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人は、一度巡りあった人と二度と別れることはできない――。午前二時、アダルト雑誌の編集部に勤める山崎のもとにかかってきた一本の電話。受話器の向こうから聞こえてきたのは、十九年ぶりに聞く由希子の声だった……。記憶の湖の底から浮かび上がる彼女との日々、世話になったバーのマスターやかつての上司だった編集長の沢井、同僚らの印象的な姿、言葉。透明感あふれる文体で綴る至高のロングセラー青春小説。吉川英治文学新人賞受賞作。
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Posted by ブクログ
読書の秋ってことで積読してきた本を読んでいて、その中の一冊がパイロットフィッシュでした。 何でずっと読まずにいたんだろうと思うくらいとてもいい本でした。章ごとによって話の展開が異なるので少し頭を整理しながら読む必要はありましたが、内容も非現実的なお話ではないので、感情を重ねながら読むことができます。...続きを読む私の性格的に、感情移入をしがちなのですが、この本は特にそうでたくさんの登場人物に感情移入をしてしまいました。次は?次は?とどんどん内容が気になります。一つの章もそんなに長くないのでサクッと読めますが、読んだ後の余韻はしっかり重いです。 記憶を消してもう一度読みたいと思えるような本です。
美しい水槽で輝きを放ち、群れを成して泳ぐパイロットフィッシュ。心地良いビートルズナンバー…どこか切なく、透明感ある筆致に心を引かれる。吉川英治文学新人賞受賞作品。
いつこの本を読んだんだっけな。20代の、一人暮らしの部屋、そして大学の近くのカフェ。記憶があいまいで、記憶のそこに手を伸ばすように、インターネットで検索した。なんとかフィッシュ、、タイトルが出てこない。そして、大崎善生の本作品を探し当てて、読んだ。なぜか、この本が記憶に残り、そして今なんとなく読むべ...続きを読むきだと思った。本とは本当に不思議なものだ。 読み始めてすぐ、この本の本質、つまり出だしにびっくりした。体の中に記憶を沈めておく湖のようなものがあり、時としてその記憶に手を伸ばし、こぼれ落ちてしまう。まるで水をすくっているような感覚で記憶をとらえて、その記憶は決して戻らないこともある。本作は、こうした過去の記憶を手ですくって、こぼれ落ちていく中でも、記憶と共に生きていくしかない人間を描いているものだからだ。 田舎から出てきた主人公の男、小さなエロ雑誌の出版社で雑誌、週刊エレクトの編集者になった彼には、川上由紀子という女性との出会い、孤独を埋めてくれた存在だった。大学一年生とは、そういう絶望的に感傷的な時期だったのかもしれない。川底から出てください。私とあなたがあった意味、付き合った意味は、そういう何か自分の中に起こるケミストリー、心臓を鷲掴みにするような感覚、失った時に呆然とぽっかりと穴が開く感じ。そして、愛が本当だったら、またどこかで出会える。そういう話だった。記憶を剥がせないシールと表現するように、ビタッと張り付いて剥がすことができないもの、忘れたくても忘れられないもの。アクアリウムの中と、部屋の中の自分、その対比の中に、記憶の水の底と船の上の自分をリンクさせている。 風俗嬢の取材を通して、痩せてしまって精神的にも追い詰められた、自分の部屋に飛び込んできた可奈ちゃんを、2週間介抱して、彼女が出て行った時に置いて行ったのが、ドッグフードとアジアンタム。アジアンタムブルーという次作にも繋がるくだりがあったりして、改めて2度目か3度目かの読書だけれど、改めて心を抉っていくような鋭さと優しさと透明感を持っていると思う。
自分にとって手放しで褒めれる1冊。一度出会った人とは二度と別れることは出来ない という言葉、人は人に影響を与え、影響を与えられ続けていく言わば相互補完的な役割で構成されているということを気付かされる一節やった。 他にも、飲食店でやっていくにはタダで出す水こそ大事 みたいな言葉が本質を突いているなと思...続きを読むった。 煙草酒女音楽の盛り合わせでたしかに一昔前の村上春樹みたいやった
村上春樹さんの『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を読み終えて、村上春樹さ?に似た作風の別の作者の小説を読んでみようと思い、見つけたのが本書でした。 私は村上春樹作品とは大分別のものだなと思いましたが、出会いと別れを繰り返す人生のやり切れなさやそこに灯る微かな光明のようなものが物凄く丁寧...続きを読むに描かれていると感じました。 読み終わった後には寂しい気持ちと優しい気持ちが同時に湧いてくるような、不思議な感覚になりました。
素晴らしい。 愛読書にしたい。 何度も読み返したい。 アジアンタムブルーも読破したので、エンプティスター、いきます。
なんとなくタイトルとジャケットに惹かれて手にした初読みの作家さんでしたが、全体が村上春樹作品に似ている感じで、それをライトにした印象というか雰囲気でした。ライトだから読んでいてもしんどくない。そして読んだあとの感覚も程よくいい。 なんか、とてもよかった。
最近読んだ中で一番のヒット。ストーリーは、主人公がエロ雑誌の編集者という時点でアダルトな部分も多いが、表現や話の進み方や、登場人物の発する言葉など、とても自分の好みだった。他の作品も読みたい。
面白いです。 ボリュームも多くなく、ちょうどいい構成 ありきたりな物語でもなく読めば読むほど展開が気になる
現代日本の作家である大崎善生(1957-2024)による作品。2001年。本書を読み終えてから、作者がすでに他界していることを知った。 □ いまの自分というのは、これまでに出会ってきたいろんな人たちや文物たちや体験たちといった諸々からなるモザイク画のようなものではないか。自分の中にいろんな誰かた...続きを読むちが生きているだけではなくて、自分もいろんな誰かたちの中に生きていて、そうやって自分と誰かたちとは互いに浸透しあっている。「一度出会った人間は二度と別れることはできない」というのは、なるほどそうだと思う。 それは必ずしも思い出だとか記憶だとかということではない。忘れてしまったからといって、すでに深く浸透してしまっている誰かたちが自分の中から消えてしまうことはないだろう。誰かたちの影は突然ヌッと出現するのである。それが元は誰かのものであったということを忘れてしまっていることはあるかもしれないが。例えば何かの拍子に、誰かの言葉が突然思い浮かぶかもしれない、それが元は誰かたちの言葉であると思い出すことのないまま。例えば何かの拍子に、誰かの口癖が突然口を突いて出てくるかもしれない、それが元は誰かたちの口癖であると思い出すことのないまま。例えば何かの拍子に、誰かの趣味が突然自分の好みになって現れてくるかもしれない、それが元は誰かたちの趣味であると思い出すことのないまま。例えば何かの拍子に、誰かの思想や選択や決断が突然自分の生き方として選び取られるかもしれない、それが元は誰かたちの思想や選択や決断であると思い出すことのないまま。 言葉だとか感情だとかいうものは、実は自分のオリジナルであるなどと言えるようなものではなくて、どこまで行っても伝聞的なものでしかないのかもしれない。誰かの言葉、誰かの感情、というように、もはや人称代名詞でもって限定することができない、いわば不定人称的な言葉であり感情であり、しかもその不定人称が、実はいつかのどこかにおける自分の痕跡でないとは言い切れない。いつかどこかの自分が、誰かたちを経由して、また出会い直されたのかもしれないではないか。時間によって雑多な諸々の重なり合いがいっそう混淆されて、もはや何が誰のものであったか遡行することも無意味になり、ついに人称が抹消されていくのかもしれない。 しかしそれは、自分が自分の外部にある何かに支配されてしまっているというのとも違う。その何かには、すでにその何かに浸透してしまっている自分も含まれているかもしれないから。自分と自分の外部との対立、という構図が、たぶん違うのだと思う。 時間を生きるということは、自分がそうした雑多な諸々による細密なモザイク画になっていくことであり、そこには生きられた時間が跡づけられている。 □ これは、以前読んだ平野啓一郎の分人主義の考え方と通じるところがあるように思う。 自分というのは、一見すると何か純粋な唯一無二のもののようでいて、その実は、こういった、それ自体ですでに雑多な諸々同士の、さらなる重なり合いのことではないかと思われてくる。にもかかわらず、本当はそんな雑多な諸々の重なり合いであるはずのものが、妙に凝り固まって、何を勘違いしたのか純粋という観念を遡及的に作り上げて、アイデンティティなどと名乗り始めるあたりから、話がややこしくなるのではないだろうか。 □ どんなに深い絶望であっても、それが言葉だとか音だとか色だとか運動だとかによって再現前されると、ともかくもそうやって再現前されたという事実だけによってすでに、幾分か救われる思いになる。おそらくそれは、そうやって名前が与えられて、その名前によって他の誰かに呼ばれる可能性に開かれたからであり、それによって、なるほど依然として絶望には違いないが、少なくとも絶対の孤立ではなくなったからであろう。ここに、友や文学の存在理由があるのではないか。 そしてその友的なるもの、文学的なるものは、自分を構成する無数のモザイク、誰かたちの言葉として、すでに自分の中にいてくれているのではないか、という気がする。自分の中にいる他者たちが、孤立した自分をどこかへと開かせてくれている、という気がする。 □ 「年月とともに失っていくものがあるのと同時に、それとともに生まれてくる感覚だってあるのではないだろうか。」(p245) 「自分を信じろ、そして由希子と子供をつくれ」(p126)
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