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近代小説は19世紀以来、「(かけがえのない)個人」に焦点を当てて発達してきた。物語の主人公が、神や王から、ありふれた個人に替わる時、イメージこそが物語の書き手と読み手をつなぐために必須のものとなったのだ。本書では、文学とイメージのかかわりを意識的に追求してきたフランス近代文学を素材に、私たちが物語を通して「見ている」ものは何か、そして書かれているものは何かを考えていく。
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Posted by ブクログ
技術によってのみ、私たちは自分自身から抜け出して、ひとりの他人がこの宇宙をどんなふうに見ているかを知ることができる。それは私たちの宇宙と同じではなく、その風景は月世界のそれのように私たちには知られずに終わるところだった。芸術のおかげで私達は、たった1つの自分の世界だけを見るかわりに、多数の世界を見る...続きを読むことができる。(プルースト『見出された時』)
興味深い内容でした。書物を読んでいるときにふと時間を忘れ、自分を忘れ本の内容に没頭している時に、浮かぶのがイメージ。
●近代小説は19世紀から「個人」に焦点を当てて発達してきたという。フランス近代文学から、その発達過程を解説している。
文学とは何か。文学は人をどのように捉えどのように表現しているのか。 フランス文学作品を素材として、歴史的変遷を論じている。 これは面白い。時代とともに小説がどのように人物を捉えていくのかがとてもわかりやすく語られている。
著者のテーマは「〈私〉を通して世界を見る」。フランス近代文学を素材に、私たちが物語を通して「見ている」ものとは何か、そして「書かれている」ものは何かを考える。ルソーからプルーストまで12人。入門書以上・専門書未満という構成としては中途半端な感がぬぐえない。だから「文学講義」なのでしょう。ともあれ、興...続きを読む味のある作家の章だけ読んでも面白いは事実。
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フランス文学講義 言葉とイメージをめぐる12章
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塚本昌則
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