開墾地

開墾地

何かを追いかけているのか、
それとも何かから逃げているのか。

父のルーツの言葉、母語の檻、未知なる日本語
父と息子、故郷へのそれぞれの想いが静かに共振する

留学先の日本から、サウスカロライナに帰郷したラッセル。
葛の繁茂した庭、南部ならではの湿気、耳に届く哀切な音楽――
青年は、遠くイランからこの地に根を下ろした父の来し方に想いを馳せる。

デビュー作『鴨川ランナー』で、言語と自己のはざまの揺らぎを描き、
京都文学賞を受賞。

越境文学の新たな領域をとらえる著者の、注目の最新刊。

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開墾地 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    今日読めて良かった。今読めて良かった。
    一生忘れない本にる気がする。
    生家を離れた経験がある人はぜひ読んでほしい。新天地で感じる違和感、久々の帰省で感じる違和感、全部がここに入ってる。自分の今の状況にもマッチして、なんで言葉にこんなにパワーと魅力があるのかがよりわかる。

    0
    2023年02月28日

    Posted by ブクログ

    言語がテーマ。
    前作の異邦人も少し続いている。
    葛がなんとも言えない圧迫感、切迫感をもたらしている。
    二か国語の間で生きる。そのうちの一つは英語。
    なんと味わい深いのだろう。
    お父さんの昔話がとりわけ。

    0
    2023年09月02日

    Posted by ブクログ

    情景が目に浮かんでくるような描写でとても読みやすかった。
    葛の蔓が繁茂しているのをぼんやりと眺めながらその中から聞こえてくる虫の声を耳を澄ます。
    やがて、多くは語らないけど優しさのある父の声が聞こえてくる。

    ラッセルが2歳の時に母が今の父と結婚したが、7歳で母は出ていく。
    父だけは、それまでと何も

    0
    2023年05月07日

    Posted by ブクログ

    短いのに濃厚な90ページだった。故郷、自分のルーツ、居場所。どこにいても落ち着かないフワフワした不安定な気持ちがよく分かる。葛の蔓がどんどん伸びて飲み込んでしまう。故郷って何だろうと思う。

    0
    2023年03月18日

    Posted by ブクログ

    芥川賞候補作。

    まず、日本語が母語ではないのに、文学的な文章を書けることがすごいと思う。日本語が母国語の私でもこんな文章書けないと思う。
    「囂(かまびす)しい」とか初めて聞いた。
    読み心地もすごく良かった。

    母語(主人公にとっては英語)を聞いている時、行間が聞き取れてしまうがゆえに不愉快さを感じ

    0
    2023年02月09日

    Posted by ブクログ

    イラン人の養父との血縁に因らない関係に、「そして、バトンは渡された」を思い出した。でもこの物語の中心にあるのは家族ではなく、言語。飛び交う言葉とその言葉が纏うものから意識せずとも意味を読み取ってしまう母語と、意識しなければ音の連なりでしかなくなる言語のことが、繰り返し語られる。主人公にとって、母語は

    0
    2023年11月05日

    Posted by ブクログ

    英語圏で育って日本語の世界で生活する著者
    アメリカに帰り、父親との暮らしの中で
    父親と従兄弟が話すペルシャ語を不思議な感じで
    聞いた子どもの頃を思い出す
    英語が十分に話せなくて、いろんな対応をされる父親
    そして、言葉の間で生きる自分
    祖国と言語、微妙な、そして繊細な表現

    0
    2023年05月07日

    Posted by ブクログ

    これは何とも、想像以上に繊細な話だと感じさせられて、共に日本生まれの日本人である、両親に育てられた私には、その気持ちを推し量ることが、きっと出来ないであろうと痛感させられ、今回、フィクションとはいえ、こうしたケースも世界にはあるのだろうと窺い知ることが出来て、良かったと思う。

    本書の主人公「ラッセ

    0
    2023年04月25日

    Posted by ブクログ

    言語、世間、社会、家族
    自分たちを取り巻いているものに対して、かんがえながら読みました。

    物語に出てくる事象や事柄がまさにそれを想像させるようなものだと感じます。

    0
    2023年03月30日

    Posted by ブクログ

    イラン人の父親を持つラッセル。米国で生まれ日本で勉強している。ラッセルは父親が生活する米国サウスカロライナに渡り、そこで自分のアイデンティティと向き合うことになる。サウスカロライナの実家の周りには葛が自生し、庭や家を包み込もうとする。日本の家屋にも葛の蔓が壁を伝うが、ラッセルの実家では毎年焼き払わな

    0
    2023年02月27日

開墾地 の詳細情報

  • カテゴリ
    小説・文芸
  • ジャンル
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    講談社
  • ページ数
    96ページ
  • 電子版発売日
    2023年01月18日
  • コンテンツ形式
    EPUB
  • サイズ(目安)
    1MB

閲覧環境

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