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オランダの酪農家一家に育った10歳のヤスは、クリスマスの晩餐用に殺されるかもしれない自分のウサギの代わりに兄が死にますようにと神に祈る。その祈りが現実となった時、不穏な空想の闇がヤスを襲う。史上最年少でのブッカー国際賞受賞作。解説/鴻巣友季子
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Posted by ブクログ
10歳の時スケートに出かけた大好きな兄が氷の割れ目に落ちて死んだ。その喪失感がヤスの心に暗い陰を落とし壊れていく家族とともに闇の中で喘いでいるような日々となる。聖書の言葉が恐ろしい枷となり、父母の修復のための生贄や目覚め始めた性への興味、禍禍しい兄の性的虐待や牛の口蹄疫などいろんな問題がごった煮にな...続きを読むった風景が物悲しく広がって、最後の冷凍庫の場面に収束する。 表紙の少女が身を守る赤いジャケットを着てこちらを見る虚な目に恐怖する。
難しい小説でした。 幼い主人公が長兄を事故で亡くす直前、罰当たりな祈りをして現実になった事で、聖書を規範に接していた世界と少しづつ離れていく様、それが主人公一人だけでなく家族全員静かに徐々に、それぞれの世界との離れ方をするのが興味深かったです。 父親のあくまで聖書が基礎である事を変えない姿勢や、次兄...続きを読むオブの聖書を全く気にせず破壊的な行動ばかりする様が目立つ中、妹ハンナはおかしくなっていく家族にも目を背けず、かといって受け入れるでもなく柳の様に受け流す感じが面白いなと思いました。そして母親の描写が薄いなと思ったのは気のせいでしょうか。 万人に勧められる小説では無いし、かなりクセがあり読むのを何度も断念しそうでしたが、終盤はクセの中にあった遅効性の毒が効いてきてラストはそれが見事に結実したなと思いました。 表紙や書評を読んでピンと来た人ならお勧め、といった微妙な事情も込みでこの星評価です。
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