ブラジャーで天下をとった男――ワコール創業者 塚本幸一

ブラジャーで天下をとった男――ワコール創業者 塚本幸一

2,090円 (税込)

10pt

4.0

【内容紹介】
インパール作戦の生き残りが選んだ次の武器、それは女性下着だった!

太平洋戦争は多くの悲劇を生み出したが、数ある激戦の中でもとりわけ悲惨なものとして知られるのがインパール作戦だ。世界有数の女性下着メーカーとして知られるワコールの創業者、塚本幸一は、この作戦の生き残りであり、多くの戦友を失った心の傷は生涯消えなかった。

かつてこの国は、今とは比較にならない男尊女卑の国であった。男が産まれると喜び、女が生まれると露骨なほど落胆を見せた。家長はもちろん、国を支えるのは男であり、女はそのしもべのような扱いを受けた。だがこの国を破滅させたのは、国を支えるはずの男だったのだ。

銃後を守る女性たちに「贅沢(ぜいたく)は敵だ!」と忍耐を求め、頭にパーマなどかけようものなら「非国民!」とののしった。「産めよ増やせよ」と子作りを励行し、その子どもたちを次々に戦場へと駆り立てては、物言わぬ白木の箱に入れて帰した。その果てが無残な敗戦である。

(真の平和とは、女性の美しくありたいと願う気持ちが自然と叶えられる社会であるはずだ)
そう確信した彼は、女性のために女性とともに、ビジネスの世界で再び戦いを挑んでいった。

磁力のような人間的魅力で優秀な仲間や“伝説の女傑(じょけつ)”たちを集めると、ライバルを蹴散らし、日本に上陸したアメリカ企業を手玉に取り、成長の糧(かて)にしていった。わが国最強の商人集団である近江商人の血を引く彼は、失った命を力に変えて、ビジネスという戦場で思う存分暴れまくったのだ。

そして彼の活躍の場は、業界の垣根をも越えていった。父のように慕った“経営の神様”松下(まつした)幸之助(こうのすけ)と政治の世界にもの申し、弟分であった京セラの稲盛(いなもり)和夫(かずお)と力を合わせて京都を盛り上げ、盟友であるサントリーの佐治(さじ)敬三(けいぞう)とともに、新たな文化を築き上げた企業こそが尊敬に値するのだと怪気炎を上げ、重厚長大企業が幅をきかせる財界に下克上を挑んでいった。

熱い、どこまでも熱い。そんな熱い男のベンチャースピリット溢れる豪快華麗な生涯を描きだす大型評伝、ここに誕生!
【著者紹介】
[著]北 康利(きた・やすとし)
昭和35年12月24日、愛知県名古屋市生まれ。富士銀行入行。資産証券化の専門家として富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長等を歴任。平成20年6月末にみずほ証券退職、本格的に作家活動に入る。著書に『白洲次郎 占領を背負った男』(第14回山本七平賞受賞)『福沢諭吉 国を支えて国を頼らず』『吉田茂 ポピュリズムに背を向けて』(以上講談社)、『松下幸之助 経営の神様とよばれた男』『小林一三 時代の十歩先が見えた男』『稲盛和夫伝 利他の心を永(と)久(わ)に』(以上PHP研究所)、『陰徳を積む 銀行王・安田善次郎伝』(新潮社)、『胆斗の人 太田垣士郎 黒(クロ)四(ヨン)で龍になった男』(文藝春秋)、『乃公出でずんば 渋沢栄一伝』(KADOKAWA)、『本多静六 若者よ、人生に投資せよ』(実業之日本社)などがある。
【目次抜粋】
プロローグ
第一章 復員兵ベンチャー起業家
第二章 男の戦争、男の敗戦
第三章 ブラジャーでビルを建てた近江商人
第四章 相互信頼の経営
第五章 アメリカに商売を教えてやる!
エピローグ 霊山観音
あとがき
塚本幸一関連年譜
主要参考文献

...続きを読む

詳しい情報を見る

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

ブラジャーで天下をとった男――ワコール創業者 塚本幸一 のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    本書に見る事業を立てるためのtips。

    動機。生かしてくれた人たちを背負う、その人たちのために生きる。理念的に金儲けではない点が重要。

    逆張り。女性の雇用、復員軍人、他社が手を出さないところに踏み込むことで人材確保上の競争優位を確立しているのではないか。


    正直かつ狡猾。外資との提携戦略。

    0
    2024年04月15日

    Posted by ブクログ

    インパールからの奇跡の復員から始まる、ワコールを一代で世界レベルの企業に仕立てた社長の一代記。ゼロから始めた会社経営のトップの苦悩も余す所なく書かれて、骨太な筆致で語られる人物像がとても魅力的だった。

    0
    2024年03月06日

    Posted by ブクログ

    晩年の、国を愛して憂う発言の数々は
    頼もしく思っていたし
    過酷なインパールの戦で生き残った方だとも
    知っていましたが
    滋賀県の方だったんですね。

    私もルーツが近江八幡なので一挙に親近感が。
    スケールが違い過ぎるけどw

    今度は彼の人間の中身に迫る伝記が読みたいです。
    どなたか!

    0
    2023年09月24日

    Posted by ブクログ

    ワコール創業者の壮絶な人生を語るノンフィクションだった
    文章からその人の気概がひしひしと伝わってきて、吸い込まれる内容だった
    息子さんに経営委譲され、その息子さんがまた自分事として経営されている姿も含め、創業者の生き方に惚れ込める

    0
    2024年02月04日

ブラジャーで天下をとった男――ワコール創業者 塚本幸一 の詳細情報

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

無料で読める ノンフィクション

ノンフィクション ランキング

北康利 のこれもおすすめ

同じジャンルの本を探す