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Posted by ブクログ
野球クラブでいじめに遭い、部屋に閉じこもってしまった息子に父親が語る父(息子にとっては祖父)との野球をめぐる物語…。というと何かハートウォーミングな話を期待してしまいそうだけど、全然そういう話じゃない。
父は実家の困窮のために中卒で働くことになり、野球を諦めた。仕事が決まった日、父は愛用のバットで自宅で飼っていた豚をなぐり殺して川に捨てる。野球への執着は野球賭博というかたちであらわれ、賭博のせいで身上を持ち崩して家を出る。妻と幼い子どもを置いて。その子どもが中学生になる頃、家を出た父から「野球をやっているか」という手紙がくる。ちょうどその頃、プロ野球の日本シリーズでは奇跡が起きようとしていた…。
田中慎弥と野球はどうしても結びつきにくいけど、父と子の物語という軸はしっかりしていて著者らしい。他の作品比べれるとさわやかな印象が残った。
Posted by ブクログ
最近話題になったプロ野球選手が賭博に関わった問題。読み終わってから間もなくのことだっただけに妙な縁と呼ぶのか、奇妙な繋がりもあるものだと思う。
サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」を下地に、野球という色彩。更には最初から最後まで父親が子供に語りかける口語体で文章が綴られるという構成。かなり実験作的な一冊である。
読み始めは口語体であることにクドさを感じ、胸焼けの様な気分を覚え、なかなか読み進めるのには苦労した。
半ばほどで、野球観戦が好きな者であれば、現役を知らずとも名前は知っている選手について語られ、その部分は面白く読めた。
あくまでメインは主人公である父親の、父に対する思い、息子に対する思いが描かれているため、野球が中心でもなければ、「ゴドーを待ちながら」もその要素でしかない。結局は完結しない、主人公自身のための物語であった。
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