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砲弾に砕かれて坐礁し、そのまま化石となった巨大な軍艦のように見える孤島に、修道会のつくった矯正施設がある。売春、盗み、恐喝等の非行を重ね、幼くして性の快楽を知った放恣な少女たちが、惨劇の幻影におびえる聖女の下に集められている。そして、あの悪夢が……。謎と官能に満ちた、甘美な長編恐怖小説。
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Posted by ブクログ
とうとう、読みました。 じわじわと、何かが進行していて、今にも爆発しそうな不穏な空気に惹き込まれて巻き込まれて流されていきました。 マ・スールは、(ネタバレゆえ伏せます)でありながらも、主人公・藍子の姉に似ているのも含めて、藍子が「こうありたい」と望む姿なんだろうな。もしかしたら、梗子が「マ・スール...続きを読むが好き」と言うのも(この梗子はあれだし…)。 願いが、届いてしまった。 淡江色の封書が届いたなら未来永劫マ・スールは、愚かさと狂気への蔑みと憐れみと慈しみと諦念を密かに抱えて、軍艦のような聖女の島を訪ね続けるのでしょう。 それにしても素敵な装丁。物語にぴったり。
『恐るべき子供たち』の物語かと思いきや... 長崎の軍艦島を想わせる孤島。そこにはさまざまな背徳行為によって矯正を余儀なくされた少女たちが集められている。そして施設の秩序が崩壊しつつある今、ひとりの修道女(マ・スール)が召喚された。 妖しい香りが匂っています。しかし幻想的という訳ではなく、妙に生...続きを読む々しく泥臭く、土埃を感じさせるリアルさがあります。 矯正施設を束ねようとするどこか愚かな大人たちと、頭の切れるリーダー格の二人を中心とした少女たちの攻防。その中で修道女(マ・スール)はどういう役割を演じるのか。 読み進めていくうちにめまいに似た感覚が起こり、しだいに幻惑されていきます。 果たしてそれは『狂気』の物語でした。
しかし、何も変わったようには思えなかった。良心の痛みが訪れぬことに、私は絶望的な苦痛を覚えるのみであった。 (P.165)
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