私たちの世代は

瀬尾まいこ

『そして、バトンは渡された』『夜明けのすべて』の著者による書下ろし長編

いまを生きる私たちの道標となる物語の誕生!

「明日が怖いものではなく楽しみになったのは、あの日からだよ」
今でもふと思う。あの数年はなんだったのだろうかと。
不自由で息苦しかった毎日。
家で過ごすことが最善だとされていたあの期間。
多くの人から当たり前にあるはずのものを奪っていったであろう時代。
それでも、あの日々が連れてきてくれたもの、
与えてくれたものが確かにあった――。

【著者より】
何かと制限され思いどおりに過ごせない毎日を、大人も子どもも、
誰しもが困難を抱えながら進んできたと思います。
そして、これから、また違う日々に向かわないといけない中で、
ほんの少しでも明るいものを差し出せる物語になれれば。
そう思っています。
明日が怖いものではなく楽しみになったのは、あの日から――
『そして、バトンは渡された』『夜明けのすべて』の著者による書下ろし長編。

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内小説
• 出版社: 文藝春秋
• 掲載誌・レーベル: 文春e-book
• ページ数: 280ページ
• 電子版発売日: 2023年07月24日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 1MB

[ブクログ · ★★★★★]

2024年30冊目
「お母さんの言うとおりだ。愛も幸せも形はない。だけど、それが見える瞬間は本当にある」
…何度も、何度も涙が溢れた。

あの封鎖され不安だらけだったコロナ禍と、そのちょっと先の未来がこんなにも素敵な物語になるなんて…
希望が溢れるラストも最高だった。
年に数冊しか出会えない心震える1冊。

[ブクログ · ★★★★★]

「新型感染症」が猛威を振るった時期に小学生だった二人の女の子の物語です。確かに感染症に振り回され、今まで当たり前だった生活を送れず不自由な生活を余儀なくされましたが、そんな中でも大切にしたいものは私たちに届けられたはずです。それを大切にして未来につなげていきたくなる、とても素敵なお話でした。

[ブクログ · ★★★★★]

感染症の流行で制限された日々を送った二人の少女。翻弄され引きこもったり虐めをうけることになる。その後の10年後も同時に描かれる。

著者の方のコメントの通り「ほんの少しでも明るいものを差し出せる物語になれれば」いいな。
ぜひ大勢に届いてほしい作品

[ブクログ · ★★★★★]

いやあ、久しぶりの瀬尾さん。一気読み。
泣けた。冴のお母さんに、蒼葉に。

冴のお母さんが素敵すぎた。
コロナ禍の話だけど、こんなに真正面からの
「お母さん」についての話はあっただろうか。

自分がお母さんという、立場だからか、とても刺さる本だった。

涙が止まらない作品は久しぶりだった。

冴の話と、心晴の話。
平衡して物語られる。

心晴の物語もとてもよかった。
コロナ禍の頃と、今。
愛情を受けるとは。
“ 生身の人間と会う “とは。

「せっかく待ってる明日やその次やもっと先　」
そこへ、人を動かすもの。

ページをめくる手が止まらなかった。

瀬尾さんらしいあたたかい物語だった。
よかったー。

[ブクログ · ★★★★★]

あの時あれって、どうなったんだっけ？　
その話は聞いていたけれど、その後のことは知らなかった。
そんな、少し気になっていたことが丁寧に描かれ、ページが進めば進むほどに
あぁそれ知れてよかったなー、と気持ちがほぐれる小説でした。

それにしても、構成が上手い。
推理でもミステリーでもなく、
日常の何気ない風景をこんなふうに描けるなんて。
素晴らしい作家だと思います。

コロナ禍大人も大変だったけれど、子供や進路に悩む学生も大変だった。
この小説を読んで、身近な半径数十メートルの人たちのコロナ禍の暮らしを想像させてくれた。
もしかしたらこんなことがあったのかも、て。
想像することで人て優しくなれるんじゃないだろうか。

[ブクログ · ★★★★★]

岸間冴、江崎心晴、小学3年時代から24歳の今まで。
2人は、家庭も育った環境も全く違うのに、コロナ禍で数年の間これまでの日常生活を過ごすことが出来なかった、その点は同じ。

二人別々の過去と未来が行き来するので、途中、あれ？どっち？ってわからなくなりかけたり…だけど、2人の経験した子供時代、どちらがどちらでも、その他の子供でもあまり大差はないのかも…と感じました。
あの数年で子供たちが経験できなかった事、経験した非日常。

子供時代、大人になっての時代、2人の生き方、家族、まわりの人たち、友達、夢。
明るい未来を感じる、さわやかな読後感の良い1冊でした。

[ブクログ · ★★★★★]

「コロナ禍を体験した人全てに読んで欲しい」というのは大袈裟な話ですが、あの期間をみんな乗り越えたというか、過ごしてきただけでも歴史上私達みんな偉いんだよ、すごいよと褒め称えたくなるお話でした。
コロナによる分散登校、不登校、ネットの繋がり、悪い事に拍車がかかり、良かったものが薄れていく、どうにもならない、誰も助けてくれない、答えがないあの時期、思い出そうにも記憶の奥に押し込めてしまって思い出したくないことばかりです。
このお話に出てくる人達は、同じ時期を生きながら苦しんで努力してきた人達です。でも努力したから良かったとは書いてなくて、一歩外に出て踏み出したことが描かれています。そして誰かが自分を見ていてくれることの暖かさが感じられました。とても人に勧めたくなるお話でした。

[ブクログ · ★★★★★]

2人の少女が小学3年生になる頃に流行した感染症。
その後の15年間をそれぞれの目線で追う物語。

もし感染症が無ければ、学校生活が普通に送れていたら、違ってたであろう未来。
きっと当時はそう感じていた大人も子供もいたけれど、それと共に時代を生きている自分たちには刺さるものがありました。

瀬尾さんの物語は登場人物が皆温かい。
後半の伏線回収(？)にもじんわり涙がでてきました。

[ブクログ · ★★★★★]

子ども達と母親達がコロナ禍で抱えていたであろう様々な思いが丁寧に描かれていて、両者のすれ違いに共感したり、切なくなったりしました。

子ども達がコロナ禍で母達の言動に不満を感じていたのはとても共感できる。それでも、母は我が子に絶大な愛を注いでいたということに大人になる過程に気づくことができた彼女達は幸せだなぁと思う。
そして、彼女達がそれを糧にそれぞれの未来を切り開いていく姿がとても爽やか。

不登校の子ども達がますます増えていくであろう昨今、母として、子ども達がどんな思いで日々を生きているのか、また私自身の生き方をも考えさせられる物語でした。

[ブクログ · ★★★★★]

2020年から22,3年ごろに子供だった人たちの辛さは、自分の想像ではきっと足りないけれど、皆の未来が明るいものであってほしい、明日が楽しみであってほしいと強く願いました。