鎌倉駅徒歩８分、空室あり

越智月子

誰かと生活することは、めんどくさいけどあたたかい。
鎌倉駅から徒歩８分。木々と小鳥に囲まれたシェアハウスには、今日もカレーとコーヒーの香りがいっぱい。
まだ空室アリ〼。

男手一つで育ててくれた父が死んで、鎌倉のカフェを引き継いだ香良。ある日離婚した親友が押しかけてきて、いつの間にかシェアハウスをはじめることに！ 次々やって来る入居者たちは、みんなちょっとワケあり。慣れない他人との共同生活に、イラっとしたり文句を言ったりもするけれど……。家族だから言えない、家族だから甘えられない。そんなひとりぼっちになった住人たちが見つけた新しい形のきずなに、あたたかい気持ちになる１冊。

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内小説
• 出版社: 幻冬舎
• 掲載誌・レーベル: 幻冬舎単行本
• 電子版発売日: 2022年12月07日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 6MB

[ブクログ · ★★★★★]

鎌倉駅 徒歩８分、空き室あり。
それを見たら、きっと私も住みたいと思う。

鳥の鳴き声が聴こえて、季節の花や木が彩る庭。
すりガラスの窓や、鳥や椿のステンドグラスがあるアンティークな部屋でルームシェアができる。
美味しいコーヒー、毎週土曜日のカレー、
ときには、美味しいデザートも。
なぜか香りが感じられて、味わってみたいものばかり。

少し言いすぎたりしても、大人だからなんとなくわかりあえたりする関係。
それとない気遣いができて、心だけは閉ざさないで、と言ってくれる人がいる場所。
自分を護ってくれていた人が、いなくなった後にくれた贈り物に気づける場所。
日常をこんな場所で過ごせたら最高。

私の大好きな一冊になった。

[ブクログ · ★★★★☆]

気楽に読めそうと借りた本ですが、
一気読みしてしまいました！

鎌倉の自然、美味しいコーヒーに食べ物、か葛藤を抱える様々な世代の女性たち。
面白かったです！

[ブクログ · ★★★★☆]

越智月子さんの作品は初めて読みました。
鎌倉、カフェ、シェアハウスと王道な設定でしたが、季節感の描き方や全体の雰囲気がとても良く、また別の作品も読んでみたいと思いました。
個性的なメンバーによるこの距離感でのシェアハウスはこんなにうまくはいかないのでは？と思うところはありましたが…

[ブクログ · ★★★★☆]

「鎌倉」という文字が題名に入っていたので手に取りました笑

それくらいなんとなく、手に取ってみた本ですが、
読みながら思わず「お〜そゆことか」と悶えてしまいました、笑（あゆみの話）

それぞれにフォーカスの当たった話で構成されているため、伏線回収がおもしろい。それもちょい怪しいなくらいのどんどん読み進めたくなるような伏線の張り方で私にとても合っていた。

三樹子の友達にはしたくないような性格がはじめは「あー無理なタイプや」と思ってしまったが、あゆみが打ち明けた時などにも態度を変えず一貫した姿勢だったので意外と筋が通っていて良いやんってなりました笑

母の娘を思う気持ちが溢れた手紙は感動もので危うく涙するところでした。

[ブクログ · ★★★★☆]

鎌倉の情景が目に浮かび、コーヒーやカレーの香りがしてくるような、おうちカフェで片隅で読み進めているような…心地いい気分だった。
三樹子の言葉遣いと強引なところがちょっと苦手だったけど、香良がみんなに寄り添うような心地いい空間を作っていることがとても素敵だと思った。私もハンドドリップでコーヒーを淹れる時間を自分のための心地いい時間にしたい。

[ブクログ · ★★★★☆]

鎌倉は、私の住む東京と同じ関東なのに
少しだけ時間がゆっくり進んでいるような空間。

そんな場所で始まる、年齢も境遇も違う人達がシェアハウス。私自身は、シェアハウスは絶対に無理だけど、この本の世界はとても素敵。
赤の他人だからこそ、「ムカつくこと。隠し事。」色々あるけどそれをも乗り越えて、毎朝その日のコーヒーから始まる生活。
羨ましさを覚えました。

本中に出てくる、コーヒーや週に一度のカレー全てが特別で食べてみたいなぁ。

[ブクログ · ★★★★☆]

初めましての越智さん。良かった～♪
装丁も内容も好み。もっと読んでいたかったなぁ。
｢鎌倉舞台｣という共通点のある小川糸さん｢ツバキ分具店｣にどこか通じる心地いい雰囲気。

｢おうちカフェ｣を営む香良の友人・三樹子の急な発言で始めることになったシェアハウス。
それぞれの事情を抱えてやってきた昭和の女性たち。
多少のギクシャクがあったとしても、一緒に暮らす様子が楽しそうで羨ましい。
美味しい珈琲、デザート、ご飯、小鳥のさえずりがきこえるガーデン。なんて贅沢な空間と時間！
私も輪のなかに混ざりたいな～。
リラックスしたあの空気感が良い。

深夜にホットワインを飲むシーンが好きでした。
無花果のコンポートなど、何だかんだと読書中ずっと食欲をそそられていた気がします。

日常のささやかな歓びを誰かとわかち合って、心を温めてくれる記憶を日々重ねていく。
ほっとする作品でした。
その後の4人の物語も読みたい！

[ブクログ · ★★★★☆]

なかなか登場人物たちが難題を抱えていた。
根本的な解決などはないけど、
誰かの力というよりは、自分で他人を見て
自分が変わろうと努力していたなという印象。
自分の言動や自分自身を見つめるって
そう簡単にできることではないと思う。
しかも若いのではなくて40代5.60代なら
余計にそうなのではないかなあと
（偏見になってしまうならごめんなさい…）
でも、それがすぐにできるのは
年齢が高めで第二の人生を歩むと
決めた人たちだからこそなのかもしれない。

母がしている習慣や各家にある習慣を
「暮らしのエッセンス」と呼ぶのは
笑みが出るくらいセンスがあるなあと思った！

気さくで、気遣い無しの
楽な関係ならシェアハウスもありかもしれない。

[ブクログ · ★★★★☆]

鎌倉育ちなので。
鎌倉はこの本に描かれるようなイメージを持つ人が多いのは分かる気もするけど、子供の頃から住んでいると、また違う印象だと思う。
多くの観光地に住む人々も同様なのだろうけど。

女性が書く女性のための小説といった趣。
悪くはないのだけれど、女性的予定調和というか、ありがちに納まるところに納まる感じ。
そこを超えないと物語の力は生まれないと思う。

[ブクログ · ★★★★☆]

序盤は辛辣というか、みんな口悪いなーと思いながら読んでいたけど、最終的にはほっこりした。
情緒ある空間でカレーとコーヒーっていいなあ。