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非常時というかけ声のもと,同調圧力が強まるなかで,この社会の「育む力」は失われつつあるのかもしれません.自分自身で考え,行動しようとする若い人たちと,かれらを取り巻く大人たち.誰もが自分のなかの埋もれた「リーダー」を掘り起こし,「育む力」を育むには…….村ぐるみの選挙不正を告発した一人の少女をめぐるエッセイを新たに増補.(解説=若松英輔)
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Posted by ブクログ
再読。文庫化で追補された『村八分の記』がよかった。世の中がどうあれ、世界がどうあれ、他人がどうあれ、自分の中にリーダーを見出し、堅持できるか。考え続ける姿勢だけは放棄したくないと思う。
梨木の著者である『僕は、そして僕たちはどういきるか』が岩波で文庫化された時の2015年にジュンク堂の池袋本店での若者向けの講演会がありそれを基に書籍化された。 「僕は、そして今僕らは」吉野源三郎著の『君たちはどう生きるか』を意識しているのとのこと。(それは良いそうだよね。どなたがみたってね)ファシズ...続きを読むムの軍歌が流れたれ吉野等が危機感を抱いて「君たちは」を出した時代と現代に同じ空気を感じ書かれた。2007年の教育基本法の愛国心を強要するかのような改変、2013年の教育秘密保護法が成立したなどだ。 同調圧力とは、群れとはを具体的に教えてくれ、同調圧力に屈しないで自分の軸を大切に生きていく術が示している。 それにしても、宮本常一の『庶民の発見』の鐘楼の話には驚愕した。想像を超えた話だった。 石川さんの『村八分の記』は、石川さんの勇気に驚き同時にこの構図はどこにでもあると感じた。会社や官公庁の不正を告発した人も石川さんと同じようなあつかいを受けるのだろうなと。 「だれよりもあなたの事情をよく知っている。両親よりも、友だちよりも、いわんや先生たちよりもあなたのことをすべて知っている。(省略)そう。あなたの、ほんとうのリーダーは、そのひとなんです。」は、テレビでくりーむしちゃうの上田が若手芸人のADのカンベにムシしたいがどうすれば良いかの質問に答えていたこんな言葉を思い出した。「ADなんて俺のこと20%くらいしか考えてない。俺は俺のこと100%考えているから、自分に従う」 を思い出した。
今の混沌とした時代だからこそ、リーダー不在の時代だからこそ、物事の本質を見失いそうな時代だからこそ、魂に訴えかける書であった。本書が出されたのがコロナが始まった時、そして増補版として出された。ともに言葉を大切とする若松英輔氏の解説も秀逸。シンプルに書かれているが、内容は深く、何度も自分の中で反芻させ...続きを読むられる書であった。
ムラ社会という言葉が表しているように、日本という国は同調圧力が非常に強いようです。 世間や組織、共同体の常識(それが正しいか正しくないかは関係ない)に反する人の声は無視され、酷い場合には排除されます。 本書のタイトル、ほんとうのリーダーのみつけかたのリーダーとは自分自身のことです。 物事に対し...続きを読むて「引っ掛かる」ことがあったら、内なる私自身の魂の声を聞き漏らさぬよう、善悪の判断を誤らないよう、自ら考えて行動が起こせる人間でありたいと思いました。
ことばを使う時、実を伴って使わないと、ことばは力を失い空疎なものになるということに強く共感した。金子みすずの詩の「みんなちがってみんないい」について、本当に?みんな一緒で安心が日本なんじゃないの?というのは、これまで感じていた違和感を言語化されたようで、胸を打たれた。元々は、長老のような人が子供たち...続きを読むに向ける温かな眼差しのような言葉なのにというところに、梨木香歩さんの優しさを感じた。
この2年以上、国民はリーダーの不在に流されてきた。本書の単行本が出たのは2020年7月。コロナ感染が急拡大して、国民が半ばパニックに陥っていた頃だ。その少し前の4月に政権が2枚の布マスクを全国民に配布していた時期で、新刊の棚に本書が並んでいるのを見た私は、ああ梨木さんも国に物申すのかなと思い、きちん...続きを読むと目を通していなかった。 今回、それが文庫版となって刊行された。ツカが出なかったのか、厚めの紙に、ゆったりとした組み方で、さらに書き下ろしが1章加えられている。それでも100ページほどの薄い本だが、内容は濃い。 読み終えた第一印象は、“あれ、思っていたのと違う”だった。私は梨木さんが、頼りない国を糾弾して、リーダーとはどういう人か、その考えを述べると思っていたのだ。だが、違った。本書の肝は、「あなたの、ほんとうのリーダーは、あなたです」に尽きる。私は無意識のうちに、自分の決定権を、誰かリーダーという他人に委ねようとしていたことに気がついた。だから、本書の内容を、タイトルを見ただけで想像してしまったのだ。 本書は、『僕は、そして僕たちはどう生きるか』文庫化の際の講演録がベースであり、年若い人たちに向けて語られているため、読みやすい。ふとした折にまた読み返してみたくなるかもしれない。
お友達からのおすすめ 言葉を大切に大切にする感じが紹介してくれた子らしく感じた。 自分の中のリーダー。うつ病の自分に通ずる所もあった。
大人の責任として語らなければいけないことがあると知りつつもその勇気がない。 せめてこの本を若い人たちに勧めたい。
梨木さんの書かれる文章、発せられる言葉には品を感じる。凛とした、背筋の伸びた美しい姿勢が見える。本書は短く、ひらがなが多い、子供たちを意識してのことか、しかし私には大人たちを優しく諭すように語る梨木さんをイメージさせた。非常に大切なことが書かれていると思います。
一般的なリーダー論ではない。各々の心の中にリーダーを求めるという内容。イデオロギー強めで、軍靴の音が気になる人やグレタトゥーンベリの主張に肯定的な人向け。 塩野七生の「十字軍物語」と並行して読んだ自分向けではない。
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