ドラキュラ・シンドローム 外国を恐怖する英国ヴィクトリア朝

ドラキュラ・シンドローム 外国を恐怖する英国ヴィクトリア朝

1,430円 (税込)

7pt

4.0

急成長を遂げた周辺国からの侵略恐怖、増加する貧窮移民の不安、友好国へのぬぐいがたい不信、新たな感染症の脅威……「ドラキュラ」の恐怖と魅力の源泉には、黄昏を迎えた大英帝国の外国恐怖症があった。ゴシック・ホラーの金字塔に織り込まれた、ヴィクトリア朝イギリス社会の闇を描き出す!

世界でもっとも有名な吸血鬼「ドラキュラ」。
数ある吸血鬼作品のなかでも特権的な地位を得て、現代に至るまで映像化が繰り返され、日本では吸血鬼の代名詞にもなっています。
そのドラキュラの恐怖と魅力の源泉には、19世紀末イギリス社会に蔓延する深刻な外国恐怖症がありました。
「太陽の沈まぬ帝国」、「世界の工場」と謳われた栄光は過ぎ去り、軍事・経済ともに急成長を遂げつつある周辺国からの侵略恐怖、増え続けるユダヤ人など貧窮移民への不安、搾取してきたアジアの植民地から入ってくる新たな感染症の脅威……。
落日の大英帝国に生きる人々は心の奥底で何を恐れ、そしてドラキュラは生みだされたのか。
『パンチ』などに掲載された風刺画をふんだんに使いながら、ゴシック・ホラーの金字塔から読み解く世紀末ヴィクトリア朝の社会!

イントロダクション
第1章 ドラキュラの謎
第2章 ドラキュラの年は西暦何年か
帝国主義の世紀末
第3章 侵略恐怖と海峡トンネル計画の挫折
第4章 アメリカ恐怖と「栄光ある孤立」の終焉
反ユダヤ主義の世紀末
第5章 ユダヤ人恐怖と外国人法の成立
第6章 混血恐怖とホロコースト
パストゥール革命の世紀末
第7章 コレラ恐怖と衛生改革
第8章 瘴気恐怖と細菌恐怖
おわりに――ヴィクトリア朝外国恐怖症の文化研究
増補 もうひとつの外国恐怖症――エミール・ゾラの〈猥褻〉小説と検閲
学術文庫版あとがき
引用史料一覧

コラム
吸血鬼の系譜/シャルコーの催眠術/一八九三年一〇月二日のピカディリ・サーカス/ダイヤモンド・ジュビリー/火星人/海峡トンネル・パニック/ベアリング銀行の投機失敗/ロスチャイルド一族の結婚/ロンドンとテムズ川の汚染……ほか

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ドラキュラ・シンドローム 外国を恐怖する英国ヴィクトリア朝 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

     近い時期に古典新訳文庫版『ドラキュラ』を読んだばかりで、取り上げられている該当箇所についての記憶も鮮明だったので、本書の内容をより興味深く読むことができた。
     はじめに、著者は次のような謎を提示する。①なぜドラキュラはトランシルヴァニアからはるばるロンドンへ侵略/侵入しなければならなかったのか。②

    1
    2023年11月17日

    Posted by ブクログ

    ・ 私はドラキュラや吸血鬼が好きだが、このやうな書を読んだことはなかつた。丹治愛「ドラキュラ・シンドローム 外国を恐怖する英国ヴィクトリア朝」(講談社学術文庫)である。元版は東京大学出版会から出てゐる。 原題を「ドラキュラの世紀末ーヴィクトリア朝の外国恐怖症の文化研究」といふ。いかにも学術書である。

    0
    2024年01月14日

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