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クラスメイトの稚拙な行動の理由。忘れ得ぬ在りし日の祖母の姿。他人のものばかり欲しがるあの子。いるはずのない住人の気配。甘やかに秘密を分かち合う二人の女。宿命的な死に蝕まれた村。妻と別れた男に訪れた非日常。言い訳はいらない。もう、とりつくろえない。隠された真実に気づかせてくれる珠玉の作品集。(紙書籍版と異なり、本電子版には「金色の風」は収録されておりません。あらかじめご了承下さい)
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Posted by ブクログ
短編集。1話が短いからとても読みやすかったし、面白かった。ミステリー、イヤミス、人が怖い、自分探しの旅で前向きになる、など色々な話があり飽きない。 各話の主人公は問題を抱えている。その問題は読み進めてくと徐々に分かってくるのだけど、これが作家さん上手だなと思った。小出しにしてくるから、この人に何が...続きを読むあったの?と気になってしょうがない。結果、どんどんページを捲りあっという間に読めた。 私のお気に入りは、『甘い生活』と『未事故物件』。 『甘い生活』は主人公が最低人間で、結末はスカッとするんだけど、モヤモヤも残る。イヤミスかな? 『未事故物件』は一番好き。ホラーと思いきやミステリー。最後の2行、 「大丈夫。怖いのは事故物件じゃないから」 恐ろしいのは、これから事故が起こる物件なのだ。 が印象に残ったし、怖い。
短編集。どれもこれも、ひきこまれてしまう内容だった。甘い生活、ホテルカイザリン、孤独の谷が好みだった。
物事には表と裏がある。 ぴりりと毒を含んだものから、背中を押してくれるものまで。 近藤史恵さんの魅力のつまった一冊。
ちょっとだけゾッとする話しと、ちょっと勇気を貰えるかもってお話しが交互にやってくる感じが、読んでいて妙な感覚に陥った。 ドルチェビータ……甘い生活って言うのか……おや、昔そんな名前の香水使ってたよね?と思い出して、また使いたくなった。
巻頭とラストの語り手が男性なのはわざとか?カイザリンは女性だけど。 「金色の風」の姉妹のバレエダンサー『テレプシコーラ』のヒロイン姉妹を思い出した。お母さんがバレエ教室主催なのも同じだし。 デーツのお菓子って近藤さんの他の作品にも出ていたよね。近藤さんの好きな味なんだな。 「孤独の谷」はちょっと三津...続きを読む田信三っぽい。最近読んだからどう思ったのかな。 自分のもの何でも欲しがる妹がいたら、しかもその妹が美人だったら、嫌だろうな。
短編集。アミの会などで既読が多かったが面白く読めた。ただ、1話目のインパクトが強かったので、2話目になかなか入り込めず時間がかかってしまった。
人はみな、多かれ少なかれ満たされない思いを抱えて生きている。ただ、その思いとどんな向き合い方を選択するかで人生は違ってくる。 そんな人たちの「選択」を描く8つの物語。 ◇ 今日は学園祭当日だ。僕は久しぶりに校門を潜った。 高校2年で実行委員を務める僕は学園祭の中心メンバ...続きを読むーとして運営に当たるはずだったが、家庭の事情で昨日までの1週間を欠席したためほとんど手伝えなかった。 エントランスに来た僕は、壁に貼られたポスターに気がついた。ポスターには「降霊会、行います」と書かれていて、死んだペットの降霊をすると小さな字で付け加えられている。責任者は宮迫砂美となっていた。 砂美は僕の幼馴染であり、家族同士顔見知りだ。優等生の砂美は教師ウケがよいため、僕が休んでいる間の急な申請にも関わらず、催しは許可されたらしい。 茶番だとは思うのだけれど、この企画を立てた砂美の意図が気になった僕は降霊会に参加することにした。 外光が遮断された理科準備室には長方形のテーブルがあり、その周りに椅子が8脚置かれている。 その1つに座るのがイタコを務めるエレナというゴスロリ風の女子で、僕を含め7人の参加者が席に着くと照明が消された。 進行役の女生徒が、手にした蝋燭で以て参加者それぞれの前に立てられた蝋燭に火を灯していく。そして最後にエレナの前にある大きめの蝋燭に火を灯すと、進行役の女生徒は最初の降霊希望者を募る呼びかけをした。 1年生らしい女生徒がおずおず手を挙げる。2ヶ月前に死んだウサギを呼び出してほしいと言う。 了解したエレナは、全員に隣の生徒と手を繋ぐよう指示した。そして手と手が繋がるのを見届ると、エレナは呪文を唱えはじめ……。 (第1話「降霊会」) 全8話。 * * * * * ミステリーあり、サスペンスあり、ホラーあり、ヒューマンドラマありのバラエティ豊かな短編集でした。 第1話「降霊会」(28㌻)は見事などんでん返しミステリーで、攻守ところを変えていく終盤の心理戦がなんともおもしろい。でも、これはほんの序ノ口です。 個人的にはヒューマンドラマ仕立ての話が気に入りました。 特に、8作中最も紙数を費やした第2話「金色の風」(56㌻)が希望と再生を感じさせる作りで好みに合っていました。 もちろん、第3話「迷宮の松露」(24㌻)もよかったですし、表題作の第6話「ホテル・カイザリン」(32㌻)も意外な結末まで用意されていておもしろかった。 でも、2番目のお気に入りとしては、第7話「孤独の谷」(28㌻)を挙げたいと思います。 「孤独の谷」はオカルト色の強いホラーで、超短編なのを感じさせないほど読ませます。 あとは、軽いサスペンスホラーの第4話「甘い生活」(28㌻)と、第5話「未事故物件」(24㌻)もうまくまとめられていたと思います。 各話はいろいろなジャンルに味つけされているのですが、満たされない思いを抱える主要人物が岐路に立ったとき、何を選択したかでどんな人生を迎えることになるのかというテーマに基づいて書かれているので、統一感のある作品集になっています。 近藤史恵さんという作家のオールマイティぶりがわかる作品でもあるので、近藤さんの作品を初めて読む方にはお勧めです。
特にまとまりはない短編集だが「私の作風は様々ですよ」と自己紹介しているようなバリエーションに富んだ内容だった。『降霊会』→ぎぇっ!陰湿ぅ!『金色の風』→海外生活の空気感が伝わる。『迷宮の松露』→近藤さん得意のお菓子ウンチク。『甘い生活』→因果応報的ざまーみろ感。『未事故物件』→これはリアルに怖いかも...続きを読む。『ホテル・カイザリン』→隠れ家ホテルでの愛憎劇。『孤独の谷』→このホラー感、長編で読みたい。『老いた犬のように』→男性の微妙な下心的心情が秀逸。総括:お気に入りは『孤独の谷』『老いた犬のように』
クセのある短編集という印象。 人間の狂気的な部分が描かれたり、逆に優しい部分が描かれたりしている。 作者の作品は初めて読んだが、登場人物の一人一人に細かな欠点が見えて親近感が抱けた。物語には狂気的なものもあるが、人間だからそういうこともあるかぁと納得は出来るし、色々と反面教師にもできる部分があると思...続きを読むう。 なんとなく道徳の教科書をドロッドロにした感じ?というか… 感想を書くのが難しいけど、面白かった。
8編収録されている作品集。冒頭の『降霊会』が素晴らしい。学園祭の実行委員で語り手である南田。子供騙しのような降霊会が展開されていく中で南田自身のことと繋がっていく。その展開の不穏さや、どんでん返しとそれだけでは終わらないラストの衝撃まで一気読みで本当にすごい。他の作品も面白いけれど『降霊会』がひとつ...続きを読む抜けている印象。
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近藤史恵
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