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野・山・川など、地名に使われる普通の言葉のもとの意味を探るなかから、文字以前の時代の列島の風景と人の暮らしを再構成する。
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Posted by ブクログ
古代ことは、やはりわからないことが多すぎる。 研究者も、わずかな資料をもとに推定する。 ときに、かなり大胆な想定まですることがある。 そうした古代を論ずる面白さと、難しさが本書により改めて感じられる。 川(かは)は、古代の発音では「かぱ」。 あの川の精霊河童に通ずる。 たしかに! 原は「パラっと...続きを読む広がったところ」。 言葉としても「山」や「海」などと結び付けて扱うのではなく、独立して使われる傾向がある。 国の生産性を担う場所でもあり、人体の中でパラっと広がる平坦な場所に通じる。 こういう話、とても面白いが、どこまで信頼できるのか素人の自分にはわからない。 地名が政治的な判断で書き換えられることの問題は、地理方面の人も批判していたのを読んだことがある。 平成の大合併のあたりのころだった。 本書では、8世紀ごろからの好字への改名のことが話題になる。 滋賀県の「が」って何か? たしかにわからない。 これは「ありか」「すみか」の「か」。 つまり、場所、在り所を表すものだとのこと。 好字として「賀」があてられたことで、意味がわからなくなってしまったものだとか。 今も昔も、政治上の効率により、こういうことが起こってしまうのだな、と思った。 多種類であることを示す「いろいろ・くさぐさ・とりどり・さまざま」。 「いろ」は古代語では「魚」。 魚のうろこの色がさまざまであることから「いろいろ」という用法ができたのでは、と著者は推測する。 「くさぐさ」は同様に「草」から。 「とりどり」も「鳥々」。 さまざまについては言及はない。 魚の呼称には「な」というものもあり、「難波」も「な・には」、魚の多いところという意味だったのではという。 本当かなあ、とも思うけれど、ちょっとおもしろい。 なお、論の進め方は、割と自由な感じ。 大御所の本らしい構成と言ったらいいのか。 テーマから話が少し離れた議論が入ってきたりする。 結論が知りたくてしょうがない気分の人には向かないかもしれない。
<目次> 第1章 日本列島の源景語 第2章 国名以前の地名と国名の生いたち 第3章 先史を秘めた奇妙な当て字地名 <内容> 古代の国語の研究者による、地名の由来を解いた本。ベテランらしく、おっとりとでも確実な説得力を持つ論説。研究に裏打ちされているので、納得感も高い。学生時代まで、地名を研究...続きを読むしたいと思っていただけに、既視感もあり、また研究してみようかと思った。
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