すごく面白い知的なゲーム会場(あるいは戦いのコロシアム)なんだって、判ると思うんだけどね。 なんて、会社に対する尊敬とか愛とかが、さっぱりない発言、失礼しました! サラリーマンがつまらない、と、嘆く前に、ぜひご一読を。
8月15日。お盆真っ只中で会社ものんびりムード。 そのはずだった。。。 深雪は例年この日に行われる役員報告会議に 課長のサポート役として出席することになる。 それはいつものぬるい会議になるはずだったのに、 「工場事故報告書」が紛れ込んだせいで なぜか役員同士の競争を煽る場と化して・・・ 同じ日、...続きを読む深雪の恋人、拓真は別件で立ち寄った総務部で 万年係長が部長に詰め寄っている場に出くわす。 そして、なぜか係長に巻き込まれてその場から 離れられない状況になると、自分の上司もやってきて さらに逃げ出せない状況に。 そんな中、会議の最中のはずの深雪から救いを 求めるような無言の電話が。 拓真は覚悟を決め、恋人を救うために論理の闘いの場に 身を投げ出していく。 いやー、面白かったです。 こういう論理の展開が繰り広げられるミステリはいいね。 どっちかというと、「とりあえずやってみよう」という タイプの自分じゃできないけど。 論理の展開に関わる社員たちが有能過ぎる。 そんな気がしないでも無いが、そんなのは些細な事だと 思えるくらいに、素晴らしい一冊でした。 主要人物、役員たちのキャラと名前が一致するまでは、 ちょっと苦労するかもしれないけど、そこにめげずに ぜひとも最後まで読んでもらいたい!
限定された情報・条件の中、論理を武器に推論を積み重ねて真相に迫っていく石持浅海の真骨頂。 石持作品に見られる特殊な設定も殺人もないが、形は倒叙ミステリーに近く、早い段階で各種犯人が読者には見当がつくが、どのように何を材料にそこにたどり着くのか、徐々に真相に近付く様子を丁寧に描き良質のサスペンスが感じ...続きを読むられる。 多少のご都合主義にも一応の説明はつけられており、それでも周囲が主人公に甘過ぎると感じないではないものの、充分に楽しめた。
ただ論理だけが先行する。 石持さんのミステリーには、時々そういう物足りなさを感じる時がある。 しかし、本作は、人間の存在感が感じられる。多分、それはスーパーマンが一人ではなく、成長していく弟子と師匠が存在するからだろう。
何が起こっていて、誰が首謀者なのか。主人公が論理的思考だけで真相に迫る。著者が得意とする形態の小説だ。殺人事件が起こるわけでなく、会社のデスクと会議室で繰り広げられる思考合戦。期待を裏切らない出来ばえだった。
誰がなんの目的で事故報告書をプレゼン条件資料の中に紛らせたのか、小林は謎解きができるのか、わくわくして読み進めた。 深雪がこっそりと小林に電話をし、混乱する会議の様子を伝えるのは強引な気もするけど、面白かったからよし。
現役会社員の石持さんならではの発想だなぁと。 一枚の事故報告書だけで、これだけの作品が書けることに素直に感心してしまいます。 「会社の論理」が非常に印象的で、同じ会社員としては身につまされるものがありました。
サラリーマンの拓真くん 社内の出来事に推理力を発揮する。 そうですね 普通に仕事をするにも想像力と推理力はあったほうが良いと思います。お客様の応対をするときも同じですね。相手のことを想像し推理するとお話がしやすくなると思います。 さて 拓真くんは出世できるでしょうか??
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