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「ドラコニア」とは龍の王国、すなわち「澁澤龍彦ランド」のことだ。著者はこの知の領土において、極楽鳥や仮面、童子といったテーマをとりあげ、筆のおもむくまま興趣つきないエピソードをつむぎ出す。一篇ごとに趣向を変え、きらびやかなペダントリーをふりまきながら、精神の運動を展開する円熟のエッセイ集。
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Posted by ブクログ
澁澤の筆がエッセイから小説へと向かっていく過渡期の作品集。だが、このエッセイとも創作とも言い切れないバランスは、のちの『ねむり姫』や『うつろ舟』ともまた違い、これはこれで一つの完成形と言える。『思考の紋章学』と対のような感じ。 「鏡と影について」は、南宋の仙人がドイツロマン派的なドッペルゲンガー譚...続きを読むを語るのでニヤッとさせられる。「スペインの絵について」はバルデス・レアルの絵の依頼主がドンファンのモデルになった騎士だったという、それ自体が面白い逸話にバロック絵画の解釈をめぐる講義が挟まっている。「ラテン詩人と蜜蜂について」では、『思考の紋章学』所収「時間のパラドックスについて」でチラッと触れられたシルデリク王の墓から発掘された黄金製の三百個の蜜蜂について詳しく語られている。『思考〜』では蜜蜂は「馬具の装飾」としていたが、ここではもう一つ「マントの飾り」とする説も紹介していた。 そして、玉虫の厨子についての導入から魂(タマ)と箱の密接な関係を語り、中学時代の同級生との少し奇妙な思い出話に流れていく「箱の中の虫について」がやっぱり好き。これはネクロフィリアの対象になるということのナルシシズムの話なんだと思う。フランチェスコ一世の別荘からビアンカ・カペッロ、そして『黒死館殺人事件』に繋がる「巨像について」も面白かった。最近『黒死館』読み返してよかったなと思うことが多くて、再読の縁を感じている。
たとえば「ラテン詩人と蜜蜂について」。カヴァーには「きらびやかなペダントリー」とあるけれど、それでもこれは衒学ではない。せめて読んだ内容を憶えていられれば、私も少しは知的になれるのだろうけれど……嗚呼。
580 「ドラコニア」とは龍の王国、すなわち「澁澤龍彦ランド」のことである。この知の領土において、著者は極楽鳥や仮面、童子といった偏愛するテーマをとりあげながら、筆のおもむくまま、自在のスタイルで、興趣つきないエピソードをつむぎ出す。一編ごとにエッセイ風、幻想譚風とおもむきを変え、きらびやかなペダン...続きを読むトリーをふりまきながら、軽やかな精神の運動が展開する円熟のエッセイ集。
部屋にいながら小旅行。時空の壁もおかまいなし。「飛ぶ頭〜」の夜の珍客にかわいい!とはしゃいでみたり、「箱の中〜」にせつなくなったり・・・好きだ、ドラコニア。
お家芸の軽妙なエッセイと晩年の創作の過渡期とおぼしき一冊。スタイルはまさに中間的で、エッセイ風もあればお伽噺風もある。肩の力を抜いてふわふわしたいときに。
さすが円熟期のエッセイ集、です。該博な知識に魅了されていると、小説のような不思議で幻想的なエピソードが織り込まれて、虚実皮膜、綺譚と称すに相応しい澁澤の世界が──まさしく「ドラコニア」なる幻想世界が現れてきます。ここから『高丘親王航海記』等の晩年の小説へと、ドラコニアの世界は広がっていくのです。その...続きを読むような意味では澁澤龍彦を語る上ではやはり避けては通れない、印象深い一冊でした。個人的にはやっぱり澁澤さんのエッセイが一番好きなので、エッセイであり小説のようでもある本作は好きでした。お気に入りは「飛ぶ頭について」「桃鳩図について」です。「文字食う虫について」もいいなぁ
自分の知識不足のためわからない箇所も多少あったが、作者が非常に楽しそうに書いているのがわかる良エッセイ。
美術史かぶれだった大学生のころの愛読書を、再び読み返しました。妖しくも魅力ある澁澤ワールド。大人になってからまた読むと、若い頃と異なった感覚を楽しめますね。
最近、吸血鬼関連の本を読んでいて、 ドラキュラ……ドラクル……ドラコニアという具合に、 この本を思い出したのでレビュー。 ドラコニアとはドラゴンの国、 すなわち(ポオ風に言えば)「澁澤龍彦の地所」。 古今東西の不思議なオブジェ、アイコンについて、 自由気儘に連想の翼を広げて書かれた随筆集。
[ 内容 ] 「ドラコニア」とは龍の王国、すなわち「渋沢龍彦ランド」のことである。 この知の領土において、著者は極楽鳥や仮面、童子といった偏愛するテーマをとりあげながら、筆のおもむくまま、自在のスタイルで、興趣つきないエピソードをつむぎ出す。 一編ごとにエッセイ風、幻想譚風とおもむきを変え、きらびや...続きを読むかなペダントリーをふりまきながら、軽やかな精神の運動が展開する円熟のエッセイ集。 [ 目次 ] 極楽鳥について 鏡と影について 飛ぶ頭について かぼちゃについて 文字食う虫について スペインの絵について ラテン詩人と蜜蜂について 箱の中の虫について 桃鳩図について 仮面について 童子について 巨像について [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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