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空き巣に入った家で目を覚ました男。仲間は金と共に姿を消し、住人には顔を見られてしまった! いまや足枷となったその家で男は、不遇な過去を振り払うために包丁を握り――さえない男の煩悶をリアルに描く表題作の他、訳も分からず妻に去られた夫や、海に消えた父を待つ娘など、様々な「隣の人生」を鋭く浮き彫りにする。
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Posted by ブクログ
本作は、短編5編をまとめた書籍である。書名の「叩く」とは、第1編の主人公が「タタキ」となり金銭を盗む刹那、「タタキ」の紹介者に裏切られて殴打され、意識が戻るところからはじまる。面が割れ、このままでは捕まる。いっそのこと住人を殺害するか逡巡する心の揺れ。社会不適応やギャンブル依存となって生活困窮し、...続きを読む「タタキ」=犯罪に手を染めた自身の自堕落的生活を回想する。生育歴も含めて、自分が直面してる現実と思考のズレに主人公が気づいていない課題を浮かび上がらせる。第2編のアジサイにおいても、体調不良の妻を気遣うつもりで、外食を外ですませて帰ってくる夫。そんな夫に三行半を突きつけた、妻の気持ちが理解出来ない家父長制にどっぷり浸かった夫の認識のズレが際立つ。他編では、開発と環境破壊の問題、東日本震災で父を亡くした女子高生の日常生活と父への思いが溢れる。人間の深層心理をあぶり出し、登場人物は自分かもしれないと感じる作品でもあった。
5つの短篇集。人間の本能や機微が惜しみなく描かれ、先が気になる展開だった。緊張と滑稽さが程好く、モノクロームが似合う物語。『アジサイ』の田村の先が知りたい。
個人的に「海がふくれて」がすごく好きだ。一人の少女が父の死を乗り越え大人の女性になるある夏の話。幼馴染男女の何気ない日々、海沿いの田舎町の雰囲気、土地のしきたりなど、読んでいて感傷的な気分になる。他の作品はオチがはっきりせずモヤモヤした読後感だったが、これは良かった。 やはりこの作者は田舎の描写や家...続きを読む族、友人との何気ない瞬間を描くのが非常に上手いと思う。また新作が出たら読みたい。
短編が4つと中編が一つの構成だが、全般的にどんよりとした雰囲気の読後感だった.強盗の助けをしたにもかかわらず相棒に裏切られた佐藤の小心さを示した表題作.妻に逃げられた田村浩一の優柔不断さを表した「アジサイ」.「風力発電所」では難解な下北弁が出てきて現実を経験した小生としてはにやりとした.思い出話に満...続きを読む足した浩一の回想を示した「埋立地」.少し長めの「海がふくれて」が一番楽しめた.琴子と颯汰が暮らす海岸べりの町での淡々とした話だが、合挽場所の灯台、凪読み様の老婆、沖だしに行って帰って来ない父への手紙、フナダマ様を祭る行事、父の頭骨の発見など印象的なエピソードが随所に散りばめられた構成が良かった.
短編集。 表題作が一番面白かった。身勝手な自己弁護な屁理屈を繰り広げるのに呆れ返って苦笑だけれど、そんなみっともなさや愚かさが、全くは他人事ではないように思えて、生々しかった。
短編は向いてないのかもと思いながらだから何!といいながら読む。 どんな短編なら面白く読めるんだろう。今のところ児童図書の銭天堂がダントツでそれを覆えす短編はあるのだろうか。
平凡な日常の中に潜む落とし穴を描く少し風変わりな短編集。 ◇ 佐藤が意識を取り戻すと、目の前には縛られた老婆が転がっていた。 日当3万円の闇バイトで、雇い主の塚田とともに老婆ひとりの住宅に押し入って金庫を開けさせ札束を拝んだまではよかったが、直後に後頭部を殴られ気を失って...続きを読むいたのだ。 気づくと塚田の姿はなく、佐藤はというと、していたはずのゴーグルやマスクが剥ぎ取られて、むき出しになった顔を老婆と突き合わせている状態だった。 金は塚田が持ち去っていて、高飛びしようにも資金がない。顔は老婆にしっかり見られた。目の前の快楽だけを求めるダラけた生き方をしてきた佐藤が初めて直面する難所だった。 手っ取り早く問題解決するには老婆を殺すしかない。それはわかっているのだが、そんな大きな決断や緊張を伴う行動をとったことのない佐藤は……。 ( 第1話「叩く」)全5話。 * * * * * たいていの人間にとって人生は平凡です。平凡な日々の中で警戒心を持ち続けることはできません。平和な世界で不測の事態を予想することが難しいように。 第1話「叩く」の佐藤はいつも通りの軽い気持ちで闇バイトに関わり窮地に陥ります。怪しげな塚田に対し警戒心を抱かなかったのも原因です。 第2話「アジサイ」の田村はいつものように会社から帰宅すると、家に妻の姿はなく、食卓に「しばらく実家に帰る」と書き置きがありました。妻へのメールや電話は通じず、義父母に電話してみても取り次いではもらえないばかりか、妻の怒りの理由すら教えてもらえません。 この田村も、妻との平穏な暮らしに慣れきって、妻の地雷を踏んでしまう危険を考えもしなかったのです。 第3話「風力発電所」はなかなか怖い。 青森県六ケ所村。電力関連施設がひしめく本州最北端の村です。作られる電力はすべて東京都心に送られるという話です。 青森で幼少期まで過ごし東京で成長した主人公は都会の快適な生活に浸りきっており、その快適さの裏にある不穏さにまで意識を向けることなどありませんでした。ある日、主人公が仕事で六ケ所村を訪れたところ……。 安全とされる風力発電。けれど、その光の影に隠れた闇の部分が、ゆっくり首をもたげてきたとしたら……怖い。 第4話「埋立地」。 郊外の自然豊かな町で開発事業が始まりました。田畑や緑地、雑木林などを全て埋め立て、計画的に整備された都市を造成するという話です。 ある日の夕方、工事現場に入った子どもたちが、クレーター状の穴の側壁に見つけた横穴。どこまで続いているのか知りたくなってペンライト片手に入っていったところ……。 この世にあるのは私たちの暮らす世界ひとつだけと思い込んでいて、本当にそうなのかと疑う人はほとんどいません。 向こうが見えないトンネルに入るということの恐ろしさ。異世界はファンタジーだけの話ではないかも知れません。 第5話「海がふくれて」は身につまされる人も多いでしょう。 津波に攫われ行方不明になった漁師の父親を持つ少女。思春期を迎え初恋の彼氏との甘酸っぱい日々を過ごすうち、知っているはずの津波の恐ろしさを忘れてしまいます。 前半3話は結末が描かれていません。 個人的に気になるのが第2話。毎日、色を変えていくアジサイの描写が象徴的で、最も気に入った話でもあります。 毎日変わらぬ態度で田村を送り迎えしていた奥さんの中で、日々変化していた心模様、ぜひ知りたいと思いました。 第3話は怖すぎるので、自分にとってはここまでで十分です。
自分が編集者時代であれば、間違いなく担当になりたい作家さん。きれいな文章に、その小説世界に引き込む力を秘めた作品を作り続けている。 どの作品も甲乙つけ難いが、個人的にはタイトルにもなっている「叩く」と、「アジサイ」がよかった。 前者はどちらに転ぶか決めかねる主人公の複雑な心理描写と、読者に叩きつける...続きを読むようなラスト二行のインパクトがとにかく強烈。 後者はアジサイを切ることで終わりを求めた、個人的にも共感を得られる作品だった。
アジサイの物語は、想像を掻き立てる話で好きだ。埋立地は、とにかく怖いし、当事者意識のなさを表す内容で現実的だ。個人的にまずまずの内容だ。
5篇からなる短編集。 「叩く」の登場人物の佐藤。 闇職の掲示板で見つけた仕事は空き巣の補助だった。 この男、依頼人に裏切られ 高齢女性と一緒に残されてしまったのだが。 「アジサイ」も「叩く」も 最終的にどうなるのか書かれていない。 不穏な空気がヒタヒタと・・・。 最終章「海がふくれて」は幼馴染...続きを読むの男女のやり取りが清々しい。 いやいや、本当にそうなのか。 どこかに隠されているブラックな部分を見落としてはいないか。 (ブラックは波?) つい、そんなことも思ってしまった。 どの章も不穏だけれど、そこで描かれる色や光、匂いなどが 頭の中でパーッと広がり楽しかった。
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