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人を喰うことは、常に神を喰うこと
私たちは神への深き愛ゆえに、神との融合を求めて聖餐を催し、その血肉に見立てたパンと葡萄酒を体内に取り込んで恍惚とする。だとすれば、兄弟たる人間へのフィリアゆえにその肉体を貪る行為も、貴き愛と呼べるだろう......
なぜ男は「美しいひと」を食べたのか。全篇にちりばめられた、古今東西の食人にまつわる膨大な逸話の引用から浮かび上がる、「真実の愛の行為」としての食人の姿とは。この、妖しい輝きを発する告白体の小説こそ、カニバリズム文学のイデアへの最接近を果たした奇書と呼んでも過言ではない。
Posted by ブクログ 2022年10月02日
タイトル通り、食人の話。主人公である「僕」が愛人であるイザベルの夫ジョージに事の顛末を語る、という形式で物語が進んでいく。作中にはこれでもかと食人の話のオンパレード。どんなふうに食べるのか、何処が美味しいとか、また宗教的儀式としての食人も滔々と語られる。物語のクライマックスは「僕」がどんなふうにイザ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年10月28日
西洋人と東洋人のあいだに生まれた「僕」と、西洋人でありながら中国で生まれ育ったイザベルは惹かれあい、夜ごとに古今東西の食人文化を語り明かした。ウィットに富んだカニバリズム薀蓄トークの果てに、イザベルと「僕」が選んだ愛のかたちとは。
イザベルの死の謎にまつわる導入をササッと終えたあと、澁澤の手帖シ...続きを読む
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